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日本野球よ、それは間違っている!

2020.06.27 更新 ツイート

開幕3連敗の阪神は誰を大黒柱にしたいのか広岡達朗

6月19日から始まった巨人との開幕戦で、阪神が3連敗した。第1戦は西勇輝が力投したものの、第2戦で11点も取られたのでは伝統の一戦が泣く。

3連敗の阪神を見て私が疑問に感じたのは、昨年おもに4番でサードを守った大山をベンチに置いて、なぜ2年目のマルテを使ったのか、ということだ。

サードは生え抜きの大山を使え

私も監督経験が長かったので、選手起用については監督しかわからないチーム事情があることは知っている。だが阪神の関係者によると、「マルテのほうが大山より守備が上なので使った」という。

 

大山は3年目の昨年、初の全試合出場で正三塁手を務め、本塁打14、打率.258だった。前の年より打率が落ち、シーズン終盤には当時の新外国人・マルテに4番の座を奪われたが、今年は4番・サードの奪還をめざしている。

たしかにマルテは大リーグ経験があり、選球眼のいい実戦的な選手である。だが、昨年やっと4番に定着しかけた大山が守備力でサード争いに負けたのなら、監督は守備コーチに「何をやっているのだ」と怒れ。監督にはコーチに「こういう理由で、大山を使わないとチームとしてなりたたない」という信念がほしい。

阪神は巨人とともにプロ野球を牽引する伝統ある球団として、長い目でチームの主砲を育てなければいけない。外国人選手はメジャーで通用しないから韓国や日本に短期の出稼ぎに来ているのが現実だ。選手の好不調で目先の勝利を追うのではなく、将来を見据えたチーム作りと選手育成を忘れてはならない。

コーチはボーアを指導しろ

阪神の3連敗で目立ったのは新外国人の大砲・ボーアだった。193センチ、122キロの巨漢は大リーグ6年間で本塁打92の実績を持つが、4番でスタートした開幕3連戦はノーヒット。ショートの坂本が二塁ベースの後ろ近くに構える「ボーア・シフト」にかかり、リリーフの左腕投手にきりきり舞いする弱点もさらけ出した。

これではメジャーで生き残れないはずだが、私は彼だけを責める気にはなれない。

左打ちのボーアだけでなく、阪神打線はみんな引っ張っている。打撃コーチが悪いのだ。教え方が間違っている。野球は投手が投げてくるコースに打ち返すのが基本。真ん中はセンターに、右打者の外角は右方向に打てばいい。

なんでも引っ張るボーアも悪いが、その欠陥があるなら打撃の基本を教えてやらないコーチが悪い。ボーアが気づいて修正したら、相手もシフトが敷けなくなる。このままコーチが放置すれば、せっかくボーアの前にチャンスがきても、左投手が出てきたら万事休すだ。

問題はまだある。これは阪神だけではないが、外野手はなぜ目的のベースに向けて直接投げず、中継の内野手に向かって投げるのか。肩が強いから外野手になったはずなのに、昔のようにファンを魅了するような強肩がいなくなった。ノックで正確な全力送球をしないから肩が弱くなるのだ。

敗因を究めれば強くなる

物事にはすべて原因があって結果がある。野球も同じで、負ける要素は自分たちが作っているのだから、監督はそれが何かを考えなくてはいけない。そして結果はすべて監督が責任をとるのだから、矢野監督は「これがほんとうの野球だ」と思うことを貫け。

私もかつて臨時コーチに行ったことがあるが、阪神は素直な選手ばかりだ。ちゃんと正しい野球を教えれば必ず強くなれる。そのかわり、首脳陣も選手も開幕3連敗から何も学ばず、いまのままでいけば最下位になるだろう。

ヤクルトの4番は主砲・山田しかない

セ・リーグではヤクルトの野球も納得できない。

4度目の3割30本30盗塁をめざす山田哲人という素晴らしい選手がいるのに、この7年で最下位4度。しかも、その山田を今年も2番にしている。球団幹部は「トリプルスリーの記録がかかっているから」というが、結局は大リーグではやっている“強打の2番”の猿まねをしているのだ。

私にいわせれば、この5年間に3度、打率3割をマークし、本塁打30本以上を4度も記録している選手を、個人の記録優先で2番で使うというのは勝つ気がないとしか思えない。

ヤクルトは打線の看板で素質も実力も一番の山田を不動の4番にすえれば、Aクラスを狙える力がある。

こういえば「4番には村上がいる」というだろうが、冗談ではない。まだ3年目の20歳が昨年36本塁打を放った成長は認めるが、打率は.231だった。パワーだけが売りの村上は6番で気楽に打たせ、97キロの巨体を絞って守備の基本を磨けば、将来もっとりっぱな主力選手になるだろう。

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コメント

雪とど  大山使えボーアを修正させろまではとても好感が持てるのに要所要所でアップデートが途絶える神記事 https://t.co/pRK5EHiSxz 7日前 replyretweetfavorite

幻冬舎plus  [今日の新着記事] 開幕3連敗の阪神は誰を大黒柱にしたいのか|日本野球よ、それは間違っている!|広岡達朗 https://t.co/iYANXUFvCf 8日前 replyretweetfavorite

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広岡達朗

1932年、広島県呉市生まれ。早稲田大学教育学部卒業。学生野球全盛時代に早大の名ショートとして活躍。54年、巨人に入団。1年目から正遊撃手を務め、打率.314で新人王とベストナインに輝いた。引退後は評論家活動を経て、広島とヤクルトでコーチを務めた。監督としてヤクルトと西武で日本シリーズに優勝し、セ・パ両リーグで日本一を達成。指導者としての手腕が高く評価された。92年、野球殿堂入り。『動じない。』(王貞治氏・藤平信一氏との共著)、『巨人への遺言』『中村天風 悲運に心悩ますな』『日本野球よ、それは間違っている!』『言わなきゃいけないプロ野球の大問題』(すべて幻冬舎)など著書多数。新刊『プロ野球激闘史』(幻冬舎)が好評発売中。

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