ハイパフォーマーとは、一時的に成果を出した人ではなく、環境や状況が変わっても、一定以上の成果をあげ続けている人。「ハイパフォーマー研究」をライフワークとし、これまで3000人以上のハイパフォーマーにインタビューを重ねてきた、人事・組織コンサルタントの相原孝夫氏が、彼らの悩み方をまとめた、『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』を発売しました。 困難に直面したとき、ハイパフォーマーならではの考え方の軸とは何なのでしょうか? 一部を抜粋してお届けします。

営業職だからといって、営業成績が成果だとは限らない
「自分に期待されている成果などわかりきっているではないか」と思われる人もいるかもしれません。しかし、実際にはそうではないことが多いものなのです。ここでは若手社員を想定して考えてみましょう。
若手であるほど、成果は曖昧であり、また、「プロセス」が重要となることに注意が必要です。そういう意味では、「期待される成果」というよりも「期待される〝役割〟」と言ったほうがいいかもしれません。
新入社員を想定してみればわかりやすいでしょう。「こういう成果をあげなさい」と言われて放っておかれることはまずないでしょう。まずは細かな指示があり、指示に従って動くということから始まります。
比較的成果が見えやすい営業職であっても、入社後すぐに、「この商品を今月中に10個以上売ってください」と言われて放っておかれることはないでしょう。
まずは商品知識や営業活動の進め方などを研修で学び、次に上司や先輩に付いて現場へ出て学ぶといった手順を踏むでしょう。実際には、現場に出られるのは数カ月先ということも多いかもしれません。まずは先輩社員が提案書を作成するための情報収集などの手伝いから始めるようなことも多いはずです。
さて、このような場合、この新入社員に「期待されている成果・役割」とは何になるでしょうか。一人で動いて営業成績をあげるということではありません。
チームリーダーの立場になって考えてみればわかりやすいと思います。
チームリーダーは「チームの成果をあげると共に、メンバーを育成する」ことが目標となり、成果となります。若手メンバーにも早く一人前になってもらわなければなりません。メンバーに期待される成果・役割とは、それを反対の立場から見たものとなります。つまり、「チームとしての営業成績をあげるために貢献しつつ、自らの実力を養う」ということです。
したがって、「効果的な営業支援ができ、成長していること」が見て取れる新入社員が評価され、周囲から認められるのです。言われた情報をただ集めるだけでなく、提案書全体の流れを理解したうえで、少し手を広げて情報を集め、先輩社員が活用しやすいように整理したり、図式化したりすれば、より貢献度が増すことになるでしょう。そうなれば「成長してるな」、「早めに現場に連れていくか」ともなるでしょう。
逆に、「情報収集などは単なる事務作業であって、営業活動を始める前の雑務に過ぎない」との認識で、収集するように指示された情報を多くの時間をかけて、似たような情報を大量に集めてそのまま提供したとしても、決して評価されないでしょう。
確かに当人はやるように言われたことを一生懸命やっているに違いありませんが、チームへの貢献度は低く、当人の成長も少ないに違いありません。この時点での「期待される成果・役割」をどのように理解しているかの差がここに出ます。
どうすれば「期待される成果」がわかるのか?
では、その曖昧な成果・役割を、どのようにしたら的確に理解することができるのでしょうか。最も直接的な方法は、評価者である上司に聞くことです。しかし、必ずしも明確な回答が返ってくるとは限りません。なぜなら、定量的目標のように明確に定められたものではないからです。その時々での期待値をその都度すり合わせる必要があります。だからこそ、頻繁なコミュニケーションをとる人が評価される傾向が強いのです。

そしてもう一つ、「期待される成果・役割」を的確に理解する方法があります。冒頭のエピソードでも示した「ベンチマーク」です。つまり、身近な誰かから学ぶということです。職場の中にはたいていは同じ仕事をしている人が他にも何人かいるわけですから、それらの人たちから学ぶのが手っ取り早いのです。
研究開発職の若手社員のケースを考えてみましょう。研究開発の成果としては、特許の取得であったり、新技術や新製品の開発であったりしますが、それらそのものを若手社員に求めるわけではありません。チームとしてそうした成果をあげるために、若手社員に担ってもらいたい役割というものがあるのです。
こうした場合もベンチマークが参考になります。評価されている先輩社員を観察してみるのです。なぜ評価されているのか、頼りにされているのか、将来有望と見られているのか。
たとえば、「正確にスピーディーに業務を進めることはもとより、粘り強く実験をし、データの記録をとり、失敗してもそこから次への手掛かりを見出そうとしている」、また、「上司や先輩とコミュニケーションを良好にとる一方で、依存し過ぎずにある程度自律的に進めるといったバランス感覚も発揮している」など。こうした取り組み姿勢は上司や先輩から見て安心できますし、頼もしくも映るわけです。もちろんこうした行動がチームの成果にもつながり、チームの風土を活性化させもします。
言われたことだけを淡々とやっているだけでは、チームの成果へ向けての当事者意識は感じられず、上位者から見て頼もしくは映らないでしょう。こうしたことは、自分がチームリーダーの立場になればわかるものですが、そうした立場にない段階で理解することは容易ではありません。だからこそベンチマークをし、そこから見出した点を参考にするのが有効なのです。
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続きは、相原孝夫著『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』をご覧ください。
その悩み、ハイパフォーマーならこうするね

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