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ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」

2026.05.11 公開 ポスト

科学が証明した「残り時間」と幸福の関係 なぜ人生の後半は“欲張らない”方がうまくいくのか菅原道仁(脳神経外科医)

行き詰まったとき、つい無理に考え続けてしまうことはありませんか? そんなときこそ大切なのは、「いったん手放すこと」そして「目標を見直す勇気」。
今回は、がんばり続けるのではなく、脳の余白を使ってラクに進む方法をお伝えします。

脳神経外科医の菅原道仁さんが、作業効率も人生の満足度も同時に引き上げるための鍵「脳の余白」の重要性を解き明かした『ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」』(リンク先はAmazonページに遷移します)。同著から一部を抜粋してお届けします。

*   *   *

ときどき、目標を見直す勇気を持つ

人生のフェーズの変化で、目標は変わる

ここまで、夢への歩みを続けるために、セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(CEN)の負荷をできるだけ減らす方法をお伝えしてきました。

読み進めてくれたあなたが、少しでも、自分にとって心地よいペースで前に進めるようになっていたら、とてもうれしいです。

最後にひとつだけ。

ぜひ、覚えておいてほしいことがあります。

 

それは「ときどき目標を見直す勇気を持つ」ということ。

 

若い頃は「ガツガツ挑戦したい」と思っていたのに、年齢を重ねるにつれて「ゆったり過ごしたい」と感じるようになる。

こうした変化は、意志が弱くなったからでも諦めたからでもありません。人生のフェーズによって、脳の「生存戦略」が変わっただけなのです。

目標の変化は、生存戦略でもある

僕たちの脳には、大きく分けて2つのモードがあります。

 

●「探索モード」:新しい可能性を広げる。ワクワクを司るドーパミンが主役。

●「安定モード」:今あるものを維持し、守る。安心を司るセロトニンが主役。

 

前者のモードでは、新しいものに目が向き、試行錯誤すること自体が報酬になります。そしてこのときは、ワクワクや挑戦を後押しするドーパミンが関わる神経回路が強く働いています。

一方、後者のモードでは、すでにあるものを整えて、安心できる状態を保つことが重視されます。こちらでは、安心を生み出すセロトニンが関わる神経回路が心身の安定を支えています。

 

人生の中で、どちらのモードが前に出やすいかは、その人の体力・回復力・生活環境・経験によって自然に変わっていきます。

多くの人は、体力や回復力に余裕がある若い時期には「外」に向かい、そうでなくなってくると「内」を整える方向へと重心を移すようになります。

これは、今の自分を生かしながら、幸せでい続けるために、脳が自然に行ったモード切り替えの結果です。

このことは、多くの人が体感としてわかっているのではないでしょうか。

 

「残り時間」の捉え方が、幸せの定義を塗り替える

実は、こうした変化は心理学の世界で「社会情動的選択性理論(Socioemotional Selectivity Theory:SST)」と呼ばれ、私たちが「自分の残り時間をどう捉えているか」で、人生の優先順位が自然と切り替わることを説明しています。

 

若い頃、多くの人は「時間は無限にある」という感覚を持っています。

そのため、将来いつか役に立つかもしれない知識を吸収したり、人脈を広げたりすることに、脳のエネルギーを積極的に投資します。

 

しかし、人生の折り返し地点を過ぎて「時間は有限である」と実感し始めると、脳は戦略をガラリと変えます。

 

●かつての目標(知識獲得):新しい刺激、スキルの習得、人脈の拡大

●これからの目標(情緒的充足):心から愛する人との時間、深い感動、今この瞬間の心の平安

こんなふうに、目標の重点をズラすのです。

脳が選ぶ「最高の贅沢」

残り時間が限られていると気づいたとき、脳は「いつか役立つこと」よりも、「今、この瞬間に意味があること」を本能的に選び始めます。

 

あちこち動き回るよりも、慣れ親しんだ場所で、本当に大切な人と過ごす。

新しい情報を詰め込むより、すでに持っている思い出や絆をじっくり味わう。

 

それは、決して「守り」に入ったのではありません。限られたリソースを、人生でもっとも価値のある「情緒的な満足感」という一点に集中させる、脳の洗練された進化なのです。

 

過去の目標に、縛られない

それでも中には、「一度立てた目標を、変えてはいけない」と考える人もいます。変えるなんて根性がない、忍耐力がない、と思うんですね。

そのせいで、たとえば、若い頃と同じ運動量を続けようとする。

同じ働き方を、無理に維持しようとする。

こうした状態を続けようとすると、脳が過去の自己モデルを再生し続けることで、今の自分の身体の状態や気持ちを無視するようになります。

その結果、燃え尽きたり、心や身体を壊してしまうこともあるわけです。

「やめる勇気」は、生き延びる力

科学ジャーナリスト、ジョナサン・ワイナーの著書『フィンチのくちばし』では、忍耐強すぎるフィンチ(鳥)は、生存確率が下がるという話が紹介されています。

なぜなら、報われる可能性の低い行動に粘り強くリソースを注ぎ続け、変化をせずにいることで飢えや疲弊で命を落とす可能性が高くなるからです。

 

この話は、僕たち人間にも、通じるものがあるのではないでしょうか。

だとすれば、続けることと同じくらい、やめること・見直すことも、生き延びるための大切な知恵なのです。

 

だから、ときどき立ち止まる。

 

だからこそ、定期的にSTEP2のワークに戻って、今の時点の自分にとっての「快」を問い直してみてください。

そして、その延長線上に、今の自分に合った「目標」をそっと置き直す。

それが、あなたが幸せでい続けるための効果的な戦略になります。

 

実際のところ、ある研究でも、自分に合った目標へと柔軟に更新できる人ほど、幸福度が高いという視点が示されています。

 

大事なのは、DMNと対話し続けること

僕たちが幸せでい続けられるように、自分の「快」に沿って、目標をときどき見直すのは、とても重要なことです。

でも、忙しい日常の中では、どうしても「頭で決めたこと」に縛られがちになります。

だからこそ、ときどき立ち止まって、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)──あなたの内側の声と、静かに対話してみてください。

 

自分と向き合うこと。

他の誰でもない、あなた自身の声を拾い上げることが、

あなたが幸せになるための絶対条件であり、

あなたの人生の最優先事項であることを、どうか忘れずに。

 

ここまでお伝えしてきたことが、あなたの人生を少しでも軽やかにするヒントになっていたら、とてもうれしく思います。

*   *   *

菅原道仁さんの新刊『ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」』には、倍速で消耗する人生を手放すためのヒントがたくさんつまっています。ぜひご覧ください!

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ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」

倍速で消耗する人生、そろそろ手放そう。
パフォーマンスの質を決めるのは、「速さ」ではなく「ゆるめ方」!

「がんばっているのに、なぜか成果が出ない」
「タイパを追うほど、心も体も消耗していく」
……そんな“タイパ疲れ”を感じていませんか?

じつは、私たちの脳内には、4人のキャラクター(心配性の「おかん」、情報分析と注意の意識の使い手「交換手」、行動の司令塔である「マネージャー」、自分らしい生き方を模索する「アーティスト」)がいて、その役割分担がうまくいくことで毎日の選択や行動がなりたっています。
ですが、残念なことに効率を求めすぎる現代人はこの4人のバランスが大きく崩れてしまっています。
それが、タイパを追うほど虚しさが募る「脳のパラドクス」の正体なのです。

本書では、脳神経外科医である著者が、脳科学的な視点から「脳の余白」をつくる新習慣を提案します。
それは単なる休息ではなく、人生の処理能力を劇的に引き上げるための戦略的な「ゆるめ方」です。

スマホ依存から脳を守り、五感を研ぎ澄ませ、ぼーっとする時間で「自分を紡ぐ」――。
脳をゆるめて“余白”をつくれば、人生は最短距離で好転し始めます。

倍速で消耗する生き方を卒業し、最小コストで最大の結果を手に入れる「真のタイパ」を、あなたもこの本をとおしてぜひ手に入れてください。

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菅原道仁 脳神経外科医

1970年生まれ。杏林大学医学部卒業後、クモ膜下出血や脳梗塞などの緊急脳疾患を専門として国立国際医療センターに勤務。2000年、救急から在宅まで一貫した医療を提供できる医療システムの構築を目指し、脳神経外科専門の八王子市・北原脳神経外科病院に勤務し、緊急対応に明け暮れる。2015年6月に菅原脳神経外科クリニック、2019年10月に菅原クリニック 東京脳ドックを開院。その診療経験をもとに「人生目標から考える医療」のスタイルを確立し、心や生き方までをサポートする医療を行う。脳のしくみについてのわかりやすい解説は好評で、テレビ出演多数。

著書に『そのお金のムダづかい、やめられます』(文響社)、『成功する人は心配性』(かんき出版)、『成功の食事法』(ポプラ社)、『すぐやる脳』『あの人を、脳から消す技術』(サンマーク出版)、監修に『体の不調が消える「自律神経」の整え方』(太洋図書)、『1日3分! 脳と筋肉を同時に鍛えるにしかわ体操』(アスコム)などがある。

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