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歴史のじかん

2021.03.09 更新 ツイート

山崎怜奈のコラム~「岩﨑弥太郎」から、自分を肯定する生き方を学んだ! 山崎怜奈

乃木坂46イチの才女、山崎怜奈さんのはじめての本『歴史のじかん』。

専門家の先生方と山崎さんの座談形式で、全14個の歴史テーマを語り尽くした書籍です。

今作は、歴史のテーマをお題に、山崎さんの心のうちを綴ったコラムも、大変話題! 14個のテーマから3つのコラムを厳選し、試し読みをお届けいたします。

3つ目のテーマは、「岩﨑弥太郎×自己肯定感」です。

(岩﨑弥太郎について学んだ、先生方との授業パートはこちら

*   *   *

岩﨑弥太郎×自己肯定感

私は、自己肯定感の低さを手数を打つことで補おうとしてきた。「人の倍以上努力をしないとスタート地点にすら立てない」という危機感は、拭えない不安と黙って向き合うしか策がないと思っていた。厳密に言うと、現時点での自己評価というよりも可能性への自信を持ちたかった。今できないことも、頑張ればいつかできる、というような、成長の実感が自分の支えとなっていた。それは、身分の低さを乗り越えるために学問を武器にした岩崎弥太郎に学んだことでもある。

 

でも、それでは努力の根底に「今の自分への否定」が付いて回ってしまった。加えて、何かができるようになると、その能力だけが愛されているのではないかという不安も生まれた。悔しさと焦りを握り潰すように、爪を立てて手に力を込めて能力向上に励んでも、磨かれていくのは自己有用感だけで、あるがままで生きられない弱さに気付くだけだった。

 

自己肯定感とは、「できることがあるというプライド」ではなくて、「できないときにも自分を肯定できる柔軟性」のことだと知った。むしろ、自己肯定感を「自分を好きになること」だと思うから難しいのであって、実際は「自分はここにいていいんだと思える場所を持つこと」のような気がしている。どんな状態でも受け入れてくれる人のそばにいたり、「この人と一緒にいる自分は好きになれる」と思える人と時間を過ごすことで、なんでもない自分を受け入れる、という成功体験が得られるのだろう。人に限らず、自分を肯定できるものを身につけるという方法も、回復力を高めてくれる。どれだけ時間が経っても変わらない、自分の構成要素として揺るぎないものを持つことは、私が私であるために大事なことだと思う。

 

矛盾しているように聞こえるかもしれないが、「肯定する」というのは「私」と「私以外」をしっかり分けて考えるということでもある。単純な善悪のジャッジから解き放たれて、あるがままを受け入れている状態のような気がする。

だから私は気軽に他人を褒めるし、いいと思ったことをすぐ伝えているうちに、自分のことも褒められるようになった。皆一様であれという日本社会では、自分自身を認めて評価するのは烏滸がましいという空気感がある。だがその空気に合わせてばかりでは、いつまで経っても「自分なんて」という気持ちから抜け出せなくなる。

愛情は与えた分しか返ってこないようにできているのだ。素敵だと思ったら好きなだけ褒めて讃えて愛情を伝えればいいし、他者への肯定は自己肯定に繋がる。

 

逆に言えば、自分を肯定するために他者を否定する必要はない。そこから得られる優越感は長くは続かないし、何かを否定ばかりしていると、何かを褒めるときに別のものを貶すような言動をする癖がついてしまう。嫌だなと思うものからは静かに離れて「そういうのもあるよね」と思えばいい。一番良くないのは、自分以外の誰かを潰すことだ。

わざわざ否定してくる人の言葉は信じなくていいし、「できっこない」「意味がない」と言う大人に騙されてはいけない。承認欲求で自己肯定感を得ようとすれば軸の定まらない生き方になるし、安定していれば建設的な批評や議論だけを適切に受け止めて次に生かせる。

 

最初から結末が分かっていたら無駄のない人生になっていくけれど、一見すると無意味で役に立たないものが人生を彩ることもある。「自分には才能がないんだ」と諦めて道を閉ざすより、遠回りでも寄り道したほうが収穫はある。思考の余地があって、工夫しがいのある遊びの部分を“豊かさ”と呼ぶのだろうし、途中で「なんか違う」と感じたら素直に別のルートを検討すればいい。

今を肯定した上で「もっとこうしたい」と変化していけることが、幸せな努力の方向性だと思う。岩崎弥太郎も、自らの決断を肯定し続けていたに違いない。

 

まだ十代の頃、クイズ番組に出てみたいと明かした相手に投げつけられた「あなたには無理だ」という否定も、初出演から数年が経った頃に宇治原史規さんから言われた「あなたは大丈夫だから」という肯定も、胸のうちにしまってある。

そして今でも、収録後の手には爪の跡が赤く残る。うっすらと血管が透ける皮膚は、緩く弧を描いたそれをなかなか消してくれないし、眠る瞬間までずっと一緒だ。だが、両手に残された無数の赤い三日月は、今日のために頑張った私の勲章だ。翌朝には消えてなくなっているけれど、また君たちに会うまでの間隔は、短いほうがいい。

関連書籍

山崎怜奈『歴史のじかん』

歴史やクイズなど、本人の幅広い興味を軸に、様々なフィールドで活躍を続ける山崎怜奈さんの初めての書籍は、2019年までひかりTV・dTVチャンネルで放送されていた「乃木坂46山崎怜奈 歴史のじかん」を基にした歴史本です。 全50回の放送から、山崎さんが選んだ14回を厳選して掲載しています。専門家の先生2名と山崎さんによる解説パートと、その内容から山崎さんが考えたことを綴るコラムパートの2本立てとなっています。 自らも歴史に詳しい山崎さんならではの視点で深堀りされているので、わかりやすいのに奥深い考察が満載。歴史好きな方もそうでない方も楽しめること間違いなしです。

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歴史のじかん

2021年2月10日発売、乃木坂46山崎怜奈さんの初めての書籍『歴史のじかん』に関する情報をご紹介します。

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山崎怜奈 乃木坂46

1997年5月21日生まれ。東京都江戸川区出身。最も好きな歴史上の偉人は、坂本龍馬と渋沢栄一。2013年、乃木坂46二期生として活動開始。クイズ番組への出演を機に、知識欲の塊になる。2020年、慶應義塾大学卒業。世界遺産検定2級を取得。帯ラジオ番組のパーソナリティ就任に際し、23歳で初の人間ドックを志願。胃が弱い。

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