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「令和」の心がわかる万葉集のことば

2019.04.23 更新

言立(ことだ)て――天皇への忠誠心をしっかり述べる時に大伴家持は使った上野誠

言立(ことだ)て

「ことだて」の「こと」は、言葉の「こと」です。ですから、言葉を立てるということをいいます。では、言葉を立てるとは、どういうことかというと、しっかりと自分の意見を主張することです。つまり、明言するということになります。

(写真:iStock.com/ipopba)

大伴家持は、天皇への忠誠心をしっかりと述べる時に、この「言立て」という言葉を使っています。奈良時代は、天皇を中心とした国家ですから、天皇に忠誠を誓うのはあたりまえのことでした。しかし、それを口に出していうことはあまりなかったと思われます。あまりにも、あたりまえすぎることを、皆の前で明言する機会というものは、逆に少ないといえるでしょう。ですから、あえて明言したい時に、言立てという言葉を使いました。あえて言立てして、こんなパリからのたよりはどうでしょう。

「ルーブル美術館のすばらしさなど、口に出して表現したとしても、ありふれてしまいますが、私はあえて言立てしたいのです。やはり、あの建物のなかで見る名画は、何ものにも代えられません。」

上野誠『「令和」の心がわかる万葉集のことば』

万葉集の巻五から採られた新元号の「令和」。そこに込められた万葉ことばの心、おだやかな日を寿(ことほ)ぐ1300年前の先祖たちの思い……。8世紀のことばの文化財・万葉集に使われている「万葉ことば」(古き日本語)を学び、心を磨く日本語練習帳。

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上野誠

 1960年、福岡県生まれ。國學院大學大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学。博士(文学)。現在、奈良大学文学部教授(国文学科)。国際日本文化研究センター研究部客員教授。万葉文化論を専攻。第12回日本民俗学会研究奨励賞、第15回上代文学会賞、第7回角川財団文学賞受賞。『万葉びとの宴』(講談社)、『日本人にとって聖なるものとは何か』(中央公論新社)など、著書多数。近年執筆したオペラや小説も好評を博している。

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