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日本野球よ、それは間違っている!

2018.12.29 更新

原巨人の誇りなき金満補強【プロ野球2018総括】広岡達朗

4年連続でセ・リーグ優勝を逃した巨人が、ストーブリーグでは圧勝して2018年を終えようとしている。

3度目の指揮を執る原辰徳が補強の全権を任された巨人の最大の収穫は、今季FA(フリーエージェント)市場の超目玉だった広島・丸佳浩外野手を獲得したことだ。

そのほかの主な新戦力は炭谷銀仁朗捕手(西武)、中島宏之内野手(オリックス)、岩隈久志投手(マリナーズ)、クリスチャン・ビヤヌエバ内野手(パドレス)で、12月14日には巨人を自由契約になっていた上原浩治投手とも再契約した。

天敵・広島の主砲だった丸の力で優勝しても意味がない

私は巨人が3度も原に再建を託したのは理解できる。本命の松井秀喜が帰国する気がない以上、監督として実績のある原しかいないからだ。

しかし事実上のGMまで兼務し、チーム編成の全権を与えられた原の補強戦略には納得できないことが多い。

まず原補強の目玉・丸に、5年契約年俸総額25億5000万円(推定、以下同)もの投資をして、優勝どころか3位や4位にでもなったら誰が責任をとるのか。

また逆に、丸の活躍で5年ぶりの優勝ができたとしても、これまで負け続けてきたライバル・広島の主砲の力を借りてV奪回しても意味がない。

西武から海外FA権を行使した炭谷を、年俸1億5000万円の3年契約で獲ったのもわからない。西武ではベストナインになった森友哉が正捕手で、規定打席にも達していない31歳の炭谷は3番手の捕手である。

あらためていうまでもなく、巨人には捕手がいないわけではない。1番手の小林誠司はたしかに打てないが、強肩とインサイドワークには定評がある。

原が好む「打てる捕手」なら、今季打率.265、本塁打4の大型捕手・大城卓三や、昨年しばしば好機で打った宇佐見真吾がいるし、一塁から捕手復帰を志願した阿部慎之助もいる。

これだけの人材を一人前に育て上げる意欲もなく、「若い捕手の刺激になってほしい」という理由で年俸総額4億5000万円の投資は無駄遣いではないか。

このほかにも、首をかしげたくなる選手がたくさんいる。

中島は、年俸3億5000万円の契約更新がこじれてオリックスを自由契約になったところを、巨人が1年契約年俸1億5000万円で手に入れた。たしかに実績のある選手だが、プロ18年目の36歳である。

岩隈も日米で実績を残したビッグネームだが、昨年秋に右肩手術を受けたあとは登板がないままマリナーズを退団した37歳。

新外国人のビヤヌエバは、今季パドレスで正三塁手になり、ホームラン20本を放った27歳だが、大リーグが働き盛りの「使える選手」を簡単に手放すとは思えない。

ストーブリーグのシンガリを務めた43歳の上原も、この10月に左ひざのクリーニング手術を受けたあと自由契約になっていた。

今年に限ったことではないが、巨人の補強には「どうしても生え抜きの戦力では足りない」という必然性と一貫した根拠に乏しい。いつも他チームで大成した選手を大金で集め、結果が出なければ二軍で飼い殺しにする。

これでは、せっかくスカウトがドラフトでいい新人を集めても、広島のように根気よく育てて大成させることはできないし、「今年こそは一軍で活躍するぞ」と意気込む若い選手のモチベーションを高めることもできない。

今年の補強を見ていると、原も生え抜きの若い選手を育てる熱意より、大砲を並べる巨人伝統の「オールスター打線」を組みたいのだろう。

自力再生の覚悟がなければ巨人の復興はない

私はヤクルトと西武の監督として計3回、日本一になった。しかしこれまでに上梓した『巨人への遺言』『日本野球よ、それは間違っている!』(いずれも幻冬舎)、そしてこの連載でも、巨人の問題を取り上げることが多い。それも厳しい批判や提言だったのは、現役時代に学んだ巨人軍の指導や教育が、私の野球人生のバックボーンになっているからだ。

だから私は、1934(昭和9)年に日本初のプロ野球チームとして創設された巨人が正しい野球をしていれば、他球団の手本となって球界全体がよくなると思っている。

しかし、その巨人の野球が崩れ、チーム作りの理念が崩れている。

2年連続日本一になったソフトバンクや、セ・リーグ3連覇中の広島だけでなく、ほとんどのチームが生え抜き選手中心のクリンナップで戦っている。伝統と人気を誇る巨人だけが、いつまでもFAやトレードで集めた選手に頼っていいはずがない。

真の勝者に求められるのは、結果だけでなく、正しい勝ち方だろう。

恥も誇りも捨てて目先の勝利だけを追う巨人から、ますます勝利の女神が遠ざかっているのは皮肉としかいいようがない。

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「清宮は即戦力にならない」「大谷の二刀流はメジャーで通用しない」「イチローは引退して指導者になれ」――セ・パ日本一の名将が大胆予言! 球界大改革のすすめ

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広岡達朗

1932年、広島県呉市生まれ。早稲田大学教育学部卒業。学生野球全盛時代に早大の名ショートとして活躍。1954年に巨人に入団、1年目から正遊撃手を務め、打率.314で新人王とベストナインに輝いた。引退後は評論家活動を経て、広島とヤクルトでコーチを務めた。監督としてヤクルトと西武で日本シリーズに優勝し、セ・パ両リーグで日本一を達成。指導者としての手腕が高く評価された。1992年に野球殿堂入り。『動じない。』(王貞治氏・藤平信一氏との共著、幻冬舎)、『巨人への遺言』『中村天風 悲運に心悩ますな』(ともに幻冬舎)など著書多数。新刊『日本野球よ、それは間違っている!』(幻冬舎)が発売中。

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