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日本野球よ、それは間違っている!

2019.06.08 更新

巨人・菅野の復活は肥満体質の改善が先だ広岡達朗

今シーズンもプロ野球のセ・パ交流戦が始まった。

昨年まではリーグ対抗形式で行われたが、今季は5年ぶりに12球団で優勝を争い、最高勝率のチームが賞金3000万円を獲得する。

これまでの交流戦は2009年をのぞいてパ・リーグが勝ち越しているが、首位・広島に4.5ゲーム差の3位で交流戦を迎えた巨人にとっては、腰痛で戦列を離れた大黒柱・菅野智之がいつマウンドに復帰できるかが今後の命運を握ることになる。

コーチやトレーナーは責任を果たしているのか

絶対的エースの菅野は5月21日に登録抹消後、二軍で調整を続け、6月2日に久々にブルペンで軽い投球練習を行った。私が菅野の故障で指摘したいのは、「それぞれの責任者はちゃんと責任を果たしていたのか」ということだ。

たとえばコーチはエースのコンディションに気を配り、戦列を離れるほど悪化する前に十分な指導と対策を講じていたのか。

またトレーナーは蓄積する疲労をほぐし、菅野が違和感をおぼえたときに最善の処置を施したのか。巨人に限らず、最近のトレーナーはただマッサージをし、痛みが出たらすぐ病院に送るようだが、これではマッサージ師であってトレーナーとはいえない。野球は整形外科医よりトレーナーのほうが詳しいのだから、「少々のケガや故障なら自分が治す」くらいのプライドと責任感を持つべきだ。

腰痛の原因は究明できたのか

次に気になるのは、菅野は二軍での調整中に腰痛の原因を究明できたのかということだ。

いつもいうように、人間には誰でも自然治癒力がある。病気やケガで痛みが出たときは、休んでいれば自然に痛みが消えるが、原因を突き止め、適切な治療をしておかなければ再発する。

菅野の場合も、試合を離れて二軍で休養するだけでは、交流戦や夏場からの後半戦でまた腰の爆弾が破裂するだろう。そうなれば、投壊状態の原巨人はエース不在で天敵・広島を追いかけなくてはならない。

故障の原因は酷使ではなく太りすぎ

菅野の故障を「中5日の酷使が原因」という評論家がいる。とんでもない。まだ29歳のエースが、実休6日もあって腰を痛めるほどの酷使だというのはおかしい。それでは、中4日で名門ヤンキースのエースを張る田中将大など、米大リーグの先発ローテーション投手たちはどうなるのか。

そのうえ連戦が多く、時差が3時間もある大陸を飛行機で飛び回るメジャーに比べると、新幹線で移動できる日本の投手たちは楽なものだ。中5日の先発ローテーションを頑固に守って、ヤクルトと西武を日本一に導いた私がいうのだから間違いない。

そんなことより菅野の腰痛には、もっと本質的な原因があるのではないか。私が心配するのは、彼の太りすぎである。

私は2018年の著書『日本野球よ、それは間違っている!』(幻冬舎)で、巨人ナインの危険な“肥満体質”について警鐘を鳴らした。このとき名指しで指摘したのは、一塁の阿部慎之助と投手の澤村拓一(ひろかず)、菅野、田口麗斗(かずと)だった。

 

 私はこれまでも、右肩痛で二軍生活を続ける澤村拓一の肥満を指摘してきたが、投手陣で心配なのは澤村だけではない。
(中略)エース・菅野智之も年々肉づきがよくなっているし、13勝4敗で菅野、マイコラスとともに先発3本柱の一角を担う田口麗斗も171cmで83kgになった。
(中略)選手にとって肥満が危険なのは、故障の原因になり、選手寿命を縮めることになるからだ。

『日本野球よ、それは間違っている!』(幻冬舎)

 

私の不安は的中し、2017年に13勝4敗だった田口は18年は2勝8敗に終わり、今季は中継ぎ投手に降格した。

食生活の改善で球威回復めざせ

菅野はいうまでもなく、日本球界を代表する本格右腕である。速球のほか、フォークボール、スライダーなどの変化球も精度が高く、コントロールも抜群だった。なかでも私が評価するのは、左肩がリリースの寸前まで開かないので球離れが遅いことだ。

ところが今年は、下半身の動きに粘りがないため重心が高く、結果として手投げが多くなり、被本塁打13の両リーグワースト記録を残して交流戦を迎えた。

菅野がたびたび大量失点で降板したのは、ボッテリと太った姿と無縁ではないと私は見ている。腹や腰に肉がつきすぎたため、下半身や上半身のひねりにキレがなくなったのが大量被弾や腰の故障につながったのではないか。

菅野の体重を調べてみると、2017年と18年は92キロだったのが、19年は95キロに増えていた。ちなみにこのデータは球団独自の計量で、日本相撲協会のように力士を公開で計量しての発表ではない。つまりプロ野球選手の体重は、球団の裁量で実際より軽く公表することも可能なのだ。

菅野が完全復活するには、腰痛治療だけでなく、余分な肉をそぎ落とす体質改善が先決だろう。そのためには肉食に偏らず、植物性の自然食も摂るバランスのよい食生活を送ることだ。

 

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広岡達朗

1932年、広島県呉市生まれ。早稲田大学教育学部卒業。学生野球全盛時代に早大の名ショートとして活躍。54年に巨人に入団、1年目から正遊撃手を務め、打率.314で新人王とベストナインに輝いた。引退後は評論家活動を経て、広島とヤクルトでコーチを務めた。監督としてヤクルトと西武で日本シリーズに優勝し、セ・パ両リーグで日本一を達成。指導者としての手腕が高く評価された。92年に野球殿堂入り。『動じない。』(王貞治氏・藤平信一氏との共著、幻冬舎)、『巨人への遺言』『中村天風 悲運に心悩ますな』『日本野球よ、それは間違っている!』(すべて幻冬舎)など著書多数。新刊『言わなきゃいけないプロ野球の大問題 巨人はなぜ勝てなくなったのか?』(幻冬舎)が発売中。

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