
暮らし術
だいぶ前に読んだ本のうち、ある瞬間にふたたび思い出すものがある。読んだ瞬間には、その重要性もわからず、ただただページをめくるだけだったにもかかわらず、人生のある瞬間でふと心にひっかかる本。
たとえばボブ・グリーンの『ボブ・グリーンの父親日記』。これは20代の後半に読んだ。当時、氏の文体を研究していた私は、氏の著作をできるだけ集めていた。30代の前半で結婚して子供が生まれたとき、ふと思い出して同書を再読してみた。驚いた。
初読時には、まったく気にもとめなかった箇所が、父親になった私に襲いかかってきた。両親との葛藤、娘への戸惑い、仕事と育児の両立……などなどが、切羽詰まった声として私の耳に届いてきた。もしかすると、自分にとっての名著とは、自分の人生が流れるなかで、自分を発見させてくれるものなのかもしれない。
古典の魅力とは何か? どんな古典を読むべきか? 古典初心者のための入門コラム
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