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日本野球よ、それは間違っている!

2020.03.21 更新 ツイート

エンゼルス大谷の打ち方がおかしい広岡達朗

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で、スポーツ界も大混乱だ。MLB(大リーグ機構)は3月26日の開幕を再延期し、5月下旬以降になりそうだという話も出ている。

流行が一足早かった日本でも、プロ野球の開幕が3月20日から最低2週間延期され、今後の流行によってはもっと延びそうな雲ゆきだ。

 

オープン戦を中止したMLBは、キャンプ地に残るか、本拠地に戻るか、自宅に戻るか、という3つの選択を選手にゆだねた。大谷翔平のエンゼルスもロサンゼルス近郊のアナハイムに引き上げ、5月中旬の二刀流復活をめざす大谷はエンゼル・スタジアムで調整を続けるという。

大谷は2018年秋に右ヒジの手術を受け、昨年秋には左ヒザの手術も受けた。今年はキャンプで投打の調整を始め、オープン戦には指名打者として出場しながら、ブルペンで投球練習を増やしてきた。最近では最多の59球を投げ、スピードも145キロ前後まで戻ってきたが、まだまだ調整半ばである。

投球より深刻な打撃不振

だが私は、投手としての調整遅れより、打つほうが心配だ。大谷はオープン戦が中止になるまで19打数2安打、打率.105と低調だった。私がいつもいうように、大リーグではオープン戦の成績で一喜一憂する必要はない。私は巨人を引退後、何度も渡米して大リーグを視察してきた。そこで見たのは、キャンプや開幕直後には打てなかったバッターが、開幕1か月後から別人のように目を覚ます姿だった。

今年の大谷も、気をもむ日本の報道陣に「例年、春先はよくない。日本のときからそうでした」と余裕を見せていたが、最近のニュース映像で大谷のバッティングを見て、私は「これはおかしいぞ」と思った。昨年までのスロースタートと違うことに気づいたからだ。

不振の原因は“2段打ち”

いまの大谷は、「あんなにひどくなるのか」と思うくらい悪い。昨年までは打つタイミングが一つで、準備して(構えて)パッと打っていたが、今年は準備して、球が来てからさらに反動をつけて振る。だから差し込まれて打てないのだ。

大谷のメジャー打撃成績は2018年が打率.285、本塁打22で新人王。昨年も打率.286、本塁打18だった。

彼は大リーグでも打てる素材を持っているのだから、いまは勘違いをしているだけだ。大谷はもともと始動が早く、球をよく引きつけて打つが、いまはそこからさらに引きつけて打っている。

開幕までに修正できるか

今年のキャンプ、オープン戦では、昨年までと同じように両足を地面につけたまま打つノーステップと、右足を少し浮かせて打つフォームを試してきた。素質があって頭のいい選手だから、いろいろ試しているのだろうが、いまの異常なタイミングの取り方は意識的なテストというより、大谷の勘違いだ。

だから、バッティングがわかっている人がちょっと教えてやれば、すぐ打てるようになるだろう。コーチがこの勘違いを正せばすむ話だが、アメリカでは選手が聞きにこなければ教えない。日本と違って多民族社会だから、コーチが特定の選手に教えると、「なぜあいつにだけ教えるのか」と他の選手からクレームがつくので、コーチのほうからは教えないのだ。

このまま投手の“2段モーション”のような打ち方で開幕を迎えたら、昨年のようには打てないだろう。しかし今年はコロナ問題で開幕が大幅に遅れた。これからでも大谷が勘違いに気づけたら、「災い転じて福となす」ことができる。

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広岡達朗

1932年、広島県呉市生まれ。早稲田大学教育学部卒業。学生野球全盛時代に早大の名ショートとして活躍。54年に巨人に入団、1年目から正遊撃手を務め、打率.314で新人王とベストナインに輝いた。引退後は評論家活動を経て、広島とヤクルトでコーチを務めた。監督としてヤクルトと西武で日本シリーズに優勝し、セ・パ両リーグで日本一を達成。指導者としての手腕が高く評価された。92年に野球殿堂入り。『動じない。』(王貞治氏・藤平信一氏との共著、幻冬舎)、『巨人への遺言』『中村天風 悲運に心悩ますな』『日本野球よ、それは間違っている!』(すべて幻冬舎)など著書多数。新刊『言わなきゃいけないプロ野球の大問題 巨人はなぜ勝てなくなったのか?』(幻冬舎)が発売中。

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