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その悩み、ハイパフォーマーならこうするね

2026.05.22 公開 ポスト

仕事で「成果を出す人」は失敗体験を語り、「普通の人」は成功体験を語る―この違いが意味すること相原孝夫

ハイパフォーマーとは、一時的に成果を出した人ではなく、環境や状況が変わっても、一定以上の成果をあげ続けている人。「ハイパフォーマー研究」をライフワークとし、これまで3000人以上のハイパフォーマーにインタビューを重ねてきた、人事・組織コンサルタントの相原孝夫氏が、ハイパフォーマーの悩み方をまとめた、『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』を発売しました。 困難に直面したとき、ハイパフォーマーならではの考え方の軸とは何なのでしょうか? 「失敗」をめぐっての行動原理をお届けします。

エピソード:2人の支店長に見る失敗の受け止め方の違い

ある銀行で、支店長のコンピテンシーモデル(好業績人材モデル)の構築をしていた時のこと。現職の支店長や支店長経験者の中から、いつも通りハイパフォーマー数名とアベレージパフォーマー(平均的業績者)数名に対してインタビューを行った。

このインタビューは、現実に即した情報を聞き出すために、過去の成功体験や失敗体験をひたすら聞いていくというものだ。成功体験については、誰しも饒舌に語る。しかし、失敗体験については実に個人差が大きく、ハイパフォーマーとそれ以外の人たちとの間で顕著な差が現れることが多い。この時もそうだった。


ハイパフォーマーの多くは、失敗体験についても躊躇することなく語った。しかも、成功体験を語る場合とほとんど変わりなく、事細かにその時の状況を記憶していた。自分の役回りだけでなく、関係していた人たちやそれぞれの特徴や役割についても詳細に語ってくれた。

一方、アベレージパフォーマーの多くは、成功体験については雄弁に語るものの、失敗体験となると途端にトーンダウンした。しばらく考えた末、「特に思い当たらない」と言う人もいれば、多少話しはしても曖昧な点が多く、「細かな点についてはよく憶えていない」という人が圧倒的に多かった。

ハイパフォーマーのDさんとアベレージパフォーマーのEさんの体験談はまさしくその典型だった。2人は共に、失敗に終わったある案件に深くかかわっていたことがわかった。詳細を聞いていく中で、2人はほぼ同じ立場で同じような役割を担っていたこともわかった。しかし、2人のその経験の受け止め方や位置づけ方は大きく異なっていた。Dさんは、十分な当事者意識を持って、その失敗を自分事として受け止めていた。一方のEさんは、たまたまその件に関係していただけといった感じで、まるで他人事のようにその経験を語った。

特に、「その時に、何がどうであったら、結果は違ったものになっていたか?」、「自分としては、他にどういう行動が可能であったか?」、「その経験から何を学んだか?」といった質問に対しては、反応がことごとく違った。Dさんが比較的即答に近い形で返答したのに対し、Eさんからはほとんど返答らしきものは得られなかった。

ハイパフォーマーの失敗の受け止め方

これはどういうことなのでしょうか。誰にとっても失敗とは手痛いものであり、目を伏せたいものです。できればそれは失敗ではなかったと思いたい。できるだけ早く忘れ去りたい。Eさんに限らず、多くの人たちは、このように失敗経験をスルーしがちです。

それゆえ、その経験を振り返ることもなく、細かな点については憶えていないのです。精神的なダメージをできるだけ回避し、次の仕事に前向きに取り組むためには、確かにそれも一つの手段ではあるかもしれません。しかし、ハイパフォーマーの人たちはそれをしないのです。

あえてその経験を自分事として直視するのです。ただの失敗に終わらせずに、そこから何かを学び取ろうとします。経験重視であり、成長重視なのです。同じ仕事を数年以上していて、まったく新たな状況に遭遇するということはそれほど多くはないはずです。多少の違いはあっても、それまで経験したいずれかの事象を参考に対応できるケースがほとんどのはずです。ということは、個々の失敗経験から教訓を引き出し、そこから学んでいれば、やがていかなる状況にも対応できることになります。

しかし、何ら学ばずにスルーし続けていれば、まったく同じ状況にすら対応できないことになってしまいます。

成功体験から学ぶことももちろんありますが、失敗体験からしか学べないこともあります

一般的に、成功体験からは「再現性」が得られます。今回、「何がうまくいったのか」、「どうすれば再現できるのか」という成功パターンを抽出できます。

失敗体験は「リスク感度」を向上させ、「対人理解」を促進します。理想と現実とのギャップに直面し、洞察することにより、これまで意識していなかった点を意識するようになります

暗黙知を顕在化させるといってもいいでしょう。特に、失敗は痛みを伴う経験であるため、記憶にも残りやすいのです。

***
続きは、相原孝夫著『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』をご覧ください。

関連書籍

相原孝夫『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』

悩むのは、能力不足のせいではない。 より良い状態へ移ろうとしているサインだ ハイパフォーマー=仕事で成果を出し続ける人 3000人以上のインタビューから見えた 仕事の壁をキャリアのステップに変える思考法 3000人以上のハイパフォーマー=成果を出し続ける人にインタビューを重ねてきた、人事・組織コンサルタントが明かす、共通する「悩みの乗り越え方」。 それは、自分を責めず、焦らず、淡々と続けること。 なぜそれができるのか。 彼らは悩みを能力不足のせいにせず、 状況が変わり始めているサインとして受け止めているからだ。 「成長」「人間関係」「職場環境」「自信」―― 16の悩みに、ハイパフォーマーならどう向き合うのか。 仕事人生は、「悩み方」で大きく変わる。

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その悩み、ハイパフォーマーならこうするね

2026年5月13日発売『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』(相原孝夫著)について

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相原孝夫

人事・組織コンサルタント。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科特任教授。株式会社HRアドバンテージ代表取締役社長。早稲田大学大学院社会科学研究科博士前期課程修了。マーサージャパン株式会社代表取締役副社長を経て現職。人材の評価・選抜・育成および組織開発に関わる企業支援を専門とする。旧労働省大臣官房政策調査部研究会委員、総務省研究会委員、日本人材マネジメント協会(JSHRM)幹事等を歴任。経営アカデミー(日本生産性本部)、日経ビジネススクールほかでの講演等多数。著書に、『なぜ私たちは、仕事が嫌いになるのか。ハイパフォーマーの隠された真実 』『職場の「感情」論』『バブル入社組の憂鬱』『ハイパフォーマー 彼らの法則』『会社人生は「評判」で決まる』『コンピテンシー活用の実際』(以上、日本経済新聞出版)、『仕事ができる人はなぜモチベーションにこだわらないのか 』(幻冬舎)、『図解 競争優位を生み出す戦略人材マネジメント』(東洋経済新報社)ほか多数。

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