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サムライブルー 酔いどれ観戦記

2022.08.01 更新 ツイート

E-1選手権2022 ヤシキケンジ

普段Jリーグをまったく見ない。

なので今回のように国内選抜組が寄り集まってもほとんど知らない選手ばかりで、

「あ、この人は以前に代表で見かけたことがあるな」という程度の認識しかない。

そんななかでも今大会で目を引いたのは、やはり相馬だった。

彼がサイドでボールを持つと「なにかしてくれる」という期待がこみ上げてくる。

 

なにかをしてくれるというのは、つまり「一対一を仕掛け、抜き去ってゴールに迫る」ことである。

既視感があるなと思ったら、同じポジションの三苫に感じるものと同じだった。

サイドでドリブラーの彼らがボールを持つと、仕掛けてくれる期待感がある。

逆に他のチームメイトが中央付近でボールを保持していても、きれいに崩そうとしながら崩せないことが多いので、ゴールに迫る期待感は極めて薄いなと感じる。

というようなことは、誰が見てもそう思うのだろうから、W杯の対戦国のコーチ陣などは「サイドでこいつら(三苫、相馬、伊東)がボール持ったら仕掛けてくるやろうし、二人がかりくらいで刈り取って、カウンターの準備しとこか」と当然対策を立ててくるだろう。

その裏をかくような巧妙さやしたたかさ——いまの森保JAPANには雨夜の月ほど見当たらないだろう。

 

今大会で3得点を挙げ、アシストもすれば直接FKまで決めてみせた相馬だが、それでも海外組を含めたA代表に入るのは難しいだとか、まだそのレベルではないだとか言われているようで気の毒に思える。

これ以上どんな活躍をすればようやくA代表入りを認めてもらえるというのか。

普段Jリーグに興味のない私でさえ、Jリーガー相馬を応援してしまうほどである。

そして今大会で応援したくなるJリーガーといえば、宮市くんであった。

ご存知のように高校生でアーセナルの内定が決まっていたという、就職先がすごすぎてなにがなんだかちょっとよく分からないほどすごい進路だな、と衝撃を受けた記憶がある。

高校三年生同士。教室で各々の進路を話をしていて「オレは◯◯大学」「僕は地元の工場」「おれなんてなんも決まってないからフリーターだぜ。ハハハ」などと話している中で「ぼく、卒業したらアーセナル。あ、夢とかじゃなくてもう決まってるんで」などと言われたら「す、スゲーな……」としか言えないのである。

ちなみに私は高校卒業ギリギリまで進路も決めず、本屋で立ち読みして目についたとあるオーディションに応募して、一次選考が受かっただけなのに何故か受かる気満々で「このオーディションを受けに東京に行くから。それじゃサイナラ」と担任の先生や親や友人らに告げて息巻いて上京し、見事オーディションに落選して、東京にやってきた次の日から途方に暮れるという極めてダサイ進路を歩んでしまったものだった。

話を元に戻そう。そんなダサイ話よりも宮市である。

ひとまず強力な霊媒師かなにかにお祓いをしてもらった方がいいのでは……と心配してしまうほど度重なる怪我を経て、10年ぶりの代表入りを果たしたが、最終戦で途中出場、またしても怪我に見舞われ途中交代をしてしまった。

彼が今大会中、ベンチからピッチを見つめる眼差しや、交代で入って行くときの意を決したような顔つきには、我々凡人の想像が及ばないような万感迫るものがあった。

そんな姿を見ていたからこそ怪我でピッチを去っていく姿にはかけるべき言葉も見当たらないほど哀しみの色が濃く目に映ったのである。

カタールW杯メンバー入りを十全にアピールできた相馬、それとは対照的に脚を引きずりながらピッチを離れていく宮市のコントラストがやけに印象に残った大会だった。

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