1. Home
  2. 生き方
  3. 次元上昇日記
  4. 2026年9月29日 やんごとなき展示

次元上昇日記

2026.10.02 公開 ポスト

2026年9月29日 やんごとなき展示辛酸なめ子

霞会館記念学習院ミュージアムで展示が始まった「ようこそ! 華麗なる宮中晩餐会の世界へ」(11月21日(土)まで開催)に伺いました。学習院といえば、天皇皇后両陛下、そして愛子様の出身校。先日の、ジブリパークでのカオナシやネコバスとの天皇皇后両陛下の写真には驚きました。天皇陛下のスマホで撮影されたそうです。天皇陛下のスマホ、皇室御用達アプリは何なのか気になります。ジブリももはや皇室御用達映画です。

 

霞会館記念学習院ミュージアムは学習院大のキャンパス内にあり、前も何度か来たことがありました。ただ混沌とした心を反映するかのように迷いまくってなかなか辿り着かず……。少し前に、年長の女性から公開説教というか作品や仕事を酷評されるできごとがあって、ダメージが意外と大きく、心身が不調です。学習院のキャンパスの木々の中を歩きながら「私も絵を描くけど、あんたの絵は全然かわいいと思わない」といったセリフから始まった、さまざまな酷評が脳内でフラッシュバック。ありがたいアドバイスと受け止めようとしたのですが、難しいです。何とかやんごとなきヴァイブスで気持ちを上げたいです。

「ようこそ! 華麗なる宮中晩餐会の世界へ」展では、海外からの国賓を歓待する宮中晩餐会の食器やメニューなどが展示されていました。ドレスコードも最高レベルのもので、実際に彬子様が着用されたドレスも展示。テレビでは真っ白のドレスに見える、皇族のプリンセスのドレスは、近くで見ると白地に白の刺繍があしらわれていて、この高級感は庶民は手が届きません。

菊の御紋入りのボンボニエールもたくさん展示されていました。家にちょうど開封した金平糖があるのですが、もし持っていたら入れたいところです。

花鳥風月のような柄の美しい食器や、動植物が描かれたかわいい食器もありました。また、実際の宮中晩餐会のメニューも展示されていました。大正大礼の大饗の儀のメニューは、スッポンのコンソメ、紅ますの酒蒸し、七面鳥の炙り焼き、シギの冷たい料理、ザリガニのスープなど。かなり量が多い上、食べ応えがありすぎるというか、消化できるか心配です。しかも天皇の料理番が手を尽くして北海道から4000匹のザリガニを移送したのに、ザリガニが厨房から逃げ出していなくなるという事件が。その後厨房内に隠れているところをほぼ捕獲できたそうですが、料理番は切腹を覚悟したとのこと。宮中晩餐会はそのくらい、完璧で粗相が許されないものなのでしょう。メニューは他にも、牛フィレ肉の焼肉、肥鶏の袋蒸し、などがあってメインがたくさんある感じです。胃腸の負担が大きそうですが、皇族方は体が丈夫なのかもしれません。

今回の展示で、宮様と一緒にヨーロッパに随行した女官の存在を知ることができました。「明治女官のヨーロッパ日記」という本にもなっていて興味深いです。創元社の方に送っていただいたので読んでみたらかなりのおもしろさでした。明治時代、英国で英語を学んだ超エリートの女性、香川志保子が書いた日記や手紙をもとに編纂されているのですが、ヨーロッパという異国でも浮き足立つことなく淡々と冷静に綴っています。ときには辛口で、絶世の美女といわれたオーストリアのエリザベート皇妃に謁見した体験もこんなふうに綴られていました。

「皇后のお召し物はグレー色で仕立てられ、玉飾りを用いていた。襟と裾には同色の毛皮があしらわれていた。かねてより美人との評判が高い皇后であるため、 一層注意して拝見したが、本当に姿が上品で美しく、一目見れば忘れがたい。ただし、愛嬌がまったくなく親しみやすさはほとんど感じられず、魅力が乏しいことが惜しまれる」

さらに夫の皇帝については「あまり聡明そうには見受けられなかった」と書いています。日本語なので絶対読まれないと思って自由に日記に書きたい放題だったのでしょう。そして、いくら美しくても愛嬌がないと魅力が乏しい印象になってしまうようです。美容を追求しまくって体重を落とし、極限まで自分を追い込んでいたエリザベート皇妃なので、人に愛想を振り撒くエネルギーは残っていなかったのかもしれません。やんごとなき世界も気苦労が多いですね。そう思うと自分の悩みも小さく思えてきます。

大正時代の宮中晩餐会、大饗の儀のメニューレプリカの一部。こってりした料理だらけで、見ているだけで胸焼けが……。

 

関連書籍

辛酸なめ子『この人生、前世のせいってことにしていいですか』

心豊かな来世のために、辛酸なめ子は今日も静かに徳を積む。イルカ、天狗、龍の逸話を求め、能力者たちに会いに行く。周波数で健康をチェックし、パワーストーン店で前世診断。癒しを求めて京都、沖縄、出雲を巡り、都市伝説の会にも参加する……。スピリチュアルの最前線を追い続けたその先で彼女が見たものは。クスッと笑える試行錯誤の記録。

辛酸なめ子『次元上昇日記 ベストセレクション50』

「次元上昇」とは? それは「アセンション」のこと。 では、「アセンション」とは何か――? 辛酸なめ子さんにとっては、日々、功徳を積んで善行マイレージを貯め、それがある閾値に達すると得られる高い次元のこと。 本書は、そんな次元上昇をめざす一人の女性が、イベント、パーティ、買い物、仕事……と毎日足を運び、霊的な何かが見えたり、癒されたり、反省したり、試行錯誤する抱腹絶倒の記録です。 この世界の次元は一つじゃない――。 よりすぐりのベスト50をお楽しみください。

辛酸なめ子『次元上昇日記』

毎日のようにセレブやスピリチュアルな現場を取材し続け、どうやったら「次元上昇=アセンション」できるのかを考え続け、「小難しい本を読むより、猫を5分間撫でている方が真理に近付ける」と認識、善行というマイレージを貯めることこそが、個人の次元上昇を達成する方法だと気づく。そのおそるべき試行錯誤、抱腹絶倒の日常記録です。

辛酸なめ子『辛酸なめ子の現代社会学』

辛酸なめ子のフィールドワークは、犯人の足取りを追う老獪な刑事のごとし。正体を突き止められまいと足掻く「現代社会」を、軽やかな妄想と味わい深い漫画を駆使して追い詰めていく。モテ、純愛至上主義、スローライフ、KY、萌え……「ブーム」の名で艶やかに仮装した現代の素顔とは? 前人未到の分析でニッポンを丸裸にした圧巻の孤軍奮闘。

{ この記事をシェアする }

次元上昇日記

「次元上昇」とは? それは「アセンション」のこと。では、「アセンション」とは何か……。いろいろな意味があるので、ネットを検索してみて下さい。しかし、辛酸なめ子さんにとって、それは日々、功徳を積んで善行マイレージを貯め、それがある閾値に達すると得られる高い次元のこと。この連載は、その善行マイレージを貯め次元上昇をめざす一人の女性の抱腹絶倒、試行錯誤の記録です。

バックナンバー

辛酸なめ子

近著に「スピリチュアル系のトリセツ」(平凡社)、「電車のおじさん」(小学館)、「無心セラピー」(双葉社)、「新・人間関係のルール」(光文社新書)、「女子校礼讃」「辛酸なめ子の独断! 流行大全」(中公新書ラクレ)など。

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP