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《京都ガイド本大賞・リピーター賞》受賞!京都の路地裏

2019.07.17 公開 ポスト

京都は洋食のメッカだった?舞妓さんも通う名店ベスト2柏井壽

すっかり観光地化されてしまった京都。しかし大通りから一歩、路地を入れば、そこには地元民だけが知っている「本当の京都」が広がっているという。小さな寺社や、昔からの言い伝えが残る不思議スポット、一子相伝の和菓子屋、舞妓さんが通う洋食屋、本当の京料理を出す和食店……。『京都の路地裏』には、こうしたレアな情報が盛りだくさん。本書に収録されたとっておき情報を、少しだけご紹介しましょう。

*   *   *

花街に輝く『洋食の店みしな』

京都といえば、どうしても和食のイメージが強いが、洋食の名店も決して少なくない。それには大きくふたつの理由があって、先ずひとつに花街での需要が挙げられる。

(写真:iStock.com/juripozzi)

祇園の北と南、先斗町、宮川町、そして上七軒。五つの花街を彩る芸妓舞妓たちを誘って、旦那衆がご飯食べに勤しむ。その行き先は、和食より洋食が多くなる。なぜか。

芸妓や舞妓にとっては、お座敷で毎度食べる和食に些かなりとも、飽々している。

「何処か行きたい店あるか? なんぞ食いたいもんがあったら言うてみい」

と旦那衆から言われて、舞妓が真っ先に洋食の名店を挙げる。

『つぼさか』はんのコロッケ食べに、連れていっとぉくれやすか」

「ええなぁ。わしもあそこの蟹の身がようけ入ったコロッケ好物やねん」

と話がまとまって、祇園富永町の店へと向かう。

かかる流れがあって、祇園を始めとした花街に洋食屋がその味を競い合うことになる。それは今に続くものの、バブルの影響や世代交代のせいもあって、移転を余儀なくされた店も多くある。そのうちの一軒。

名店『つぼさか』は惜しまれつつ、その暖簾を下ろしたが、流れを汲む店は今も清水二年坂近くにあって、『洋食の店みしな』という

修学旅行生、外国人観光客、ニセ舞妓が行き交う二年坂に京情緒を求めるのは酷というものだろう。錦市場同様、観光スポットに成り下がった道筋に見るべきものなどない。石段の道から路地に入り、暖簾を潜れば、そこはもう別天地。正しく継承された花街の洋食が、かつての栄華そのままに、燦然と輝いている

洋食屋といっても、そこは花街ご贔屓の名店。手軽とはいかないが、きちんと予約をしてカウンターに座れば、京都ならではの正しい洋食を堪能出来る。

たとえば、ランチタイムのフライ定食は三千六百円。高いようにも見えるが、至極丁寧に作られただろうと分かる、ポタージュスープから始まり、質も量も満足出来る海老フライと蟹クリームコロッケの盛り合わせが出て、〆はサラサラと京都らしいお茶漬けへと続くのだから、充分お値打ちだと言える。観光地で幟を立てて客寄せする和食店で、作り置きの京料理モドキを食べるよりも、余程こちらの方が京都らしさを味わえる。

お手頃な洋食なら『グリル富久屋』

同じ花街にある洋食屋でも、こちらは至極気軽な店。店の前を通りかかって、ふらりと入り、洋食弁当に舌鼓を打つのは至福のひととき。

(写真:iStock.com/pabkov)

川端通から松原通を東に入ってすぐ左側。サンプルショーケースもある、喫茶店風の構えがいい。『グリル富久屋』はしかし、創業百七年の歴史を誇る老舗洋食屋

店に入る前に、宮川町を暫し散策。松原通を少し東に歩けばすぐに宮川町通に出る。近年石畳に改装され、情緒漂う路になった。少しばかり北に上れば、芸妓舞妓が稽古に通う歌舞練場がある。

夏場の急な夕立にでもなれば、髪を結った浴衣姿の舞妓が、傘をさして石畳を歩く姿などは実に絵になる。花見小路辺りで、しつこく付きまとうカメラオヤジも宮川町には殆ど居ない。これも細道ならではのこと。

さて店に戻って、名物フクヤライスをオーダー。花街らしいビジュアルのオムライス。運が良ければ、隣のテーブルでスプーンを口に運ぶ舞妓に出会えるかもしれない。

近頃都で流行るもの。ニセ舞妓と本物を区別するのは実に簡単。大口開けて食べていればニセ者。歩く姿でもはっきりそれと分かる。すべてに控えめなのが本物の証

この店の洋食弁当。ハンバーグも、コロッケもひと口サイズ。それは偏に、大口を開けなくても食べられるように、との舞妓への配慮。人気メニューの海老フライサンドも、斜めにカットして食べやすくしてある。花街ならではの気軽な洋食屋

関連書籍

柏井壽『京都の路地裏 生粋の京都人が教えるひそかな愉しみ』

観光地化された京都には、京都っぽいものが溢れており、本当の京都はないと著者は憂う。古き良き京都らしさが残っているのは、地元民の生活感が漂う、大通りから一本入った路地裏の細道。そこを歩けば、地元民が参拝に通う小さな寺社や、昔からの言い伝えが残る不思議スポット、多店舗展開しない漬物の老舗、一子相伝の和菓子屋、舞妓さんが通う洋食屋、京風料理ではなく本当の京料理を出す和食店……に出会える。京都に生まれ育ち、歩き尽くした京都のカリスマが、「本当は教えたくない」とっておき情報を紹介。

柏井壽『京都の定番』

近年、穴場的な「隠れ名所」が注目されがちな京都。だが、京都を愉しむなら、まず「定番」を押さえたい。誰もが知る名所・名店・祭事でも、その成り立ちや、今に至る歴史の流れまで知る人は少ない。名刹の背後にある物語、「京都風」でない真の京料理を守り続ける料理人の心意気、都人の春夏秋冬の愛で方、花街のルールなどについて知ると、京都の奥ゆかしさや美しさの理由が分かる。この街で生まれ育った著者でさえ、定番を改めて辿ってその奥深さに驚愕した。数多の情報に振り回されず、本当の京都を知るための究極のガイド。

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 「私は京都好き」と言いたいあなたのために、本当は内緒にしておきたい(←編集者の本心!)、とっておきの名所・名店を紹介します。

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柏井壽

一九五二年京都市生まれ。大阪歯科大学卒業。京都市北区で歯科医院を開業する傍ら、京都の魅力を伝えるエッセイや、日本各地の旅行記などを執筆。『おひとり京都の愉しみ』『極みの京都』『日本百名宿』(以上、光文社新書)、『京都の路地裏』(幻冬舎新書)、『日本ゴラク湯八十八宿』(だいわ文庫)、『おひとり京都の春めぐり』(光文社知恵の森文庫)、『泣ける日本の絶景』(エイ出版社)ほか多数。
自分の足で稼ぐ取材力と、確かな目と舌に定評があり、「Discover Japan」「ノジュール」「dancyu」「歴史街道」など、雑誌からも引っ張りだこ。京都や旅をテーマにしたテレビ番組の監修も多数行う。
柏木圭一郎名義で、京都を舞台にしたミステリー小説も多数執筆する一方、柏井壽本名で執筆した小説『鴨川食堂』(小学館文庫)が好評で、テレビドラマ化も。
二〇一三年「日本 味の宿」プロジェクトを立ち上げ、発起人として話題を集める。
二〇一五年、京都をテーマに発足したガイドブックシリーズ「京都しあわせ倶楽部」の編集主幹としても。
プロフィール写真撮影:宮地工

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