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「令和」の心がわかる万葉集のことば

2019.04.30 更新

たらちねの――万葉集において父親はたいへん影の薄い存在上野誠

たらちねの

「たらちね」のという言葉が、本来どういった言葉であるのか、まだよくわかっていません。一つの解釈としては、「たら」を垂れると解釈して、「ち」を乳と解釈する説です。すると垂れ下がった乳房ということになります。

よく、年を取って垂れた乳だと解釈する人がいますが、それは間違いです。現在とは違って、乳が房状になる人は古代では稀でした。栄養状態がよくないからです。したがって、「たらちね」を垂れた乳房と解釈する場合は、それほどまでに豊満であると考えねばなりません。

(写真:iStock.com/aodaodaod)

万葉集において、父親というものは、たいへん影の薄い存在です。対する母親は、娘たちに対して、絶対的な存在です。母親の許可がなくては、男女がつきあうこともできませんでした。

よく古代では母権制社会という人がいますが、私はそうは思いません。今日においても、家庭内における生活については、母親の力が強いのではないでしょうか。

 

上野誠『「令和」の心がわかる万葉集のことば』

万葉集の巻五から採られた新元号の「令和」。そこに込められた万葉ことばの心、おだやかな日を寿(ことほ)ぐ1300年前の先祖たちの思い……。8世紀のことばの文化財・万葉集に使われている「万葉ことば」(古き日本語)を学び、心を磨く日本語練習帳。

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上野誠

 1960年、福岡県生まれ。國學院大學大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学。博士(文学)。現在、奈良大学文学部教授(国文学科)。国際日本文化研究センター研究部客員教授。万葉文化論を専攻。第12回日本民俗学会研究奨励賞、第15回上代文学会賞、第7回角川財団文学賞受賞。『万葉びとの宴』(講談社)、『日本人にとって聖なるものとは何か』(中央公論新社)など、著書多数。近年執筆したオペラや小説も好評を博している。

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