ここまでで見えてきた「心地よい方向」。今回は、それを無理なく行動につなげ、続けていくための方法を扱います。大切なのは、がんばることではなく「脳の余白」を保つこと。そして、自分が自然と動ける「モチベーションの源泉」に気づくこと。ラクに、でも確実に前へ進むためのステップをお伝えします。
脳神経外科医である菅原道仁さんが、脳科学的な視点から「脳の余白」をつくる新習慣を提案する『ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」』(リンク先はAmazonページに遷移します)。同著から本文の一部を抜粋してお届けします。
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このSTEPの狙い
今回お伝えするのは、「幸せの方向性」の引き渡しを終えたセントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(CEN)に、無理なく、夢への歩みを継続してもらうテクニック。
そのために必要となるのも、やっぱり「脳の余白」です。
CENの負担が軽くなると、判断や決断がしやすくなって、行動の継続も少しラクになります。作業タイパも自然と上がっていくでしょう。
ここが本書の最終工程。
「がんばり続ける」ためではなく、「ラクに進み続ける」ための方法をお伝えします。

CENに余白をつくると夢への道は進みやすくなる
STEP3では、
自分の「心地よさ」を知るアーティスト・DMNと、
行動計画を担うマネージャー・CENを、
ゆるやかに協調させるテクニックをお伝えしました。
その結果、「自分はどんな方向に進むと心地よいか」という、あなたが生きたい人生の方向性が、なんとなく見えてきたのではないでしょうか。
その方向で歩みを進める中で、「自分はこうなりたい」「こうやってみたい」という具体的な夢に出会うこともあると思います。
たとえば、「喜びを感じられる分野で起業したい」とか、「趣味の個展をやりたい」とか、「おだやかでいられる場所へ引っ越したい」とか。
いわゆる目標、目的が見つかった状態ですね。
ここからは、CENの出番
目標が見つかった今、そこを目指して意図的に、行動を組み立てる段階に入ります。
ここからが、実行部隊であるセントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(CEN)のがんばりどころ。
CENは、
●目標に向けた行動の計画
●判断や決断
●注意力・集中力のコントロール
といった、実現のためのプロセスを担うネットワーク。
あなたが夢に近づくために、着実に仕事を進めてくれる存在です。
ただ、本書の前半でもお伝えしたように、情報過多な現代では、CENはとても忙しくなりがちです。過敏になった扁桃体や、常に「重要そうなもの」を拾い上げるサリエンス・ネットワーク(SN)から、次々と判断や対応を求められているからです。
もちろん、ここまで読んでくださったあなたは、以前よりはスマホや情報入力を控えて、CENの負担を減らしてくれていることでしょう(……ですよね?)。
しかし、実を言うとそれだけでは、マネージャーのパフォーマンスを最大まで引き出すには、少々不十分なのです。
情報を減らすだけでは足りない理由
もちろん、情報の入力を減らすことは、セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(CEN)を休ませるための大切な一歩ではあるのです。
ただ、それだけでは、
「やるべきことがわかっているのに、なぜか動けない」
「決めようとすると、急に疲れてしまう」
そんな状態が残ることがあるんですね。
なぜならCENは、情報処理だけで疲れているのではなく、判断や決断そのものにも、強いエネルギーを使うから。
つまり、情報を減らしても、「決め方」や「動き方」が変わらないままだと、CENの負担は、思ったほど軽くならないのです。
そこで必要になるのが、CENの使い方そのものを整えること。
CENに「余白」が生まれると、
●判断が重くならず、判断にかかるエネルギーも少なくなる
●行動に取りかかりやすくなる
●継続が苦になりにくくなる
そんな変化が起こり始めます。
ということで、次からは、CENに余白をつくるための具体的な方法を、ひとつずつ見ていきましょう。
まだ夢が不確かなら、モチベーションの源泉を知ろう
CENを動かす「エネルギーの出どころ」を見つける
目標実現のためのプロセスを担うセントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(CEN)は、あなたが「これを目指そう」と方向を定めると、その実現に向かって、計画を立て、行動を進めてくれるネットワークです。
ただし、その前提となる「目標」そのものが、まだはっきりしていない場合もありますよね。
「正直、何を目指したいのか、まだよくわからない」
そんなときに無理に目標を決めようとすると、CENはかえって負担を感じやすくなってしまいます。
そこでまず、いきなり夢や目標を決める代わりに、あなたの中で「エネルギーが生まれやすい方向」を知ってもらうことから始めたいと思います。
それが、あなたの「モチベーションの源泉」です。
次のチェックリストに答えることで、あなたがどんなときに自然と動きやすくなるのか、どんな条件でやる気や集中が生まれやすいのか、その傾向が見えてきます。
言い換えると、「あなたが夢中になりやすいパターン」を知るための診断ですね。
「もう目標は決まっている」という人も、このあとの「『報酬』を用意して、夢への歩みをゆるルーティン化する」と深く関係してきますから、ぜひそのまま読み進めてみてください。

あなたのモチベーションタイプ・チェック
次の10の質問について、A~Dの選択肢の中から、深く考えすぎず、直感でひとつ選んでください。
Q1.新しいことを思いついたときの、あなたの第一反応は?
A:誰かの反応を見たくなる
B:とにかく面白そうで動き出したくなる
C:安心できるかが気になる
D:一人で静かに試したくなる
Q2.目標を立てるとき、心が動くポイントは?
A:褒められるか、認められるか
B:純粋に「好き」かどうか
C:生活が安定するか
D:じっくり取り組めるか
Q3.理想の休日は?
A:人と会って刺激を受ける
B:興味のあるスポットを気ままに探検
C:のんびり自分のペースで整える
D:ひとりで没頭できる場所にこもる
Q4.「夢」が浮かんだとき、強く感じるのは?
A:評価されたい気持ち
B:楽しさが湧いてくる
C:安心したい気持ち
D:集中したい気持ち
Q5.あなたが疲れたときに、いちばん欲しいものは?
A:誰かからの励まし
B:気分転換のワクワク
C:休息とぬくもり
D:静寂
Q6.やりたいことを続ける原動力は?
A:誰かが応援してくれる
B:純粋に楽しいという感情
C:自分の生活と調和している
D:深く入り込める感覚
Q7.大事な選択をするときに重視するのは?
A:人からの印象
B:心がときめくかどうか
C:安心感があるかどうか
D:興味が尽きないかどうか
Q8.「理想の自分」を思い描くときは?
A:周囲から評価されて輝く自分
B:楽しさを追いかけている自分
C:おだやかな環境で落ち着いている自分
D:専門性を極めている自分
Q9.「これをやりたい」と思った理由にいちばん近いのは?
A:認められたい
B:とにかく面白そうだから
C:落ち着くから
D:集中できそうだから
Q10.いちばんよく言われる性格は?
A:社交的/華がある
B:好奇心旺盛
C:おだやか/落ち着いている
D:探究心が深い
【集計】
A・B・C・Dの数を数えてください。
もっとも多い項目が、今のあなたの「モチベーションの源泉」です。
同数だった場合は、両方の診断結果を参考にしてみてください。
【診断結果】
Aが最多
キツネ タイプ「みんなを驚かせたい、スマートに輝きたい」
モチベーション▷承認ワクワク(ドーパミン・外向き系)
特徴 ▷周囲の反応や評価が刺激になりやすいタイプ
キツネは周囲の空気を読む天才。「見られている」「期待されている」と感じると、自然とアクセルが入ります。ただ、評価を追いかけ続けると疲れやすい一面も。
アドバイス ▷誰も見ていなくても「自分だけが楽しいこと」をひとつ育ててみましょう。キツネの知性が、よりしなやかに働きます。
Bが最多
イルカタイプ「好きだから、面白いから、やらずにいられない!」
モチベーション▷好奇心ワクワク(ドーパミン・内向き系)
特徴 ▷純粋な興味や楽しさが原動力
イルカは遊びながら成長する天才です。誰にも褒められなくても「面白そう!」という感覚だけで動ける、内発的なエネルギーを持っています。
アドバイス ▷ワクワクを抑え込まず、まずは小さく試す行動を重ねてください。イルカ型の創造性がさらに広がります。

Cが最多
パンダタイプ「おだやかさと安心感が、夢を育てる」
モチベーション▷安心(セロトニン系)
特徴 ▷心地よい環境で力を発揮するタイプ
パンダは焦らされると動きにくい半面、落ち着いた状態では、安定した力を発揮するタイプ。
アドバイス ▷1日の中に「小さな安心の儀式」を取り入れてみてください。「これをすると落ち着く」と身体が覚えている行為で、パンダの持久力が自然と発動します。
Dが最多
フクロウタイプ「深く潜り、静かに極める集中の名手」
モチベーション▷没頭(アセチルコリン系)
特徴 ▷雑音が少ないほど集中力が高まるタイプ
フクロウは本質をじっと見つめられる存在。ひとたびスイッチが入ると、長時間でも深く取り組める「没頭の天才」です。
アドバイス ▷雑音を減らす環境を整えると、フクロウの集中力はより高まります。
いかがでしょう?
「そういえば、こんなときに自分は夢中になっているかも」という場面が、少しでも思い浮かんだのではないでしょうか。
それだけで大収穫です!

まずは、自分はどんなときにエネルギーが生まれやすいのか。
そこに気づけただけで、あなたの「自分を見る視点」は、すでに一段アップデートされていますよ。
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ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」

倍速で消耗する人生、そろそろ手放そう。
パフォーマンスの質を決めるのは、「速さ」ではなく「ゆるめ方」!
「がんばっているのに、なぜか成果が出ない」
「タイパを追うほど、心も体も消耗していく」
……そんな“タイパ疲れ”を感じていませんか?
じつは、私たちの脳内には、4人のキャラクター(心配性の「おかん」、情報分析と注意の意識の使い手「交換手」、行動の司令塔である「マネージャー」、自分らしい生き方を模索する「アーティスト」)がいて、その役割分担がうまくいくことで毎日の選択や行動がなりたっています。
ですが、残念なことに効率を求めすぎる現代人はこの4人のバランスが大きく崩れてしまっています。
それが、タイパを追うほど虚しさが募る「脳のパラドクス」の正体なのです。
本書では、脳神経外科医である著者が、脳科学的な視点から「脳の余白」をつくる新習慣を提案します。
それは単なる休息ではなく、人生の処理能力を劇的に引き上げるための戦略的な「ゆるめ方」です。
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