スマホに追われ、気づけば常に何かに反応し続けている。そんな状態が続いていませんか? 脳の疲れは「がんばり不足」ではなく、「使いすぎ」と「休ませ方の不足」から生まれます。
ここでは、脳に静けさと余白を取り戻すのに有効な、小さな習慣の積み重ねを紹介します。
脳神経外科医である菅原道仁さんが、脳科学的な視点から「脳の余白」をつくる新習慣を提案する『ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」』(リンク先はAmazonページに遷移します)。同著から本文の一部を抜粋してお届けします。
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脳をゆるめるワーク:自分へのプレゼントを用意する
「朝・晩」にスマホに触れない時間をプレゼント
「スマホを黙らせるのが効果的なのはわかってるけど、そう強引にやるのも厳しいな」という人は、自分へのムチではなく、アメを用意するのはいかがでしょうか。
「スマホに触れない時間」を用意して、それを自分へのプレゼントにしてみるのです。
たとえば、1日の最初の1時間と、最後の1時間。
この間だけでも、スマホをおやすみモードにして、SNSも見ない。
ニュースも見ない。
メールもチェックしない。
動画も見ない。
そうやって、いつも忙しいサリエンス・ネットワーク(SN)に「静寂タイム」をプレゼントしてあげるのです。
そしてこの時間は、朝ならたとえば、好きなお茶をゆったり飲んだり、散歩をしたり。夜なら、静かな音楽を聴いたり、セルフケアを丁寧にしたり。せっかくですから、自分が好きなこと、自分を喜ばせるための行為を、1つか2つ、入れてあげるといいでしょう。
1日の「始まり」と「終わり」に、自分を大切にする習慣を持てれば、それだけで人生はけっこう楽しくなります。
脳もラクになって、一石二鳥です。

出かけるなら、スマホに触れない場所へ
数時間程度の空き時間があるときに、「スマホが触れない場所」を選んで出向くのも、すごくいいと思います。
たとえば、映画館やプラネタリウムなどの、スマホを開きづらい場所。
あるいは、サウナやプール、銭湯といった「水場」も、スマホが使えないのでいいですよね。
数時間でも、数日でも、起きている間にスマホに触れない時間を過ごすことで、サリエンス・ネットワーク(SN)が静かに整っていきます。
週末だけ、季節ごとに、まとまった時間を
毎日の中にスマホに触れない時間を組み込むのが難しければ、ある程度期間を空けて……でも構いません。
その場合は、週末にスマホの電源を半日だけオフにするとか、季節ごとに「1日まるごと、オフ日」宣言をしてスマホの電源を切るとか、ある程度まとまった時間を、自分のために用意してあげるといいと思います。
このときは、事前に周りの人たちに「この時間は連絡とれないから」と伝えておくと、周りも安心しますし、あなた自身もわりとスマホを気にせず過ごせます。
最近はデジタル・デトックスができる宿泊施設や、旅行プランも増えてきましたよね。
こうした場所を利用して、強制的にスマホに触れない時間を自分にプレゼントしてあげるのも、賢い時間の使い方だと思います。

脳をゆるめるワーク:五感を使って「快」を味わう
スマホに触れないのが不安なら、「心地よさ」に浸る
「スマホに触れて新しい情報を得られないと、なんだか物足りなくて不安になってしまう」
そんなときは、五感を使って「快」を探してみてください。
「光(視覚)・音(聴覚)・香り(嗅覚)・味(味覚)・手ざわり(触覚)」の中に「心地よい(快)」と思う感覚を見つけて、じっくり味わってほしいのです。
「心地よさ」を選ぶときのポイントは「うっとり感」です。
ドキドキするような激しい刺激ではなく、静かに浸っていたくなるような、そんなおだやかな刺激を選びます。
たとえば、蛍光灯をキャンドルにしてみる、波の音や「推し」のおだやかな声を聴く、街路の花やアロマの香りを嗅ぐ、好きなチョコレートをゆっくり味わう、着心地のいい服に着替えてみる、など。
このときに感じる「うっとり感」の正体は、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」です。セロトニンには、精神を安定させて、ストレスを軽減し、心身をリラックスさせる効果があります。
こうした「快」に浸っていると、新たな情報に触れられないことの不安も、気にならなくなってきますよ。
脳をゆるめるワーク:自然の中を歩く
自然が扁桃体を落ち着かせる
交換手であるサリエンス・ネットワーク(SN)が疲れてしまうのは、刺激に過敏になった扁桃体がやたらと反応しすぎるせいもあります。ということは、扁桃体への刺激を減らしてあげれば、SNも少し休めるということです。
そのための簡単な方法のひとつが、自然の中を歩くこと。
ドイツのマックス・プランク人間開発研究所が2022年に発表した報告によると、自然の中を1時間散歩するだけで、扁桃体の活動が抑えられることがわかっています。
この研究では、被験者たちに「都市部」「森林地帯」を1時間歩いてもらった後、fMRIで脳活動を測定。その結果、都市部を歩いたグループの扁桃体の活動には変化が見られないものの、森林地帯を歩いたグループは扁桃体の活動が低下していたことがわかったのです。
自然の何が扁桃体を落ち着かせるのか、その理由はまだ明らかにされていません。とはいえ、効果はあるわけですから、スマホの見すぎが気になるときや、忙しすぎて脳に余裕がないときこそ、意識的に自然の多い場所で過ごすようにしてください。
それだけで、「脳の余白」が増えていきます。
脳をゆるめるワーク:目隠しする
アイマスクで情報を強制的に遮断
仕事の際は、スマホだけでなく、パソコンを使うことも多いですよね。
常にモニターを見続けて、延々と情報を摂取。それを元に何かを考えようと思っても、脳がいっぱいいっぱいで、全然考えがまとまらない……。
そんなときは、多すぎる情報入力を制限するために、アイマスクなどで目を覆ってしまいましょう。
僕たちは、情報入力の多くを「視覚」に頼っています。ですから、目隠しをして、一時的に情報をシャットダウンしてしまうのです。
スマホともパソコンとも、しばしお別れ。忙しい合間に、こうした時間を10分でも持てれば、脳の緊張を解いてあげることができるでしょう。
可能ならホットアイマスクなどを使って、目元をじんわり温めるのもおすすめです。心地よさを感じると、心身をリラックスさせる副交感神経が優位になって、扁桃体の反応も落ち着きます。
ただ、人前でアイマスクを使う場合は、休んでいることが一目瞭然なので、事前に「今から少し休むから、そっとしておいて」と周りに宣言しておくとよさそうです。

脳をゆるめるワーク:昼寝する
「パワーナップ」で脳の疲れをリセット
いっそのこと、少しの間眠ることで、脳への情報入力をシャットダウンしてしまうのもアリです。可能なら、忙しい昼間、たとえば昼食後に15~30分の「仮眠ブレイク」を入れましょう。
アメリカのコーネル大学の社会心理学者、ジェームズ・マース博士は、「パワーナップ」という仮眠ブレイクを提唱しています。
「積極的仮眠」とも呼ばれるこの方法は、お昼の12~15時頃の間に、15~30分程度の昼寝をするというもの。すると、午前中に稼働させた脳のメモリがリセットされて、起きた後はスッキリした頭で再び動き出せるという手法です。
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脳をゆるめるための他のワークも気になった方は、『ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」』をお手に取ってみてください!
ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」

倍速で消耗する人生、そろそろ手放そう。
パフォーマンスの質を決めるのは、「速さ」ではなく「ゆるめ方」!
「がんばっているのに、なぜか成果が出ない」
「タイパを追うほど、心も体も消耗していく」
……そんな“タイパ疲れ”を感じていませんか?
じつは、私たちの脳内には、4人のキャラクター(心配性の「おかん」、情報分析と注意の意識の使い手「交換手」、行動の司令塔である「マネージャー」、自分らしい生き方を模索する「アーティスト」)がいて、その役割分担がうまくいくことで毎日の選択や行動がなりたっています。
ですが、残念なことに効率を求めすぎる現代人はこの4人のバランスが大きく崩れてしまっています。
それが、タイパを追うほど虚しさが募る「脳のパラドクス」の正体なのです。
本書では、脳神経外科医である著者が、脳科学的な視点から「脳の余白」をつくる新習慣を提案します。
それは単なる休息ではなく、人生の処理能力を劇的に引き上げるための戦略的な「ゆるめ方」です。
スマホ依存から脳を守り、五感を研ぎ澄ませ、ぼーっとする時間で「自分を紡ぐ」――。
脳をゆるめて“余白”をつくれば、人生は最短距離で好転し始めます。
倍速で消耗する生き方を卒業し、最小コストで最大の結果を手に入れる「真のタイパ」を、あなたもこの本をとおしてぜひ手に入れてください。










