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南極調理隊タテヤの越冬日記

2014.06.30 公開 ポスト

第9回

ミッション遂行! この感激と寒さは忘れない竪谷博

 皆様こんにちは。第55次日本南極地域観測隊・調理隊員のタテヤです。

 南極昭和基地では5月に入ると日に日に太陽の出ている時間が短くなって行きます。1日中太陽の出ない日のことを「極夜」(きょくや)と言います。「白夜」の反対ですね。

 極夜期に入る前、太陽が出ている明るい時間を利用して、野外観測に関わるルート工作や機器のメンテナンス作業等を少しでも多く完了させておき、極夜期明けになるべくスムーズな行動をとれるようにしておきたいもの。今回はその一環として果たしたミッションのことをお話ししたいのですが、その前に皆様もまずは「目で腹ごしらえ」ということで……。

 5月1日。夜ごはん。


 鰰(はたはた)のから揚げ


 貴重な緑野菜の一ついんげん! 今日はバターソテーです。


 ベーコンとほうれん草のグラタン。熱々の焼きたて! たまりませんな~。


 ベーコンは手づくりで、スモークの香りが最高! どうですか? 食べたくなるでしょ~(^^)


 手作り豆腐と、青唐辛子とミョウガの醤油漬け。


 できたて!手づくり豆腐。南極ではなぜか長持ちする不思議な豆腐も使いますが、そのまま食べるなら自分でつくった方が俄然美味い。食べるとき、ほんわかとあったかいのがいいですね。


 水耕栽培の水菜も育ってきました。やっぱり緑はいいです。癒されます(^^)


 5月2日。レスキュー訓練。


 母屋である管理棟から少し離れた場所で「足を骨折し動けなくなった隊員の救助」という設定での訓練風景。




 途中、隊員が応援に駆け付けて人手が増え、より安全・確実に救護者を移送します。


 訓練終了後には、必ず反省会を行います。挙げられた反省点は、各隊員で情報共有し、今後に役立てます。


 5月8日。さていよいよミッションの開始です。今回のミッションは、昭和基地のある東オングル島より直線距離でおよそ4km先にある南極大陸へ雪上車で上陸し、S16という地点に駐車してある大型雪上車のメンテナンスとルート工作を行うこと。目的地の大陸は基地の目の前にあるのですが、上陸ポイントまでは大回りして、およそ2時間かかります。


 出発です! 周りのスケールの大きさが分かるでしょうか? 雪上車が走っている場所は既に海氷の上です。


 大陸へ向かって海氷上をひた走ります。前方に小さく見えるのは1号車。ちなみに、海氷面はかなり凹凸があります。


 10:00過ぎ。日が昇り始めました。


 11:00頃、間もなく上陸です。


 奥に盛り上がって見えるのが最大厚さ4776メートルと言われる、南極氷床の斜面です。


 遂に到着! そして南極大陸に初上陸! 牽引してきた橇(そり)から燃料を補給します。


 初上陸記念!


 あの丘の向こうを目指します。


 内陸に向かう目印は、ルート工作時に立てた旗だけです。間隔を空けて点々と立っています。


 長い登り坂を延々と走り続けます。


 南極大陸の平坦なところまで、登坂は約2時間続きました。


 大陸の路面にもかなり凹凸が。慎重に進まなくてはなりません。


 途中、休憩時にキャタピラーの調整をしているところです。


14:00過ぎ、S16地点へようやく到着です!


 内陸旅行で使う大型雪上車が停まっていました。


 奥に見えるのはS17地点にある施設。まるで違う惑星に来たかのようです。


 こちらが今宵の宿、通称「ホテル南国」。8人が宿泊できるスペースがありますが、中は冷凍庫のように冷えています!!

 

 17:30。手袋も取りたくないほど寒い中、肉を食べて元気を出そう!ということで、厚切り牛肉と野菜の蒸し焼きです。

 

 できました!の声と共に、寒くて飢えた胃袋を満たす隊員たち。室内なのにビールは凍る寸前です。


 モリモリ食べてます! 近づいたら噛まれそう~! このとき、外気温-22℃、風速10m、室内気温-15℃。まだ羽毛服が脱げません。本当にさむかったぁ~!


 19:30。ようやく-5℃くらいまで室内気温が上がり、羽毛服が脱げるぐらいに身体も温まってきたところでで一枚パチリ!


 翌朝はうす暗い時間から、雪上車のエンジンを暖機して昭和基地に帰る準備を開始(この時点では8:00頃)。


 次に来るときに備えて大陸に待機させておく大型雪上車のチェックを済ます、車両担当のM隊員。


帰りの燃料を満タンにします。

準備OK! 出発です。


 途中、雪に埋もれた雪上車の救出作業を行いました。


 自力で動くことを祈ります。


 作業開始40分後、なんとか雪のドリフトから脱出成功です。こうして見ると、雪上車の大きさが分かるでしょう?


 翌週に来たときに使う車両なので、慣らし運転をしてチェック。


 15:00頃。無事基地に到着しました。日が暮れるのが早いこの時期は、無理のない早めの行動が求められます。


 大陸上陸初体験の極寒旅行でした!


 5月と言えば端午の節句。こちらの兜もひな人形と同様、歴代の観測隊から伝わる歴史あるものです。


 待望の祭り開催!! 「ステーキなら俺が一番食えるぞ!」と普段言い合っていた漢(おとこ)たちの決着がついに……。


 皿に乗っている数字の紙は肉のグラム数です。各自好きな皿を選んで厨房に持って行き、塩かソースか、ミディアムかレアーかなどをオーダー。注文通りどんどん焼きまくりました!

 

 最後まで食べ続けたこの3人の中から、大食いNO.1の勝者が決まることに。

 

 そして勝者はこの人! 55次隊で一番若いM隊員。平らげたステーキはなんと1360g!この後、誕生日会も兼ねていたので用意していた手づくりケーキもモリモリ食べ始めたのにはビックリ!! www!


 手づくり菓子その1。写真左上は、パティシエK隊員作「雪上車が大陸に上っていく」。そんなイメージでつくったそうです(笑)


 手づくり菓子その2。変形版シュークリーム。


 水耕栽培の野菜も収穫されたので、肉だけじゃなくて、生野菜もたっぷり食べましたよ(^^)


 さ~て、名残りは尽きませんが、そろそろ終了です。今回の話題のメインは、なんといっても、大陸初上陸でした。それではまた次回にお会いしましょう。ごきげんよう! さようなら~(^^)
  

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南極調理隊タテヤの越冬日記

南極ではどんな暮らしをしているの? 何を食べてるの? 第55次南極観測隊・調理担当隊員タテヤが、昭和基地での日々をレポートします。

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竪谷博

1972年、東京都生まれ。日本料理店での修業を経て、居酒屋・風神亭チェーンの料理人として腕をふるう。41歳で一念発起し、第55次南極観測隊の調理担当として、2013年12月、昭和基地に赴任。ただ1人の調理担当隊員として、第55次南極観測隊越冬隊24名の活動を支え、15年3月に帰国。同年7月には東京都杉並区に居酒屋「西荻窪じんから」をオープン、居酒屋激戦区の西荻窪で多くの人に愛される人気店になる。47歳で再び一念発起し、第61次南極観測隊越冬隊の調理担当として、19年12月、昭和基地に赴任。越冬隊30名の活動を支えている。

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