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《京都ガイド本大賞・リピーター賞》受賞!京都の路地裏

2019.07.15 更新 ツイート

京都なのに江戸前?地元民だけが知っている極上の寿司屋柏井壽

すっかり観光地化されてしまった京都。しかし大通りから一歩、路地を入れば、そこには地元民だけが知っている「本当の京都」が広がっているという。小さな寺社や、昔からの言い伝えが残る不思議スポット、一子相伝の和菓子屋、舞妓さんが通う洋食屋、本当の京料理を出す和食店……。『京都の路地裏』には、こうしたレアな情報が盛りだくさん。本書に収録されたとっておき情報を、少しだけご紹介しましょう。

*   *   *

路地裏の名店『鮨よし田』

路地裏細道の美味しい店といって、真っ先に思い浮かぶのがこの店。左京区下鴨。京都でも有数の高級住宅街に暖簾を上げる『鮨よし田』。京都では貴重な江戸前鮨をメインにする店だが、鮨だけに留まらず、旬の美味が揃い、鮨前のあれこれが愉しい店でもある。

(写真:iStock.com/wanessa-p)

カウンター八席ほどの小さな店。手軽な昼どきは観光客も少なくないが、夜は地元の食いしん坊が集まる。近所のお馴染みさんが世間話に興じながら、季節の味に舌鼓を打つ。

経木に書かれた本日のお奨め料理を見ながら舌なめずり。夏場なら何と言っても鱧。落とし、小鍋立ての鱧しゃぶ、焼き鱧、フライ。鱧をどう料理してもらうか、大いに悩むのも愉しみのひとつ。

秋ともなれば松茸が、冬には牡蠣や河豚、そして蟹。極上の素材を自在に料理し、豊富なバリエーションで客の舌を悦ばせる。

酒を飲みながら、あれこれ摘んだ後は、江戸前の鮨が待っている。甘みを抑えたシャリに、ひと手間加えたネタが載る鮨は至極小ぶり。棒寿司、箱寿司が主流をなす京都の鮨屋にあって、人肌のシャリを握る江戸前は異端にも思われがちだが、真の京都の旨いもの好きは、何ほども気にかけることなく、足繁く通う。

「どや? シンコはまだか?」

すっかり江戸前鮨に魅了され、鯖寿司一本槍から宗旨替えした京都人も数知れず。

地元客が主体なれど、排他的な空気は一切ない。旅人も優しく包み込む温かさがある店。まさしく路地裏細道の名店である。

江戸前鮨の店をもう一軒。こちらは東京は新橋の名店の流れを汲む、バリバリの江戸前鮨屋。

四条花見小路。京都が最も艶やかな表情を見せる界隈であるとともに、多くの観光客が行き交う喧騒の道筋でもある。その花見小路通を南に下り、ひと筋目を西に入って暫く歩くと『鮨まつもと』と染められた、粋な暖簾が目に入る。

わずかひと筋入っただけで、かくも空気が異なるのか。きっとそう思うだろうほどに、店はしっとりと落ち着いた雰囲気に包まれている。

長く江戸前鮨不毛の地と言われた京都に、正統派の江戸前鮨を持ち込んで来たのがこの店。これで東京まで足を運ばずともいい、と京都の江戸前鮨ファンは諸手を上げて迎え入れた。

爾来、しっかりと京都の地に馴染み、鮨は江戸前なれど、店の中には、はんなりした京都の空気が流れるに至った。故に、東京から通う客も少なく無いと聞く。

小さなテーブル席もあるが、基本はカウンター。小体な店なので予約は必須。夜は一杯飲みながら、腰を落ち着けてとなるが、昼ならサッと摘んで鮨本来の味を愉しむのも一興。ランチタイムのお値打ち価格も鮨好きには嬉しい。

名旅館「俵屋」の客も通う天麩羅屋

江戸前鮨もそうだが、天麩羅屋も東京に比べて、段違いに少ない。日本料理店で天麩羅も食べられる店はあるものの、カウンターで揚げ立てを食べられる、本格的な天麩羅屋は数少ないのが京都という街。

(写真:iStock.com/kazoka30)

御幸町通に面してはいるが、店は二階にあるので目立たず、うっかりすると通り過ぎてしまいそうになる。

三条通から御幸町通を南に下り、六角通までの、ちょうど中程。路地行灯に書かれた『点邑』の文字が目印。

ここをお奨めするのは、ただ天麩羅が美味しいというだけではなく、日本一の名旅館『俵屋旅館』の、もてなしの一端を感じ取れる店だからである。

この名旅館のことについては、幾ら紙数があっても足りないほどだが、それはさておき、この『点邑』。元を正せば『俵屋』に連泊した客の昼食処として始まったというから、まさに『俵屋』別館と言える。

ランチタイムは〈点心てんぷら〉と名付けられた軽めのコース。天丼もセレクト出来る。本領を発揮するのは、やはり夜のコース。天麩羅だけのコースもあるが、〈懐石てんぷら〉コースがお奨め。季節の食材をふんだんに使った懐石仕立ての料理と、名物天麩羅の折衷コース。

ありきたりの京懐石では物足りず、しかし天麩羅だけというのも寂しい。そんなワガママな要望に、しっかりと応えてくれる。

きちっと油の切れた、軽い天麩羅も秀逸だが、焼物や煮物など、洗練された料理の数々も、さすが『俵屋』ゆかりの店、と思わせる。

持ち帰り専用の、月替り弁当も愉しい。覚えておけばきっと重宝する店

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関連書籍

柏井壽『京都の路地裏 生粋の京都人が教えるひそかな愉しみ』

観光地化された京都には、京都っぽいものが溢れており、本当の京都はないと著者は憂う。古き良き京都らしさが残っているのは、地元民の生活感が漂う、大通りから一本入った路地裏の細道。そこを歩けば、地元民が参拝に通う小さな寺社や、昔からの言い伝えが残る不思議スポット、多店舗展開しない漬物の老舗、一子相伝の和菓子屋、舞妓さんが通う洋食屋、京風料理ではなく本当の京料理を出す和食店……に出会える。京都に生まれ育ち、歩き尽くした京都のカリスマが、「本当は教えたくない」とっておき情報を紹介。

柏井壽『京都の定番』

近年、穴場的な「隠れ名所」が注目されがちな京都。だが、京都を愉しむなら、まず「定番」を押さえたい。誰もが知る名所・名店・祭事でも、その成り立ちや、今に至る歴史の流れまで知る人は少ない。名刹の背後にある物語、「京都風」でない真の京料理を守り続ける料理人の心意気、都人の春夏秋冬の愛で方、花街のルールなどについて知ると、京都の奥ゆかしさや美しさの理由が分かる。この街で生まれ育った著者でさえ、定番を改めて辿ってその奥深さに驚愕した。数多の情報に振り回されず、本当の京都を知るための究極のガイド。

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 「私は京都好き」と言いたいあなたのために、本当は内緒にしておきたい(←編集者の本心!)、とっておきの名所・名店を紹介します。

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柏井壽

一九五二年京都市生まれ。大阪歯科大学卒業。京都市北区で歯科医院を開業する傍ら、京都の魅力を伝えるエッセイや、日本各地の旅行記などを執筆。『おひとり京都の愉しみ』『極みの京都』『日本百名宿』(以上、光文社新書)、『京都の路地裏』(幻冬舎新書)、『日本ゴラク湯八十八宿』(だいわ文庫)、『おひとり京都の春めぐり』(光文社知恵の森文庫)、『泣ける日本の絶景』(エイ出版社)ほか多数。
自分の足で稼ぐ取材力と、確かな目と舌に定評があり、「Discover Japan」「ノジュール」「dancyu」「歴史街道」など、雑誌からも引っ張りだこ。京都や旅をテーマにしたテレビ番組の監修も多数行う。
柏木圭一郎名義で、京都を舞台にしたミステリー小説も多数執筆する一方、柏井壽本名で執筆した小説『鴨川食堂』(小学館文庫)が好評で、テレビドラマ化も。
二〇一三年「日本 味の宿」プロジェクトを立ち上げ、発起人として話題を集める。
二〇一五年、京都をテーマに発足したガイドブックシリーズ「京都しあわせ倶楽部」の編集主幹としても。
プロフィール写真撮影:宮地工

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