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《京都ガイド本大賞・リピーター賞》受賞!京都の路地裏

2015.10.25 公開 ポスト

第5回:第四章 路地裏細道の名店案内 より

「そこでしか買えない」貴重な店は細道にある & 野呂本店――この店一軒でしか買えない漬物を柏井壽

柏井壽さんの『京都の路地裏』が京都ガイド本大賞・リピーター賞を受賞しました。「私は京都好き」と言いたいあなたのために、本当は内緒にしておきたい(←編集者の本心!)、とっておきの名所・名店を紹介します。

京都土産、何を買うか悩む人は多いのではないでしょうか。実は、有名店の商品の多くはデパートでも買えてしまうのですが、ここではあえて、路地裏にある「ここでしか買えない」店を多数紹介します。

*  *  *


「そこでしか買えない」貴重な店は細道にある

 京都を旅した記念に何か土産を買おうとして、はたと困ることが多いと聞く。僕も相談を受けて、いつも悩む。

 そこまで訪ねないと買えないものだからこそ、旅の土産は価値があったのだが、今や幾つものデパートに商品が置いてあったり、通販で買えたりする。東京のデパートにも支店があったりすると、途端に有り難みが薄れる。

 便利さと引き換えに、失ったものは決して小さくない。何処ででも買えるとなると、土産に貰った方も、さほどの喜びを感じないだろうし、贈る側も些か気が引ける。

 すべてと言うわけではないが、表通りに面した店と違って、路地の奥にある店は概ね、支店も持たず、そこでしか買えないという商いを守るところが多い。

 店構えや商品に個性を際立たせているのも、細道にある店の特徴。何を買うでもなし、ただ店を訪ね、ウィンドウショッピングをしているだけでも愉しい店。予め予約をしておいて、商品を受け取りに訪れる店。迷い道もまた愉しい。近くに見どころのひとつもあれば、その愉しみは倍加する。

 

『野呂本店』──この店一軒でしか買えない漬物を

 和菓子と並んで、京土産の人気を二分するのが京漬物。こちらもまた、百花繚乱。デパ地下や京都駅の土産物街では、何軒もの漬物屋がその売上を競い合っている。奨められて試食をしてみても、どれも大差なく、不味くはないが、飛び抜けて美味しいとも思えない。まぁ、こんなものかと思って買い求めているのが、大方の旅人の姿だろう。

 そんな方に是非ともお奨めしたいのが『野呂本店』の漬物。

 この店もまた、『幸神社』のすぐそばにある。偶然と言えば偶然だが、必然であるとも言える。

 京都には京漬物の店がいったい何軒あるのだろうか。大袈裟に言うと、ふと見回せば、観光地には必ず一軒や二軒、漬物屋がある。それも大方が有名店。まるで蜘蛛の巣のように店舗を張り巡らせている。少しでも多くの客を引き寄せようという魂胆なのだろう。手を替え品を替え、いささか強引とさえ思えるような売り込みに辟易する向きも少なくない。試食用に刻んだ漬物を載せた盆を、道行く人々に差し出す様は、あまり褒められたものではない。

 京都には京都らしい商いがある。それを如実に示しているのが『野呂本店』。寺町通の今出川を上って、出町桝形商店街の西側入口を越えた辺りにある。

 〈漬もの司〉と染められた暖簾(のれん)が目印。格子戸を開けて中に入ると、店の中には芳ばしい漬物の香りが漂っている。

 他の漬物店に比べれば、拍子抜けするほどに小さな店には、季節の漬物が並び、そのどれもが、みずみずしく輝いている。丁寧に漬けられただろうことが、ひと目で分かる。

 一番の人気商品は〈青てっぽう〉。青紫蘇で巻いたヤマゴボウを、芯をくり抜いた胡瓜に射込んだもの。パリッとした食感もよく、さっぱりとした後口が身上。

 浅漬の茄子(なす)は色も鮮やかで、京都にふさわしい漬物。割干大根や柴漬けも定評がある。せっかく京漬物を土産にするなら、何処にでもある店ではなく、この店一軒だけで商っているものを求めたい。

*  *  *

次回「なぜ路地裏細道のお店は美味しいのか」は10月29日(木)に公開します。お楽しみに!

関連書籍

柏井壽『京都の路地裏 生粋の京都人が教えるひそかな愉しみ』

観光地化された京都には、京都っぽいものが溢れており、本当の京都はないと著者は憂う。古き良き京都らしさが残っているのは、地元民の生活感が漂う、大通りから一本入った路地裏の細道。そこを歩けば、地元民が参拝に通う小さな寺社や、昔からの言い伝えが残る不思議スポット、多店舗展開しない漬物の老舗、一子相伝の和菓子屋、舞妓さんが通う洋食屋、京風料理ではなく本当の京料理を出す和食店……に出会える。京都に生まれ育ち、歩き尽くした京都のカリスマが、「本当は教えたくない」とっておき情報を紹介。

柏井壽『京都の定番』

近年、穴場的な「隠れ名所」が注目されがちな京都。だが、京都を愉しむなら、まず「定番」を押さえたい。誰もが知る名所・名店・祭事でも、その成り立ちや、今に至る歴史の流れまで知る人は少ない。名刹の背後にある物語、「京都風」でない真の京料理を守り続ける料理人の心意気、都人の春夏秋冬の愛で方、花街のルールなどについて知ると、京都の奥ゆかしさや美しさの理由が分かる。この街で生まれ育った著者でさえ、定番を改めて辿ってその奥深さに驚愕した。数多の情報に振り回されず、本当の京都を知るための究極のガイド。

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《京都ガイド本大賞・リピーター賞》受賞!京都の路地裏

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柏井壽

一九五二年京都市生まれ。大阪歯科大学卒業。京都市北区で歯科医院を開業する傍ら、京都の魅力を伝えるエッセイや、日本各地の旅行記などを執筆。『おひとり京都の愉しみ』『極みの京都』『日本百名宿』(以上、光文社新書)、『京都の路地裏』(幻冬舎新書)、『日本ゴラク湯八十八宿』(だいわ文庫)、『おひとり京都の春めぐり』(光文社知恵の森文庫)、『泣ける日本の絶景』(エイ出版社)ほか多数。
自分の足で稼ぐ取材力と、確かな目と舌に定評があり、「Discover Japan」「ノジュール」「dancyu」「歴史街道」など、雑誌からも引っ張りだこ。京都や旅をテーマにしたテレビ番組の監修も多数行う。
柏木圭一郎名義で、京都を舞台にしたミステリー小説も多数執筆する一方、柏井壽本名で執筆した小説『鴨川食堂』(小学館文庫)が好評で、テレビドラマ化も。
二〇一三年「日本 味の宿」プロジェクトを立ち上げ、発起人として話題を集める。
二〇一五年、京都をテーマに発足したガイドブックシリーズ「京都しあわせ倶楽部」の編集主幹としても。
プロフィール写真撮影:宮地工

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