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さきく
「幸い」という言葉は残っていますが、「さきく」という言葉は、現在では使われなくなってしまいました。この「さきく」の「さき」に、「ま」という言葉をつけたのが「まさきく」です。したがって、現代語で「幸いであれば」というべきところを、万葉集では、「まさきくあれば」というのです。
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このように見てゆくと「さき」という言葉に幸いという意味があることがわかるでしょう。「さき」は、現在の「さち」すなわち「幸(こう)」だと思われます。
したがって、「ここにさちあれ」といえばそれは、何かを祝福する意味合いを持つのです。この言いまわしは、案外応用範囲が広いので便利です。たとえば、結婚式でも、新築祝いでも、入学式でも、卒業式でも使えます。古典の言葉の「さきくあれ」「まさきくあれ」も、同じです。私なら新築祝いのパーティーの席で、こんなあいさつをするでしょう。
「新しい家ができ、ここにさらなる幸福な生活がはじまります。ここにさちあれ、さきくあれ、まさきくあれと祝福したいと思います。」
「令和」の心がわかる万葉集のことば
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万葉集の巻五から採られた新元号の「令和」。そこに込められた万葉ことばの心、おだやかな日を寿(ことほ)ぐ1300年前の先祖たちの思い……。8世紀のことばの文化財・万葉集に使われている「万葉ことば」(古き日本語)を学び、心を磨く日本語練習帳。
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