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死んだじいちゃんに「何か怒れることがあったり、悲しいことがある時は、言葉や力に頼らずに自分の仕事で清算しなさい」と言われたことがある。
説教臭い人ではなく、いつもは寡黙だった。自分が道をそれると、後ろから引き止めるようにどやしつけるのではなく、ボロボロになり頭を垂れて戻ってくる時、角を曲がると、そこで最初から腰を休めてたかのように空を見ているような、そんなじいちゃんだった。
夕さりの沈黙はやさしい。空に飛んだツバメは、もう花の咲くことのない痛んだ桜の木の枝で同じように羽を休める。わたしはじんじんと腫れた掌をさすりながらただ黙って空を睨んでいた。
今の時代、仕事で清算するまでもなく、SNSの中で自分を表現することができる。有名人のいいねに喜んだり、繋がっているような感覚? でも、どこまでいってもそこに温度はなく、その先は暗く冷たい。軽薄なものの中できゃんきゃん吠えている自分の姿が液晶の黒くなった画面に映った時、その文字を打っていた男を静寂はじっとりと軽蔑している。
わたしの仕事とはなんだろうか?
いまだにわからないまま、畦道を歩いている。両脇、カエルが鳴いていた夏はゆうに越え、冷えた年末の空気が鉛のような低い温度を引き連れ、靴と靴の間を巡回していた。
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