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歴史のじかん

2021.03.13 公開 ポスト

試し読み#13

山崎怜奈が木村綾子さん、山口俊雄さんと太宰治を語る山崎怜奈

乃木坂46イチの才女、山崎怜奈さんのはじめての本『歴史のじかん』。

専門家の先生方と山崎さんの座談形式で、全14個の歴史テーマを語り尽くした書籍です。

歴史が好きな方も苦手な方も楽しめるこちらの一冊、試し読みをお届けいたします。最終回の今回は太宰治がテーマ。今でも多くの人に愛される太宰治作品を手掛けたのは、どんな人物だったのでしょうか。

*   *   *

今さら聞けない太宰治の話をしよう

二〇一九年に生誕一一〇年を迎えた太宰治。『人間失格』『走れメロス』『斜陽』などたくさんの作品を世に残した、言わずと知れた人気作家です。太宰治の作品に対しての一般的なイメージは、少々暗くてネガティブでナルシスト、といったものが多いのではないでしょうか。ちなみに、私の太宰治との出会いは中学二年生の頃でした。英語の先生の愛読書が太宰治だったんです。

なぜ亡くなって七十年以上経った今もなお、人々に愛されているのでしょうか。

今回の先生

山口俊雄さん(日本女子大学文学部教授)

太宰治を最初に読んだのは中学一、二年生の頃。今で言う「中二病」のときに、友達から薦められた『人間失格』にはまった。

木村綾子さん(作家)

十八歳のときに『人間失格』に出合って「私の挫折なんてたいしたことないじゃないか」という気持ちになり、救われた。

第一章 太宰が愛され続ける理由

十六歳にして小説を執筆、学業のかたわら書き続けるも……

山崎 ▼ さっそくですが、太宰治の略歴を教えてください。

山口 ▼ 太宰治は一九〇九年に青森県の金木(かなぎ)というところで生まれました。十人兄弟の六男として、非常に豊かな資産家の家に生まれます。十四歳で中学校に入学して、井伏鱒二の小説『幽閉』を読んで感動します。ちなみに数年後、東京に行ってからは井伏に弟子入りしています。同時代の文学に目覚めていた太宰治は、自分でも小説を書き始めて、一九二五年、十六歳のときに、最初の作品『最後の太閤』を発表します。一九三〇年に高校を卒業すると、東京帝国大学に入学し、それがきっかけで上京します。

山崎 ▼ 十六歳という年齢で、最初の小説を書いたんですね。

木村 ▼ はい。ただ上京した年、二十一歳のときに、太宰は実家から分家除籍、いわゆる勘当をされてしまうんです。しかし、それでも太宰は小説を書くことを諦めませんでした。初期作品には、書くことで、自分を確立するぞ。社会に立ち向かっていくぞ。という気概すら読み取れます。実家に対して「勘当されても、自分は東京でこれだけ頑張ってるんだぞ」という思いを伝えたい気持ちもあったと思います。ちょうど太宰が二十六歳のときに芥川賞が創設され、その第一回に応募しています。

山崎 ▼ 活動的だったんですね。あまりそのイメージがなかったです。

木村 ▼ でも、満を持して応募した芥川賞に、残念ながら落選してしまうんです。その理由が「私生活」。彼の私生活が問題視されて、作品に悪影響を与えてしまったんです。太宰自身は作品を評価されたかったのに、プライベートを評価されてしまったことに激怒して、腹いせとして選考委員の川端康成に「刺す」という手紙を送ったり……。

山崎 ▼ えっ!「刺す」!?

木村 ▼ そういう行きすぎた行動で、太宰はどんどん文壇から孤立していってしまいます。一時期は、書けない時代もありました。二十七歳でなんとか出せたデビュー作『晩年』は、実は自費出版だったんです。

山崎 ▼ 苦しかったでしょうね。親たちからは離れ、なかなか小説は売れず、さらに自分の評価も落ちてしまって、孤立。

木村 ▼ ただ、なぜ自費出版ができたかというと、太宰治のお家はお金持ちだったからです、ものすごく。

山崎 ▼ あれ? でも勘当されてますよね?

木村 ▼ そうなんですが……簡単に言うと、裏ルートで実家から仕送りはずっともらっていました。今でいうと三十万円以上のお金を、三十六、七歳になるくらいまで送り届けてもらっていたそうです。

山崎 ▼ うそ!? 三十六、七歳までですか!?

 

三十七歳までスネかじりのダメ男

山口 ▼ 一九三〇年に小山初代という人と結婚を決めましたが、正式に籍は入れておらず、内縁の妻という形です。

木村 ▼ この小山初代さんは、太宰が高校時代に義太夫や芸子遊びにはまっていたときに知り合った芸子さんでした。

山崎 ▼ 内縁とはいえ妻をもらったのに、職にはつかないってことですか?

木村 ▼ 太宰は実家からお金をもらっていて“困っていない”ので、だらしないところはありました。例えば、家庭があるのに僅かな原稿収入さえ家に入れずに、全て自分のお小遣い代わりとして使っていました。

山崎 ▼ そんな旦那さん、私はちょっと嫌です(笑)。

木村 ▼ もう一つのエピソードは、“国民の義務”です。生前を通して、税金を一度も納めた記録がなくて……。

山崎 ▼ 納税を全くしなかったんですか!?

木村 ▼ 当時、太宰治が原稿収入でどれくらいもらっていたかは明らかではないのですが、ものすごく分かりやすいエピソードがあります。一九四七年の作品で、敗戦によって没落した貴族をテーマにした小説『斜陽』が、ベストセラーになりました。ものすごい売れ行きの結果、翌年に来た所得税の請求額が、今でいう一千万円以上だったそうです。

山崎 ▼(絶句)

木村 ▼ ただ、払わなかった太宰の言い分もありまして。「小説を書くためには、たくさんの経費が必要なんだ。俺には、タバコも要るし酒も要る。女と遊ぶ金も必要だ。それを全て使って小説を生み出しているんだ」と。

山崎 ▼ いや遊びじゃないですか(笑)。

木村 ▼ しかも、それを実際に書いて“嘆願書”として税務署に送ってしまったんです。

山崎 ▼ 納税したくなくて嘆願書まで出したとは……。何でもかんでも自分の要求、鬱憤、不満を文章にできてしまうあたりは、作家さんらしい感じがしますが……。

 

*   *   *

 

太宰治の破天荒っぷりはまだまだ続きます。

続きはぜひ、書籍でお楽しみください!

 

★山崎怜奈さんの内容紹介動画、Twitterにて公開しています★

関連書籍

山崎怜奈『歴史のじかん』

歴史やクイズなど、本人の幅広い興味を軸に、様々なフィールドで活躍を続ける山崎怜奈さんの初めての書籍は、2019年までひかりTV・dTVチャンネルで放送されていた「乃木坂46山崎怜奈 歴史のじかん」を基にした歴史本です。 全50回の放送から、山崎さんが選んだ14回を厳選して掲載しています。専門家の先生2名と山崎さんによる解説パートと、その内容から山崎さんが考えたことを綴るコラムパートの2本立てとなっています。 自らも歴史に詳しい山崎さんならではの視点で深堀りされているので、わかりやすいのに奥深い考察が満載。歴史好きな方もそうでない方も楽しめること間違いなしです。

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歴史のじかん

2021年2月10日発売、乃木坂46山崎怜奈さんの初めての書籍『歴史のじかん』に関する情報をご紹介します。

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山崎怜奈

1997年5月21日生まれ。2013年、乃木坂46加入。2020年、慶應義塾大学卒業。2022年、乃木坂46卒業。世界遺産検定2級、日本漢字能力検定2級などを取得。

TOKYO FM『山崎怜奈の誰かに話したかったこと』(月~木曜日午後1:00~2:55)、テレビ朝日『春菜ザキさんのタダの通販じゃねーよ!』(日曜日朝10:30~11:00)などに出演中。著書『歴史のじかん』(幻冬舎)が発売中。

Twitter:@ymzkofficial

Instagram:@rena_yamazaki.official

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