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日本野球よ、それは間違っている!

2019.02.09 更新

巨人の不可解な「いきなり紅白戦」広岡達朗

巨人がキャンプイン直後の2月3日、早くも紅白戦を行った。一軍と二軍の対戦で、一軍は若手中心のメンバーだ。
1番二塁で先発した3年目の吉川尚輝が3安打の固め打ちと積極的な走塁で目立ったが、キャンプイン早々の二軍の守備がおそまつなので記録通りには評価できない。

それより私が間違っていると思うのは、若手中心とはいえ、キャンプインから3日目に球団史上最速の紅白戦を行ったことである。
私がいつも言うように、選手はオフにしっかり自主練習をして、何でもできるベストの状態でキャンプを迎えなければならない。それにしても3日目に実戦の紅白戦は早すぎる。

基礎練習もせず紅白戦は順序が逆だ

3度目の指揮を執る原辰徳・新監督としては、新戦力になる若手を早く見つけたかったのだろうが、そんなことは二軍監督からの情報を聞きながら、キャンプ中にいくらでもチェックできる。そもそも、まだ投打ともに基礎練習もできていない段階で紅白戦をやれば、選手は監督の前でいいところを見せようと無理をするからケガをする。

実戦練習である紅白戦は、キャンプ序盤の基礎練習で首脳陣が一通り選手に教えるべきことを教え、教えることがなくなってからやるものだと私は思う。逆に、選手に必要なことを教えられないチームほど、すぐ紅白戦をやりたがる。
いくら再建請負人の新監督が就任したからといって、やるべきことをやらないでいきなり紅白戦をやるのは順序が逆だ。

田口と桜井に復活の兆し

そんな巨人にも、楽しみな選手はいる。顔が小さくなった田口麗斗(かずと)投手である。
田口は2017年には13勝4敗の活躍で、エース・菅野智之と2本柱で巨人投手陣を支えたが、当時から私は171センチ、85キロの太りすぎを警告していた。

案の定、昨季は16試合で2勝8敗、防御率4.80に終わった。

ところが紅白戦に先発した今年の田口は日焼けし、かつてパンパンに張っていた頬の肉がそげて一回り顔が小さくなった。おそらく体も、ユニホームの上着がベルトからはみ出していた昨年までより締まっているのではないか。

田口は優れた投球術を持っている。顔と同じように体も引き締まっていれば腰のキレもよくなって、内角低めの速球やスライダーを中心に内外角に投げ分ける好調時のピッチングが蘇るだろう。

紅白戦でもう一人、目についたのは、立命館大学からドラフト1位で入団して4年目の右腕・桜井俊貴である。入団当時は天井を向いて投げていたので「これはダメだ」と思っていたが、今年はだいぶよくなって、体も顔もキャッチャーに向かっていく投げ方になってきた。速球を投げ終わると跳ね上がって立ってしまうが、変化球のときのように体を沈めて投げるようになれば、もっとよくなるだろう。
広島からFAで移籍して一時は先発陣の一角を担った大竹寛も、94キロの肥満体を絞り込んで一軍に復帰できるか注目したい。

紅白戦の間も、隣の球場では実績のあるレギュラー組がフリーバッティングをしていたが、打たせるための緩いボールを、片手を離してアッパースイングで打つ選手が多い。打球やノックを追う野手もニヤニヤ笑ったり、片手で簡単にさばくことが多く、キャンプらしい真剣味が感じられない。

 

巨人と対照的なソフトバンクの変化球封印作戦

私は衛星放送のチャンネルを変えながら他球団の練習風景もライブで見るが、広島などはフリー打撃でも投手は速い球を投げ、打者は実戦並みのスイングで打ち返している。投手も参加する内野のチームプレーでも、実戦さながらの真剣な表情と動きを見せていた。

広島だけではない。私はオリックスのシートノックにも感心した。打球を追う選手の動きが基本にかなって無駄がなく、そのまま実戦に通じるような守備だった。これは西村徳文・新監督の指示か、二軍監督から一軍野手総合兼打撃コーチになった田口壮の指導だろうか。

巨人の異例の紅白戦と対照的なキャンプを始めたのは、2年連続日本一のソフトバンクだ。
新聞によると、エースの千賀滉大(せんが・こうだい)は2年連続の開幕投手をめざして連日100球前後の投げ込みを続けたが、キャンプの序盤で投げたのは直球だけ。代名詞の「お化けフォーク」を封印したのは、「7日までは直球だけ」というチーム方針があったからだ。
昨年のキャンプでは序盤から新球種を試したが、「これからのための基礎的な準備。今はまっすぐだけなので、(直球の)球質にこだわっている」という。

投手陣に7日間、変化球を封印させたチーム方針について、倉野信次・投手コーチは「土台を作る。もう一回直球を磨こうということ」と説明した。ピッチングもできていない3日目に紅白戦を行った巨人とは真逆のキャンプスタートだった。

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「清宮は即戦力にならない」「大谷の二刀流はメジャーで通用しない」「イチローは引退して指導者になれ」――セ・パ日本一の名将が大胆予言! 球界大改革のすすめ

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広岡達朗

1932年、広島県呉市生まれ。早稲田大学教育学部卒業。学生野球全盛時代に早大の名ショートとして活躍。1954年に巨人に入団、1年目から正遊撃手を務め、打率.314で新人王とベストナインに輝いた。引退後は評論家活動を経て、広島とヤクルトでコーチを務めた。監督としてヤクルトと西武で日本シリーズに優勝し、セ・パ両リーグで日本一を達成。指導者としての手腕が高く評価された。1992年に野球殿堂入り。『動じない。』(王貞治氏・藤平信一氏との共著、幻冬舎)、『巨人への遺言』『中村天風 悲運に心悩ますな』(ともに幻冬舎)など著書多数。新刊『日本野球よ、それは間違っている!』(幻冬舎)が発売中。

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