ハイパフォーマーとは、一時的に成果を出した人ではなく、環境や状況が変わっても、一定以上の成果をあげ続けている人。「ハイパフォーマー研究」をライフワークとし、これまで3000人以上のハイパフォーマーにインタビューを重ねてきた、人事・組織コンサルタントの相原孝夫氏が、彼らの悩み方をまとめた、『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』を発売しました。 困難に直面したとき、ハイパフォーマーならではの考え方の軸とは何か? まず「はじめに」をお届けします。

才能より大事な物事への向き合い方
夜、仕事を終えて帰宅したあと、ふと天井を見つめながら考えることはないでしょうか。
「こんなに頑張っているのに、なぜ成果が出ないのだろう」
「このまま続けていて、これからのキャリアは大丈夫だろうか」
「周囲は順調に見えるのに、自分だけが取り残されている気がする」
若手社会人にとって、仕事上の悩みやキャリアへの不安は、ごく自然なものです。むしろ、それは真剣に仕事に向き合っている証でもあります。
しかし、そのたびに徒手空拳で、一から解決策を探そうとするのは、あまりに非効率です。自分の過去の経験や学んできたことだけを頼りに悩みと格闘するのは、暗闇の中を手探りで進むようなものです。
ビジネスの世界では、先人の知恵を活用するのが定石です。優れた経営理論も、成功した企業の戦略も、すべては過去の実践の蓄積の上に成り立っています。
アイザック・ニュートンが、フランスの哲学者ベルナールの言葉を引用し、「私が遥か彼方まで見通せたのだとしたら、それは巨人たちの肩の上に立っていたからだ」と言ったように、どのような学問も科学技術も、それらの進化はすべて先人たちの蓄積の上に成り立っているのです。
仕事やキャリアに関する悩みも同じです。私たちが直面する問題の多くは、すでに誰かが経験し、乗り越えてきたものです。
「ハイパフォーマー研究」をライフワークとしている私は、これまで、3000人以上のハイパフォーマーにインタビューを重ねてきました。ハイパフォーマーとは、一時的に成果を出した人ではなく、環境や状況が変わっても、一定以上の成果をあげ続けている人です。業種や職種にかかわらず、共通していることがあります。それは、特別な才能ではなく、「物事への向き合い方」に一貫した特徴があるということです。彼らも、決して悩みがないわけではありません。むしろ、困難な状況や厳しい局面に人一倍直面してきています。ただし、問題や悩みへの対処の仕方が違います。考え方の軸があり、行動の原理原則があり、それを淡々と実践してきているのです。
ある時私は、膨大なインタビューログを整理する中で気づきました。若手社会人が抱えがちな悩みへの答えが、すべてここに揃っている、と。それは机上で考えたような理論ではなく、現場で試行錯誤を重ねた末に辿り着いた、実践知の集積です。その集団知をまとめたのが本書です。
本書を通じて、あなたは3000人の優れた先輩を同時にメンターとして持つことになります。すべてを一度に実践する必要はありません。今、あなたが直面している悩みに該当する節から読んでみてください。
悩みは、あなたに問題があるから生じるのではありません。より良い状態へ移行しようとしているサインです。悩みがあるということは、すでに一歩前に進んでいるということでもあります。
もし次に悩みに直面した時、本書をもとに、「3000人のメンターたちならどう言うだろうか」と一度考えてみてください。悩みが完全に消え去ることはないでしょう。しかし、悩みへの向き合い方は確実に変わります。それだけであなたのキャリアの質は大きく変わり始めます。












