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《京都ガイド本大賞・リピーター賞》受賞!京都の路地裏

2015.10.29 更新 ツイート

第6回:第五章 路地裏細道の美味しい店 より

なぜ路地裏細道のお店は美味しいのか柏井壽

柏井壽さんの『京都の路地裏』が京都ガイド本大賞・リピーター賞を受賞しました。「私は京都好き」と言いたいあなたのために、本当は内緒にしておきたい(←編集者の本心!)、とっておきの名所・名店を紹介します。

これぞ京都!というぜいたくな和食の有名店から、意外な盲点・江戸前の寿司や鰻、「洋食天国・京都」が誇る洋食屋さん、地元民が通う小さな店……などが40店。全部廻らないと気が済まなくなります。

*  *  *


なぜ路地裏細道のお店は美味しいのか

 表通りにある店と、路地裏の細道にある店は、自ずからその目的が異なる。

 多くの目に留まる表通りの店は、誰にでも来て欲しいというサイン。一方で裏道に暖簾(のれん)を上げる店は、限られた客だけを迎え入れようとする徴(しるし)だと思って間違いない。

 通常、観光客というものは、よほどの理由がない限り、裏通りや路地裏に入り込むことはない。地元に住む者の目にしか入って来ないそれらは、したがって、口コミサイトを始めとして、メディアに採り上げられる機会も少ない。いわゆる知られざる店。そんな店を見つけるのも、路地裏歩きの愉しみのひとつ。

 とは言え、路地裏にひっそり佇(たたず)む店に、いきなり入るのも躊躇(ためら)われるところ。うどん屋や食堂なら問題ないが、割烹、鮨屋ともなれば、予約してからの方がいい。常連客だけを相手にし、一見(いちげん)客を歓迎しない店も、路地裏には散見されるからだ。

 それを判別する為にも、気になる店を見つけたら、中の様子を探ってみたい。一見客をも快く迎え入れ、美味しいものが食べられる店。その見分け方を少し。

 京都を旅して、朝の路地裏散歩に出向く。初めて歩く道筋で、鮨屋の看板を見つける。先ずはこの看板が大仰でなく、汚れていなければとりあえずは合格。雨染みが出来ていたり、一部が破損していれば、不合格の烙印を押す。そう、飲食店には何よりも清潔感が大事なのだから。歴史ある古い店であっても、真っ当な店は手入れが行き届き、清潔感が漂っている。いくら新しい店でも掃除を怠っていれば、どことはなしに不潔な感じがする。それが最もよく表れるのは、営業時間外。夜の営業を終えた後、きちんと掃除して帰る店と、そうでないところでは、間違いなく味に差が出る。

 夜の営業だけなのに、朝から店の掃除や仕込みが始まっているようなら、きっといい店に違いない。声を掛けて料理のあれこれを尋ねてみる。値段はいくらくらいで、どんなものが食べられるのか。懇切丁寧に応対してくれれば、その場で予約すればいい。突っ慳貪(つっけんどん)だったら他をあたる。ネットや電話予約では、こういう感触は得られない。自分で見つけ、直接店の空気を確かめれば、店選びでの失敗はなくなる。

 口コミサイトには膨大な数の書き込みがあり、個人のグルメブログも、東京を除けば、他都市に比べて圧倒的に多いだろうと思う。更には、俗に言うグルメ本も京都では数多く出版されている。きっと京都を訪れる多くの旅人はこれらを参考になさるだろうが、あくまで参考程度に留めておかれるのがいい。まるごと信じ込んでしまって店を選び、大失敗となるケースもよく見かける。

 特に注意したいのが、広告紛(まが)いのブログ。最近流行りのステマ(ステルスマーケティング)と呼ばれる巧妙な隠れ広告を書き込むブログ。一見すると美味しい店をアトランダムに紹介しているように見えるが、よく観察すると、毎月同じ店が、決まった時期に掲載されている。

 とあるブログでは、京都の喫茶店チェーンの料理を毎月紹介している。何の変哲もない喫茶店なのだが、名のある板前割烹や有名レストランの間に潜り込ませると、如何(いか)にも銘店のように見えてしまう。

 これを信じてハンバーグを食べたら、何処にでもある普通の味だった、という書き込みもあった。

 相性もあり、好みも人それぞれなので、やはり店は自分で選びたいもの。その為にも京都では裏道へ入り込んで、この目で見つけたい。

 隠れ家鮨屋から、気軽なうどん屋まで。歩いて見つけた美味しい店を何軒かご紹介しよう。

*  *  *

この連載は今回で終了となります。続きは書籍『京都の路地裏』をお求めください。

関連書籍

柏井壽『京都の路地裏 生粋の京都人が教えるひそかな愉しみ』

観光地化された京都には、京都っぽいものが溢れており、本当の京都はないと著者は憂う。古き良き京都らしさが残っているのは、地元民の生活感が漂う、大通りから一本入った路地裏の細道。そこを歩けば、地元民が参拝に通う小さな寺社や、昔からの言い伝えが残る不思議スポット、多店舗展開しない漬物の老舗、一子相伝の和菓子屋、舞妓さんが通う洋食屋、京風料理ではなく本当の京料理を出す和食店……に出会える。京都に生まれ育ち、歩き尽くした京都のカリスマが、「本当は教えたくない」とっておき情報を紹介。

柏井壽『京都の定番』

近年、穴場的な「隠れ名所」が注目されがちな京都。だが、京都を愉しむなら、まず「定番」を押さえたい。誰もが知る名所・名店・祭事でも、その成り立ちや、今に至る歴史の流れまで知る人は少ない。名刹の背後にある物語、「京都風」でない真の京料理を守り続ける料理人の心意気、都人の春夏秋冬の愛で方、花街のルールなどについて知ると、京都の奥ゆかしさや美しさの理由が分かる。この街で生まれ育った著者でさえ、定番を改めて辿ってその奥深さに驚愕した。数多の情報に振り回されず、本当の京都を知るための究極のガイド。

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《京都ガイド本大賞・リピーター賞》受賞!京都の路地裏

 「私は京都好き」と言いたいあなたのために、本当は内緒にしておきたい(←編集者の本心!)、とっておきの名所・名店を紹介します。

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柏井壽

一九五二年京都市生まれ。大阪歯科大学卒業。京都市北区で歯科医院を開業する傍ら、京都の魅力を伝えるエッセイや、日本各地の旅行記などを執筆。『おひとり京都の愉しみ』『極みの京都』『日本百名宿』(以上、光文社新書)、『京都の路地裏』(幻冬舎新書)、『日本ゴラク湯八十八宿』(だいわ文庫)、『おひとり京都の春めぐり』(光文社知恵の森文庫)、『泣ける日本の絶景』(エイ出版社)ほか多数。
自分の足で稼ぐ取材力と、確かな目と舌に定評があり、「Discover Japan」「ノジュール」「dancyu」「歴史街道」など、雑誌からも引っ張りだこ。京都や旅をテーマにしたテレビ番組の監修も多数行う。
柏木圭一郎名義で、京都を舞台にしたミステリー小説も多数執筆する一方、柏井壽本名で執筆した小説『鴨川食堂』(小学館文庫)が好評で、テレビドラマ化も。
二〇一三年「日本 味の宿」プロジェクトを立ち上げ、発起人として話題を集める。
二〇一五年、京都をテーマに発足したガイドブックシリーズ「京都しあわせ倶楽部」の編集主幹としても。
プロフィール写真撮影:宮地工

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