ハイパフォーマーとは、一時的に成果を出した人ではなく、環境や状況が変わっても、一定以上の成果をあげ続けている人。「ハイパフォーマー研究」をライフワークとし、これまで3000人以上のハイパフォーマーにインタビューを重ねてきた、人事・組織コンサルタントの相原孝夫氏が、ハイパフォーマーの悩み方をまとめた、『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』を発売しました。 困難に直面したとき、ハイパフォーマーならではの考え方の軸とは何なのでしょうか? 「やっかいな仕事」の捉え方についての3回目です。

「やっかいな仕事」とは何か?
「やっかいな仕事」と言っても、実際には様々な種類があります。ここで整理しておきたいと思います。
① 属人的タイプ(人間関係が複雑)
関係者同士が対立している、コミュニケーションが取りづらい相手がいる等、人間関係に難しさのあるタイプの仕事です。調整に時間がかかるという特徴があります。このタイプのやっかいな仕事に対処するうえでは、中立性を保ちつつ、信頼構築を優先することが重要となります。
② 曖昧タイプ(ゴールが不明確)
目的が曖昧なタスク、依頼内容がふわっとしているなど、方向性が定まっていないタイプの仕事です。どこまでやればいいかわからず、終わりが見えないという特徴があります。こうした仕事に対処するうえでは、上司や依頼者との対話を重ねて目的や期待値を明確化してから取り組むことが重要となります。
③ 前例なしタイプ(過去の知見が使えない)
新規事業の立ち上げ、新規拠点の立ち上げ、新制度の導入など、前例など過去の知見を活かすことのできないタイプの仕事です。手探り、試行錯誤が必要となります。これらの仕事へ対処するうえでは、走りながら、小さく試しながら進めることや、社外の事例を参考にするなどが考えられます。
④ 矛盾・無理筋タイプ(構造的に無理・理不尽)
指示命令系統が複数あったり、方針が二転三転する、無理な納期やリソースの制約があるなど、構造的に矛盾をはらんでいるタイプの仕事です。成果が出づらく、途中で頓挫しやすく、やってもあまり評価されないといった特徴があります。対処法としては、できるだけ早めにリスクを可視化する、上司に現実的な落としどころを相談するなどが挙げられます。
⑤ トラブル処理タイプ(火消し・尻ぬぐい)
他人の失敗のフォロー、急なクレーム対応など、突発的なトラブルとして発生するタイプの仕事です。感情労働や緊急対応が求められ、ストレス度が高いのが特徴です。対処するうえでは、事実と感情を切り分けて対応する必要があり、また、原因を突き止め、再発防止策を講じることで貢献度を高めることができます。
以上のような観点を持っていれば、やっかいな仕事は「なぜやっかいなのか?」を言語化して分類することで、「主観的な不満」が「客観的な課題」に変わります。タイプごとに適切な対処法や意味づけも異なるため、自分の直面しているやっかいさの「正体」を見極めることが、悩みの解決と成長の第一歩になります。
「やっかいな仕事」を自分の糧に変える方法
では、どうすればやっかいな仕事を〝成長の糧〟に変えられるのでしょうか。そのポイントについて最後に述べたいと思います。
① 成長目標を決める
この仕事を通して、「どんな点を伸ばすのか」、「何を身に付けるのか」を明確にしておくとよいでしょう。冒頭の〝根回し〟のエピソードで言えば、「交渉力」や「調整力」、「人脈形成力」が候補となるでしょう。いずれもビジネスにおいて欠かせない重要な能力であり、経験を通してしか磨けない能力です。
そう思って取り組むことで、少なくとも自分自身にとって無駄な仕事ではなくなりますから、取り組み方もだいぶ変わってくるはずです。その仕事が「なにゆえやっかいなのか」、「どのような点に難しさがあるのか」、その〝やっかいさ〟を分解してみると、その仕事を通して身に付けられる点も見えやすくなります。
② 味方をつくる
修羅場体験など厳しい体験においては、多くの人たちの協力が必要となることが多いものです。また、孤独な戦いをしてしまうと精神的に追い詰められてしまう可能性もあります。ですから早い段階から協力者や支援者をつくることが重要となります。そのためには、その案件に対して誠実に取り組むことはもとより、情熱を示すことも重要です。熱が伝わることで、「協力しよう」、「応援しよう」という人が徐々に現れます。そして、厳しい経験の中で苦楽を共にした人たちは生涯の仲間となります。
③ 任された背景を理解する
「なぜ、自分に任されたのか?」、その背景を理解することも重要です。重要であり難易度の高い仕事は、単なる手の空いている人ではなく、信頼があり、期待している人に任されます。つまり、そうした案件を任せる場合、「信頼」と「期待」の2つの観点があるということです。
一つは、その案件で必要とされる資質や能力に秀でている人に任せるというケースです。特に緊急性の高い案件の場合はこの可能性が高くなります。「あいつならば突破できるだろう」と「信頼」しているからこそ任せるわけです。もう一つのケースが、育成の観点での指名です。特定の能力を伸ばすことを「期待」して、また、能力を高めつつなんとかやり遂げるのではないだろうかとの「期待」もあり、任せるのです。緊急性がさほど高くなく、ある程度余裕をもって取り組める案件の場合、こうしたケースが多くなります。背景を考え、「信頼」や「期待」を理解することで、自信にもなり、自己効力感を高めることにもつながります。
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続きは、相原孝夫著『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』をご覧ください。
その悩み、ハイパフォーマーならこうするね

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