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「令和」の心がわかる万葉集のことば

2019.05.06 更新 ツイート

なでしこ――万葉集に二十六例登場上野誠

なでしこ

「なでしこ」は、万葉集に二十六例登場しますが、うち十一例は大伴家持の歌です。その大伴家持は、早逝した恋人のことをなでしこの花にたとえています。なでしこは、家持が自ら庭に植えた花でもあり、家持が愛してやまなかった花です。

(写真:iStock.com/Hiyoman)

とすると、なでしこをもって、美しくやさしい女性のたとえとすることは、千三百年前からあるということになりますね。私は、なでしこが、「やまとなでしこ」と日本人の女性の美を代表することになったのは、ひとりの歌人の力によるのだと思うと不思議な感じがしてなりません。しかし、言葉というものは、おもしろいもので、日本の女子サッカーチームが「なでしこジャパン」と名づけられると、今度は「なでしこ」という言葉を、最初にサッカーチームから知る子供たちも出てきます。

 

(四〇七〇)

一本(ひともと)の なでしこ植ゑし その心 誰(たれ)に見せむと 思(おも)ひそめけむ

一本の なでしこを植えた その気持ち…… 誰に見せようと 思ってのことか

上野誠『「令和」の心がわかる万葉集のことば』

万葉集の巻五から採られた新元号の「令和」。そこに込められた万葉ことばの心、おだやかな日を寿(ことほ)ぐ1300年前の先祖たちの思い……。8世紀のことばの文化財・万葉集に使われている「万葉ことば」(古き日本語)を学び、心を磨く日本語練習帳。

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「令和」の心がわかる万葉集のことば

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上野誠

 1960年、福岡県生まれ。國學院大學大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学。博士(文学)。現在、奈良大学文学部教授(国文学科)。国際日本文化研究センター研究部客員教授。万葉文化論を専攻。第12回日本民俗学会研究奨励賞、第15回上代文学会賞、第7回角川財団文学賞受賞。『万葉びとの宴』(講談社)、『日本人にとって聖なるものとは何か』(中央公論新社)など、著書多数。近年執筆したオペラや小説も好評を博している。

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