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眩しがりやが見た光

2019.05.21 更新 ツイート

銀河で一番静かな革命マヒトゥ・ザ・ピーポー

深夜のファミレスにはある種のグルーヴがある。明らかに帰る家がなくドリンクバーで何時間もしのぐおじさん。ホテヘル嬢だろう、うつむいて電話を待っている女の人。未成年と思われる勉強のできなそうな家出少年。席は向かい合ってはいるが、お互いの顔を見ることはなくゲームの画面に没頭するオタク。

各々が訳ありなムードを内包しつつ、そこには不干渉だ。だが確かに存在していることをお互いに肩で認知しあっている。手を取り、徒党を組むことだけではなく、無干渉だが無関係ではないというグルーヴも存在することをわたしは真夜中のファミレスで学んだ。

いきつけのジョナサンにわたしが入店して24時間をゆうに経過している。店員はわたしと目があうと会釈するが、毎日来るためだろう、その微笑みにもわずかだが親しみを感じ取ることができた。

わたしはタイピングしている。当たり障りない趣味の有線がややうざったい店内で黒いキーをパチパチ打ちながら、複数の人間の人生を描いている。このキーボードを打つ画面の向こう側の景色を創造することは、まるで神様の仕事のようで、大げさなようだが、時にナーバスに入ることもあった。現実世界の友人と同じように、書いているうちに登場人物に思い入れも生まれる。

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マヒトゥ・ザ・ピーポー『銀河で一番静かな革命』

海外に行ったことのない英会話講師のゆうき。長いあいだ新しい曲を作ることができないでいるミュージシャンの光太。父親のわからない子を産んだ自分を責める、シングルマザーのましろ。 決めるのはいつも自分じゃない誰か。孤独と鬱屈はいつも身近にあった。だから、こんな世界に未練なんてない、ずっとそう思っていたのに、あの「通達」ですべて変わってしまった。 タイムリミットが来る前に、私たちは、「答え」を探さなければならない――。 孤独で不器用な人々の輝きを切なく鮮やかに切り取る、ずっと忘れられない物語。アンダーグラウンド界の鬼才が放つ、珠玉のデビュー小説。5月23日発売。

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眩しがりやが見た光

GEZAN・マヒトの見た、光、幸福、人生。

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マヒトゥ・ザ・ピーポー

ミュージシャン。2009年に大阪にて結成されたバンド・GEZANの作詞作曲を行いボーカルとして音楽活動開始。
2014年、青葉市子とのユニットNUUAMMを結成。
2018年、GEZANのアメリカツアーを敢行し、スティーブ・アルビニをエンジニアに迎えたアルバム「Silence Will Speak」を発表。
2019年2月にソロアルバム「不完全なけもの」、4月に「やさしい哺乳類」を発売。
5月にはじめての小説「銀河で一番静かな革命」を発売、6月には初めてのドキュメンタリー映画「Tribe Called Discord:Documentary of GEZAN」が公開、同年7月には初めてのフジロックのメインステージ出演が決定している。
2014年からは、完全手作りの投げ銭制野外フェス「全感覚祭」も主催。自由に境界をまたぎながらも個であることを貫くスタイルと、幅広い楽曲、独自の世界を打ち出す歌詞への評価は高く、日本のアンダーグラウンドシーンを牽引する存在として注目を集めている。

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