ハイパフォーマーとは、一時的に成果を出した人ではなく、環境や状況が変わっても、一定以上の成果をあげ続けている人。「ハイパフォーマー研究」をライフワークとし、これまで3000人以上のハイパフォーマーにインタビューを重ねてきた、人事・組織コンサルタントの相原孝夫氏が、ハイパフォーマーの悩み方をまとめた、『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』を発売しました。 困難に直面したとき、ハイパフォーマーならではの考え方の軸とは何なのでしょうか? 「やっかいな仕事」の捉え方の2回目をお届けします。

ハイパフォーマーのやっかいな仕事への向き合い方
やっかいな業務に直面した際に重要なのは、そのイレギュラーさからくる“違和感”とどう向き合うかです。やっかいな仕事を「価値のないことをただ押し付けられた」ものとして受け止め、やらされ感いっぱいでやるのか、あるいは、「よし、困難な仕事が来た。この状況を自分の成長に変えてやろう」と意気に感じて取り組むのか。この違いは数年後に大きな差を生むことになります。成長スピードやキャリアの選択肢に大きく関わってくるのです。
ハイパフォーマーたちからは、「この仕事を通して自分は何を得るのか」という視点で取り組んだという話を多く聞きます。「正直、最初は気が重かった。でも、どうせ逃げられないなら、この経験を通して何かを獲得してやろうと決めた」などです。確かに、企業組織の中にあって、上からの指示に対して、「やりたくないからやりません」とは言えません。いずれにしてもやらなければならないのです。どうせやるのなら、逃げ腰で仕方なくやるよりは、学びの姿勢をもって、張り切ってやったほうが得るものは大きいに違いありません。どのような困難な状況でも、それを“自分の学びの機会”に転換できる姿勢こそが、結果的にハイパフォーマーたちを成長へと導いてきたのです。
自分の限界を揺さぶる「一皮むける経験」の重要性
やっかいな仕事に取り組むなどの修羅場体験は、「一皮むける経験」という言い方もされます。「一皮むける経験」とは、これまでの自分の限界や価値観、行動パターンを大きく揺さぶるような挑戦や困難に直面し、それを通じて自分自身の成長や視野の拡大を実感する経験を指します。単に苦労しただけでなく、「以前の自分ではできなかったことができるようになる」、「世界の見え方や判断軸が変わる」など、内面的な変化が伴う点が特徴です。
はじめてプロジェクト全体を任されるなど、責任の重い役割を引き受けた経験や、海外赴任や異分野への配置転換など未知の環境への挑戦、時間やリソースの制約が大きい中で成果を出す極限状態での意思決定など、多様にあります。
これらから得られるものとしては、まずは「自信」があります。困難を乗り越えて達成した経験はその後の挑戦の心理的土台となります。自分で考えるところの“自分の限界”が大きく広がるのです。これまで30㎞しか走れないと思っていた人も、100㎞走る経験をすれば、そこまでは大丈夫と思えるはずです。自信がつくと共に、多少の困難があっても大丈夫、乗り越えられるという「レジリエンス」も高まります。
また、自分の限界と向き合う経験をしてはじめて、自分の強みや弱み、得意や不得意、価値観や行動パターンを客観的に把握できるようにもなります。「自己理解」が深まるのです。自己理解が進んでいる人ほど、リーダーとして成功しやすいという研究結果もある通り、ビジネスにおいて知識やスキル以上に重要なものです。しかし、無理のない仕事を普通にしているだけでは自己理解は深まりません。自己理解が進んでいる人ほど、多様な経験をしており、経験値も高いものです。
こうした経験は、キャリア形成やリーダーシップ開発における「成長曲線を一段引き上げる転機」となるのです。ハイパフォーマーたちもインタビューの中で、「あの経験があったから、今の自分がある」と口を揃えます。冒頭のエピソードでもあったように、受け手側からすると、やっかいな仕事ばかり振られるというのは、「上司に嫌われているのかな?」などと思いがちかもしれません。しかし、そのようなリスクの高い仕事を信頼できない部下に振ることは難しいものです。一定のリスクを負ってまでそうするには相応の理由があるのです。
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続きは、相原孝夫著『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』をご覧ください。
その悩み、ハイパフォーマーならこうするね

2026年5月13日発売『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』(相原孝夫著)について












