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ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」

2026.05.07 公開 ポスト

幸せとは「結果」ではなく「状態」のこと 脳をゆるめて、あなたの内なる“軸”を取り戻す方法菅原道仁(脳神経外科医)

「心に従って生きる」と聞くと、大きな夢や明確なゴールを決めることをイメージしがちではないですか? でも、ここで大切にしたいのは、もっとやわらかな感覚です。どこにたどり着くかよりも、「どちらへ進むと心地よいか」。その小さな方向感覚を頼りに、日々の選択を少しずつ整えていくことが重要です。では、そのために必要なものは一体何なのでしょうか。

 

脳神経外科医である菅原道仁さんが、脳科学的な視点から「脳の余白」をつくる新習慣を提案する『ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」』(リンク先はAmazonページに遷移します)。同著から本文の一部を抜粋してお届けします。

*   *   *

 

「心に従って生きる」=「目的を決めること」ではない

こうした変化を実感し始める頃になると、「心に従って生きる」というのがどういうことか、感覚でわかってくると思います。

 

自分が、心地よいと思える環境で生きる。

自分が、心地よくいられる人たちと一緒にいる。

自分が、心地よいと感じる作業に浸る。

そんな日々の選択を、少しずつ増やしていくこと。

 

つまり、「心に従って生きる」とは、最初から明確な人生の目的やゴールを決めることではなく、心が指し示す「人生の方向性」を、ぼんやりと感じ取りながら生きることなのです。

 

「どこに到着するか」を決めるより、まず、「どちらへ進むと、今の自分が心地よいか」を感じ取っていればいい。

それだけで、人生は静かに、望みの方向に変わり始めます。

 

脳は「方向」さえあれば、安心して動き出せる

実は、この「目的地を固定せず、方向性だけを持つ」という姿勢が、マネージャー(CEN)の負担を劇的に軽くしてくれます。

 

なぜなら、CENの一部である前帯状皮質は、「予測できない未来」に対して、強いストレス反応を示すことが知られています。そのため、「人生の目的地を、明確に言語化しなければ」と考えれば考えるほど、不安が増して進めなくなることがあるのです。

 

一方で、たとえゴールは未定でも、「進む方向」だけが示されていると、脳には「わからないからこそ、探しに行きたい!」というポジティブな推進力(探索力)が生まれます。

一歩を踏み出す不安を和らげてくれるのは、ガチガチの目標設定ではなく、「あなたにとっての快(心地よさ)の方向性」なのです。

 

あなたにとっての「快」を大事にしながら進む中で、「自分はこれがほしい」「こうなりたい」というビジョンに出会ったとき、はじめて、そのための決断や目標設定を行えばいいわけです。

この順番こそが、幸せでいながら、夢を叶えていくためのプロセスです。

 

まずは、自分の軸を取り戻す

多くの人はきっと、「夢を叶えれば、幸せになれる」と考えているんじゃないかと思います。

 

でも、「夢を叶えて成功したのに、がんばりすぎて心身を壊してしまった」。

あるいは、「人間関係を後回しにした結果、気づけば孤独になっていた」。

そんな話は、決して珍しくないですよね。

 

これはつまり、「夢を叶えること」そのものが、幸せを保証するわけではないということ。

 

なぜなら、幸せとは、おそらく「結果」ではなく、「状態」だから。

 

好きな人と過ごせる、そんな心地よい状態にいられること。

好きなことに集中していられる、そんな心地よい状態にいられること。

何かに邪魔されない時間を持てる、そんな心地よい状態にいられること。

 

こうした心地よい状態にいながら夢を叶えた人は、夢が叶ったあとも、幸せでい続けることができます。

 

だからこそ、僕たちはいま、「先に幸せになる」という順番に、もう一度立ち戻る必要があるのではないでしょうか。

 

幸せとは、頭で考えて、がんばって手に入れるものではありません。

脳をゆるめることで立ち上がってくる、自分にとっての「心地よさ」を、日々、そっと味わい続けることなのです。

 

そして、あなたの「心地よさ」は、STEP2のワークで見つけましたね。それが、あなた自身の「軸」となる幸せなのです。まずは、ここを取り戻す必要がありました。

 

さぁ、ここから、あなたの中のアーティストが見つけた幸せを、行動を担うマネージャーへゆっくりと引き渡していきます。

心の声を、頭に引き渡すワーク

ぼーっとして、「快」の続きをイメージする

このワークは、DMN(心)とCEN(思考)を自然に協調させるためのワークです。

 

これは、STEP2で行った「快日記」に、あなたが感じる「心地よさ」についてのメモが、数週間、溜まった状態で行ってください。

 

やることはものすごくシンプルです。

 

❶いったん、何もしない(5~10分)

時間に余裕のあるとき、スマホを置いて、5~10分、ただぼーっとします。これは、CEN(思考)を、いったんゆるめるための時間です。

たとえば、窓の外を眺める。散歩をする。空を見る。お風呂に入る。

どんなことでも構いません。

自分がリラックスしてぼんやりできればOKです。

 

❷気になる一文を、ひとつだけ選ぶ

自分がつけた「快日記」の中から、次のような一文を、ひとつ選びます。

 

●理由はわからないけれど、気になる

●説明できないけれど、好き

●なぜか、その一文ばかり何度も目で追ってしまう

 

ここでのポイントは、たくさん選ばないことです。

複数選んでしまうと、比較や評価など「考えること」が始まって、CENが前に出すぎてしまいます。

この段階では、DMNの答えを、CENに「一緒に眺めてもらう」だけで十分。目指すのは、どちらかが主役になることではなく、心と頭が両方とも、ほどほどに働いている状態です。

 

「へぇ、自分は、これが気になるんだ」

と静かに眺められればOKです。

 

❸「心地よさ」の続きをイメージする

選んだ一文を前にして、次の問いを、心の中にそっと置きます。

「これが日常なら、どこが少しラクになるだろう?」

ロジカルに考えようとせず、ただ、イメージしてみてください。

 

たとえば、選んだ一文が、

「急かされずに、自分のペースで過ごすときが心地よかった」なら、

→「これが日常なら、無理な頼まれごとは引き受けずにいられるかも」

 

あるいは、

「好きな手芸を楽しんでいるとき、時間を忘れてのめり込んだ」なら、

→「この時間が毎日あれば、他のストレスがあまり気にならなくなるかも」

 

そんなふうに、少し先の心地よさを思い浮かべて、「ああ、なんかいいな」「幸せだな」というイメージに浸ってください。

思わず頰がゆるんだり、生きる勇気がじんわり湧いてきたり。

そんな不思議な心地よさが、今、あなたの中に広がっているのではないでしょうか。

 

この心地よさこそが、あなたがこれから生きていくべき未来の「方向性」。

この「快」に浸りながら、もう一度、軽く休みます。

これで、ワークは終わりです。

 

ちなみに、このとき、「心地よさ」を語っているのは、まだDMN(心)です。CEN(思考)は、「どう動こう」などと結論を急がずに、DMN(心)のつぶやきをただ見つめています。

どちらも主導権を奪わず、どちらも黙らされない。

この状態こそが、心を思考に「引き渡すための休息」です。

 

もしワークの途中で、

「これはどういう意味だろう?」

「これを、どう活かせばいいんだろう?」

そんな思考がぐるぐる回り始めたら、それはCEN(思考)が、少し前に出すぎているサイン。

そのときは、このワークをいったん終えて、後日、時間があるとき、ふと思い出したタイミングで、またやってみてください。

 

このワークでいちばん重要なのは、考え続けない勇気。

引き渡しのための静かな「余白」こそ、心と思考の連携に必要なものです。

 

引き渡しが無事に終わったら、これまでのSTEPを通じてつくった「脳の余白」を使って、あなたの人生をさらに豊かなものにするために、もう一歩、前に進みましょう。

*   *   *

脳の余白を作り、「目指すゴールに最短で到達する」ためのヒントがつまった『ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」』は好評発売中です!

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ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」

倍速で消耗する人生、そろそろ手放そう。
パフォーマンスの質を決めるのは、「速さ」ではなく「ゆるめ方」!

「がんばっているのに、なぜか成果が出ない」
「タイパを追うほど、心も体も消耗していく」
……そんな“タイパ疲れ”を感じていませんか?

じつは、私たちの脳内には、4人のキャラクター(心配性の「おかん」、情報分析と注意の意識の使い手「交換手」、行動の司令塔である「マネージャー」、自分らしい生き方を模索する「アーティスト」)がいて、その役割分担がうまくいくことで毎日の選択や行動がなりたっています。
ですが、残念なことに効率を求めすぎる現代人はこの4人のバランスが大きく崩れてしまっています。
それが、タイパを追うほど虚しさが募る「脳のパラドクス」の正体なのです。

本書では、脳神経外科医である著者が、脳科学的な視点から「脳の余白」をつくる新習慣を提案します。
それは単なる休息ではなく、人生の処理能力を劇的に引き上げるための戦略的な「ゆるめ方」です。

スマホ依存から脳を守り、五感を研ぎ澄ませ、ぼーっとする時間で「自分を紡ぐ」――。
脳をゆるめて“余白”をつくれば、人生は最短距離で好転し始めます。

倍速で消耗する生き方を卒業し、最小コストで最大の結果を手に入れる「真のタイパ」を、あなたもこの本をとおしてぜひ手に入れてください。

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菅原道仁 脳神経外科医

1970年生まれ。杏林大学医学部卒業後、クモ膜下出血や脳梗塞などの緊急脳疾患を専門として国立国際医療センターに勤務。2000年、救急から在宅まで一貫した医療を提供できる医療システムの構築を目指し、脳神経外科専門の八王子市・北原脳神経外科病院に勤務し、緊急対応に明け暮れる。2015年6月に菅原脳神経外科クリニック、2019年10月に菅原クリニック 東京脳ドックを開院。その診療経験をもとに「人生目標から考える医療」のスタイルを確立し、心や生き方までをサポートする医療を行う。脳のしくみについてのわかりやすい解説は好評で、テレビ出演多数。

著書に『そのお金のムダづかい、やめられます』(文響社)、『成功する人は心配性』(かんき出版)、『成功の食事法』(ポプラ社)、『すぐやる脳』『あの人を、脳から消す技術』(サンマーク出版)、監修に『体の不調が消える「自律神経」の整え方』(太洋図書)、『1日3分! 脳と筋肉を同時に鍛えるにしかわ体操』(アスコム)などがある。

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