ハイパフォーマーとは、一時的に成果を出した人ではなく、環境や状況が変わっても、一定以上の成果をあげ続けている人。「ハイパフォーマー研究」をライフワークとし、これまで3000人以上のハイパフォーマーにインタビューを重ねてきた、人事・組織コンサルタントの相原孝夫氏が、彼らの悩み方をまとめた、『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』を発売しました。 困難に直面したとき、ハイパフォーマーならではの考え方の軸とは何なのでしょうか? 一部を抜粋してお届けします。

「成長」とは何を指すのか?
営業職でも研究開発職でも、職種を問わず若手社員の場合、「成長の跡が見られる」という点は周囲からの評価につながる重要な観点の一つとなります。もちろん当人のその後の成果にも結び付きます。
では、成長とは具体的にどのような点に表れるのでしょうか。組織行動学者のクリス・アージリスが提唱した成長に関わる理論をご紹介しておきます。
クリス・アージリスの「未成熟・成熟理論」は、個人の成長と職場での行動の関係を示した理論です。「人間は未成熟な状態から成熟した状態へと成長していく生き物である」という人間観に基づくものであり、その変化を以下の7つに分類しています。これらの進化が職場での
行動や組織内での関係に影響を与えるとしています。
①受動的行動 →能動的行動
②依存的状態 →自立的状態
③単純な行動 →多様な行動
④浅い関心 →深い関心
⑤短期的視点 →長期的視点
⑥従属的な立場 →対等・優越的な立場
⑦自覚の欠如 →自覚と自己統制
常に指示を待っている状態では、受動的であり、依存的な状態となります。また、指示された作業を行っているだけでは、単純な行動の繰り返しとなり、目先の事象にしか目が向かず、関心の程度も深まらないでしょう。
したがって、指示を受けた場合に、目的や背景を理解するように努め、自律的に動くことが重要となります。そうすることにより、多方面へ関心が向き、多様な行動へとつながります。また、後輩が配属されると、教えられる立場から教える立場となり、自覚も芽生え、成長も促されます。

上司の指示の仕方にも配慮がいる
若手社員が未成熟な状態に留まりがちなケースでは、指示する側に問題があることも多くあります。たとえば、「○○業界に関する情報を業界紙から集めておくように」といった指示の場合、未成熟な状態に留まることを要求するものとなります。
部下に対して、手段だけ伝えることは受動的で、創意工夫の無い単純な行動をとらせることにつながります。手段ではなく、目的を伝えるようにすれば、目的を達成するための効果的な手段を能動的、自律的に考え、行動するようになります。
しかし、部下や後輩に指示を出す場合、わかりやすさを重視し、ついつい手段を伝えてしまうことは多くあります。なぜかと言えば、それが容易いからです。親が子どもに、おもちゃを片付けるようにと伝えるのではなく、部屋をきれいに保つことの大切さを説くことは忍耐のいることです。手段ではなく目的や背景を伝えることは、はるかに労力を要することなのです。忙しく、急いでいる時などは、なおさら手段を伝えがちになります。
だからこそ、指示を受ける側が自ら確認し、理解する必要があります。目的を理解し、どうすればその達成に貢献できるかを考え、動くことで、自らのモチベーションの向上や成長につながり、周囲からの評価もついてきます。そうした行動が、アージリスの7つの観点のそれぞれにおいて、未成熟な行動から成熟した行動へ進化するきっかけとなるのです。
そして、目的を理解し、自らに期待される成果・役割を的確に理解するための有効な方策の一つが、身近な人のベンチマーク、つまり他者からの学びです。ハイパフォーマーたちも最初からハイパフォーマーであったわけでなく、周囲から学び、模倣し、試行錯誤するところから始まっているのです。
ハイパフォーマーは実のところ謙虚な人が多いので、他者から学ぶことができます。場合によっては部下や後輩からも学ぼうとします。学ぶことに貪欲なのです。他者に対して恥ずかしい等の感情はあまり持ちません。仕事や成果に集中しているので、その他のことにはあまり頓着しないのです。他者からの学びによって、成果や役割を早期に的確に捉え、早くから認められ、評価されることになるのです。
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続きは、相原孝夫著『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』をご覧ください。
その悩み、ハイパフォーマーならこうするね

2026年5月13日発売『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』(相原孝夫著)について











