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日本野球よ、それは間違っている!

2020.07.11 更新 ツイート

首位巨人の不安材料は故障続出の投手陣広岡達朗

プロ野球は無観客での序盤戦を終え、7月10日から観客を入れた新スタイルの試合を始めた。
セ・リーグは10日現在、リーグ連覇をめざす巨人がトップを走っている。一見、好発進に見える巨人野球を、「オーダーが何通りもあって決められない」と書いたスポーツ紙があったが、私の見方は違う。
相手の投手が右のときはこの左打ちの選手、左腕のときはこの右打ちの選手、と日によってコロコロ替えているだけで、オーダーがいまだに定まらない原野球は間違っている。

こんなことをしていたら、左打者は苦手のサウスポーに打ち勝つ研究をしなくなって堕落する。監督は相手投手の右左に関係なくベストの打順を組み、打者は相手投手が右でも左でも責任を持って打てなくてはいけない。

ウィーラー獲得は生え抜き育成放棄のぜいたく病だ

巨人の場合は2番、3番、4番の坂本、丸、岡本だけは不動だが、その前後はコロコロ替えて、毎年のように他チームのクリンナップや外国人選手をこれでもかとかき集めている。

これは「勝てばいい」という身勝手な考え方で、「自分のところで選手を育てる」ということを忘れている。いい例が、楽天から交換トレードで獲得したウィーラー内野手だ。出場選手登録された6月30日に即先発出場したが、ベンチには今季好調で年俸推定3億円の陽岱鋼(よう・だいかん)がいるし、昨年503打席でV奪還に貢献した亀井もいる。それでも昨年、楽天で打率.243、本塁打19のウィーラーがなぜ必要なのか。原巨人のぜいたく病がまた出たとしか思えない。

補強より競争で不動のオーダーを組め

ここで考えなければいけないのは、毎年、他球団から有力選手を集めていたら、せっかく伸びてきた二軍の若手選手が一軍のレギュラーに昇格できないということだ。ベンチを温めている若手選手も、代打・代走・守備要員とコロコロ役目が変わるだけで、このまま監督の便利屋で終わったら、引退しても将来いい指導者にはなれない。

巨人のように戦力豊富な便利屋集団なら、監督・コーチは楽だろう。選手の指導に時間をかけるより、手っ取り早く他球団から主力選手を獲ってくれば楽に勝てるから、コーチが手を抜くことになる。

私が巨人の監督なら、いくらフロントが「いい選手がいますよ」とFA(フリーエージェント)やトレード話を持ってきても「いらん、いらん」と断って、いまいる選手にポジションごとに競争させる。そして競争に勝ち残った選手で不動のオーダーを組む。いまの巨人のようなやりかたでは、川上監督のV9時代のような不動のオーダーは組めないだろう。

下位チームが目覚めたら巨人は勝てない

巨人は観客のいない序盤戦に10勝5敗でトップを走り、原監督も通算勝利で長嶋と並ぶ巨人歴代2位になった。だが苦戦が多いのは、投手力が弱いからだ。

いいのは持ち前のコントロールでしのいでいるエースの菅野くらいで、先発に返り咲いた左腕・田口は4日の中日戦、3回を投げ終わったところで左ふとももの張りで登録抹消。韓国で昨年17勝を挙げ、158キロの速球が武器のサンチェスも5日の中日戦で3回途中降板。抑えのデラロサも打者1人で緊急降板した。

腰から脇にかけての突然の違和感だというが、連日登板しなければならない守護神がこれで、熾烈な夏場を乗り切れるのか。田口もデラロサも、序盤でこんな故障を起こすのはコロナ自粛中の練習不足が原因だ。

巨人に限らず、最近のトレーニングコーチは知恵を絞っていろんなメニューの練習をさせているが、それぞれの時間が短いからスタミナがつかない。どんな練習でも、体力の限界を超えてこそ身につくことを忘れている。開幕直後の序盤戦に故障が多いのは選手だけでなく、体調を管理する担当コーチの責任でもある。

巨人は序盤戦でトップを走ってきたが、たまたまトップにいただけだ。これまでは阪神、中日など下位球団の拙守拙攻に助けられてきた。だが虎や竜が目を覚まし、まともな野球をしてきたら巨人は勝てないだろう。

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広岡達朗

1932年、広島県呉市生まれ。早稲田大学教育学部卒業。学生野球全盛時代に早大の名ショートとして活躍。54年、巨人に入団。1年目から正遊撃手を務め、打率.314で新人王とベストナインに輝いた。引退後は評論家活動を経て、広島とヤクルトでコーチを務めた。監督としてヤクルトと西武で日本シリーズに優勝し、セ・パ両リーグで日本一を達成。指導者としての手腕が高く評価された。92年、野球殿堂入り。『動じない。』(王貞治氏・藤平信一氏との共著)、『巨人への遺言』『中村天風 悲運に心悩ますな』『日本野球よ、それは間違っている!』『言わなきゃいけないプロ野球の大問題』(すべて幻冬舎)など著書多数。新刊『プロ野球激闘史』(幻冬舎)が好評発売中。

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