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その悩み、ハイパフォーマーならこうするね

2026.05.30 公開 ポスト

「やる気をだせ」は上司が言うべきアドバイスではない。ただの思考停止のキーワード相原孝夫

ハイパフォーマーとは、一時的に成果を出した人ではなく、環境や状況が変わっても、一定以上の成果をあげ続けている人。「ハイパフォーマー研究」をライフワークとし、これまで3000人以上のハイパフォーマーにインタビューを重ねてきた、人事・組織コンサルタントの相原孝夫氏が、ハイパフォーマーの悩み方をまとめた、『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』を発売しました。 困難に直面したとき、ハイパフォーマーならではの考え方の軸とは何なのでしょうか? 「やる気」の捉え方をお届けします。

モチベーションを問題にする企業は業績が思わしくない

「社員のモチベーションが低い」と言う経営者もいます。「モチベーション低下に課題を感じない企業は業績好調な企業である」との調査結果もある通り、モチベーションを問題視する企業は業績が思わしくないケースが多いのです。業績が思わしくない理由を社員のせいにしているわけですから当然です。特に、「やる気」という精神論的なところに業績低迷の原因を求めるのは、思考が働いていない証拠でしょう。「うちの社員はモチベーションが低い」なんて言う経営者の下では誰も働きたくはないのではないでしょうか。

社員に対して、「若いのだから、もっと危機感を持て! 元気を出せ!」と言う経営者もいますが、それは無理な話です。経営者は常に光が当たっているので、業績が上がれば、経営者の手腕として社内外で認知されます。社員は裏方であり、そのようなモチベーション装置は働きません。限られた役割の中で、一部の機能を果たしているに過ぎない一社員が、経営者と同等の危機感を持てるわけもないのです。

そもそも、「やる気を出せ」というコメントはアドバイスと言えるのでしょうか。「やる気を出せ!」、「モチベーションを上げろ!」と上司から言われたとして、あなたはどのような気持ちがするでしょうか。何かしら、情けない気持ちになりはしないでしょうか。「やる気がない」ということを前提に批判されていることになりますが、批判されるにしても、仕事の中身や仕事の仕方ならまだわかります。しかし、問題視されているのは「やる気」です。まるで子ども扱いです。

同時に、そのようなアドバイスをする上司に対しては、どのような印象を抱くでしょうか。「デキる上司だなあ」との尊崇の念は持ち得るのでしょうか。決してそんなことはないでしょう。「あのような上司にだけは決してなるまい」と反面教師の典型例として記憶に刻まれるに違いありません。もちろん経営者や人事部がそういう場合も同様です。

自分で「自分のモチベーションが低い」と言う人もいます。どうしたらもっと成果が上がるのか、具体的な思考を巡らすことなく、「モチベーションが上がらない」と、単にやる気のせいにしてしまうのです。「本気を出せば自分だって」と、十分な実力も身に付いていないのに思っているような場合も同様です。

かつての同僚で、「やる気が出ねー」というのが口癖の人がいました。仕事が捗らないのは自分の能力が低いからではなく、単にやる気が出ないだけだと言いたげでした。さらには、自分がやる気が出ないのは、会社に問題があるとも言いたかったのかもしれません。

モチベーションは会社員特有の贅沢な悩み

もう一つ、この件に関しては気になる点があります。モチベーションというものは、会社員特有の問題ではないだろうかという点です。たとえば個人商店主、青果店の店主や鮮魚店の店主は、「今日はモチベーションが上がらない、やる気が出ない」なんてことは言いません。体調が優れないことや、面白くないことがあった時でも、やる気があろうがなかろうが、毎日やるべきことをやらなければならず、毎朝早くから市場に赴くのです。そうしなければ生計が成り立ちません。モチベーションなんていうことを考えている暇はないのです。

会社員の場合、そういうことを考えている余裕があるから、モチベーションが問題になるとも言えるのではないでしょうか。比較的余裕のある職業生活を送っているがゆえ、モチベーションなんていうことを考えるようになるとは言えないでしょうか。「モチベーションが上がらない」というのは、ほどほどにやっていても給料がもらえて生計が成り立つ立場にある人たちの贅沢な悩みなのです。

会社員だとしても緊急事態ではモチベーションなんていうものは吹っ飛びます。ある日突然、会社が大きなリストラをしなければならなくなり、全社員の半数が解雇されることになったとします。そのような状況において社員は、出社して、「今日はやる気が出ないなあ」なんてことを思ったりするでしょうか。そもそもモチベーションという考え自体、出てくる余地はないでしょう。

結局、仕事のプロセスに没頭している時にも、あるいは、現状に十分な危機感を感じている時にも、モチベーションという概念は消失していることになります。ということは、モチベーションということが頭の中に浮かぶシチュエーションとしては、プロセスに没頭もしておらず、危機感も抱いていない状況、いわゆる〝弛緩した状態〟にある時ということになります。
 

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続きは、相原孝夫著『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』をご覧ください。

関連書籍

相原孝夫『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』

悩むのは、能力不足のせいではない。 より良い状態へ移ろうとしているサインだ ハイパフォーマー=仕事で成果を出し続ける人 3000人以上のインタビューから見えた 仕事の壁をキャリアのステップに変える思考法 3000人以上のハイパフォーマー=成果を出し続ける人にインタビューを重ねてきた、人事・組織コンサルタントが明かす、共通する「悩みの乗り越え方」。 それは、自分を責めず、焦らず、淡々と続けること。 なぜそれができるのか。 彼らは悩みを能力不足のせいにせず、 状況が変わり始めているサインとして受け止めているからだ。 「成長」「人間関係」「職場環境」「自信」―― 16の悩みに、ハイパフォーマーならどう向き合うのか。 仕事人生は、「悩み方」で大きく変わる。

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その悩み、ハイパフォーマーならこうするね

2026年5月13日発売『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』(相原孝夫著)について

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相原孝夫

人事・組織コンサルタント。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科特任教授。株式会社HRアドバンテージ代表取締役社長。早稲田大学大学院社会科学研究科博士前期課程修了。マーサージャパン株式会社代表取締役副社長を経て現職。人材の評価・選抜・育成および組織開発に関わる企業支援を専門とする。旧労働省大臣官房政策調査部研究会委員、総務省研究会委員、日本人材マネジメント協会(JSHRM)幹事等を歴任。経営アカデミー(日本生産性本部)、日経ビジネススクールほかでの講演等多数。著書に、『なぜ私たちは、仕事が嫌いになるのか。ハイパフォーマーの隠された真実 』『職場の「感情」論』『バブル入社組の憂鬱』『ハイパフォーマー 彼らの法則』『会社人生は「評判」で決まる』『コンピテンシー活用の実際』(以上、日本経済新聞出版)、『仕事ができる人はなぜモチベーションにこだわらないのか 』(幻冬舎)、『図解 競争優位を生み出す戦略人材マネジメント』(東洋経済新報社)ほか多数。

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