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眩しがりやが見た光

2019.03.14 更新

ただ、三月は目をこすっているマヒトゥ・ザ・ピーポー

(photography:吉本真大)

毎日マスクをして、花粉から身を守るワタシに春の匂いなど感じられるはずもなく、強いていうならこのガーゼの匂いがワタシに春を思い起こさせる。

小さい頃はもっと花粉症がひどく、こすり尽くした朝には目を開けるのも困難なほどに目やにがまつ毛とまつ毛をつなぎ、まばゆい光の中を盲目にふらつきながら洗面所にいき、蛇口をひねり、目やにを水でゆっくり溶かすのが日課だった。だから、わたしは風邪をひき、マスクをつけると、胸の奥がきゅうんと締め付けられるのだ。

春は何故だか、死んだ人を思い出す。充血した目を瞑(つむ)り、もう会えなくなった人のことをこめかみの奥に思う。生きていると、どんどんとその数が増えていく。そのたびに特別な記念日は増えていく。そのうち、365日、全てが祝日のようになるから、じいさんになるのが楽しみだ。

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