ハイパフォーマーとは、一時的に成果を出した人ではなく、環境や状況が変わっても、一定以上の成果をあげ続けている人。「ハイパフォーマー研究」をライフワークとし、これまで3000人以上のハイパフォーマーにインタビューを重ねてきた、人事・組織コンサルタントの相原孝夫氏が、彼らの悩み方をまとめた、『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』を発売しました。 困難に直面したとき、ハイパフォーマーならではの考え方の軸とは何なのでしょうか? 一部を抜粋してをお届けします。

外資系コンサル時代の対照的な先輩二人のエピソード
私が20代後半で米国系の人事・組織コンサルティングに入った当初、先輩社員をよく観察していた。
「コンサルティング会社の基本はベンチマーク」ということをこの会社の採用面接時に聞いたことがきっかけだった。
早速、身近なところからベンチマークを始めた。
最初に観察したのは、格別に優秀でありエース級のコンサルタントであるAさんだ。しかし、凄い点ばかりが目につくだけで、「とても真似できそうにないなあ」といったくらいの感想しか持ちえなかったので、途中からもう一人、比較の観点から観察し始めた。二人の違いから何か見えてくるものがあるかもしれないと思ったのだ。
そのもう一人は、勤務態度も人物的にも一番まじめなBさんだった。まじめで仕事熱心なBさんだが、比較的ベテランである割にはどうも立場的にあまり優遇されていないようだった。
Aさんは大きなプロジェクトを次々に獲得し、プロジェクトマネジャーとしてクライアントからもすこぶる高い評価を得ていた。
一方のBさんは、プロジェクトを獲得することには長けていないようで、データを分析して提出するといった、比較的作業的な小さなプロジェクトのマネジャーをすることはあっても、大きなプロジェクトではAさんや他のコンサルタントのサブ的な役割を担うことが多いようだった。
二人を観察していて気づいた一番の違いは「時間の使い方」であった。Bさんは、クライアント向けの報告書の作成に完璧を期すのだった。念入りに調査し、データを分析し、レイアウトにも凝り、文章も何度も推敲していた。全身全霊をかけて50ページのレポートを仕上げるのだった。そのため毎回2週間程度は深夜残業の日々が続くのだ。
Aさんはというと、本気で集中して作成しているのは、せいぜい3日程度で、あとは他のメンバーに振り分けて、最後に多少手を入れて調整して仕上げるといった感じだった。一見雑にも見える。ただ、彼は〝キラーコンテンツ〟という言い方をしていたが、 50ページのレポートの中の5ページにだけ全精力を注ぎ込んでいた。
その理由を聞いたことがあった。彼曰く、「報告を受けた側の人の記憶に残ることはどうせ2つや3つなのだから、その2つや3つを特に魅力的に、インパクト十分な内容とすれば満足度は自ずと高まるんだ」とのことだった。
結局、Bさんの場合、50ページの報告書の全ページが80点。対するAさんはというと、50ページのうち45ページは60点、ぎりぎり合格点。しかし、残りの5ページが120点なのだ。その5ページは確かに唸ってしまうほどのインパクトを持っていた。そしてプ
レゼンでは、ほとんどの時間をその5ページに費やし、その他の45ページは所々さっと触れる程度だった。
Bさんはというと、渾身の50ページを1枚1枚、丁寧に時間をかけて説明する。報告を受けた側の反応は言わずと知れたものとなる。
ここから私が学んだ点は、〝強弱〟であり、バランスであり、効率だった。
後から気づいたのだが、Aさんのデスクの書棚には、「パレートの法則」に関する本が数冊置いてあった。「パレートの法則」とは「80:20の法則」とも言われるもので、最小の作業量で最大の成果を生み出す考え方だ。

「期待されている成果」は何か?
「最大の成果」という場合の、その成果が問題です。そこを取り違えていてはまったく意味をなしません。Bさんの場合は、成果が「優れた報告書を作成すること」となっていたのかもしれません。報告書の作成が自己目的化していたのです。しかし実際の成果は何かと言えば、クライアントの満足度を高め、プロジェクトの継続を決め、さらにはより大きな予算を獲得することです。Aさんはそのための「コアの20は何か?」、を考えたわけです。
Bさんのように成果を取り違えている場合、ズレた方向でがむしゃらに突き進むことになってしまいます。当人としては、誰よりも一生懸命仕事をしているのに、なぜ評価されないのかと思っていたに違いありません。
「一生懸命やっているのに、成果が出ない、認められない、評価されない」と思っている人も多いことでしょう。
こういう悩みを抱えている人に共通することがあります。それは「期待されている成果」というものを取り違えているのです。この点を的確に理解しているかどうかが、ハイパフォーマーとそれ以外の人を分ける最初の分岐点となるのです。
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続きは、相原孝夫著『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』をご覧ください。
その悩み、ハイパフォーマーならこうするね

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