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あなたとわたしの生存確認日記

2026.06.14 公開 ポスト

都会派になりたい(5月19日)― 太田胃酸、リュックで暴発。燃え殻

2026年5月19日

信じられないことに、今日も打ち合わせで大手町に。それも別件。

都会派の人に需要が出てきたのだろうか。

この階段を上がって、逆方向に歩き出し迷子になりました。

昼過ぎから六本木ヒルズにて、J-WAVE『BEFORE DAWN』収録。

完全に都会派だ。

……都会派なのに、四年以上やっているのに、今週もまた緊張し、噛みまくり、スタッフの方々に迷惑をかけてしまった。どっしりした都会派になりたい。

 

***
収録後、編集者からのメールに返信。「社会人に慣れない、というテーマの原稿のことなんですが……」から始まるメール。

どっしりした都会派になっている場合ではない。「慣れない」で仕事をしているんだから、このまま生きていこう、と強く決意。

***
太田胃酸の袋がリュックの中で破れていたらしく、中に入っていたモノが全部、薄っすら白くなってしまった。ポーチやノートパソコン、手帳、ペン入れまですべて薄っすら。

六本木ヒルズの蜘蛛みたいな立体物がある場所の近くで、タオル地のハンカチにミネラルウォーターを染み込ませ、それぞれ拭いていると、「大丈夫ですか?」と声をかけてくれる人がいた。

めちゃくちゃ流暢な日本語をしゃべるインド人の男性だった。

彼は、カバンからありったけのウエットティッシュを出してくれて、「使ってくださいね」と微笑み、六本木ヒルズの中に消えていった。真の都会派だと思った。

***
ほのかに太田胃酸臭いまま、打ち合わせをふたつこなし、たまたま通りかかった中華屋で、麻婆豆腐定食を食べた。

「麻婆豆腐とパスタは誰が作ってもそれなりに美味い」という持論を持っていたが(もっと他の持論を持て)、それを打ち砕くマズさだった。腹が減っていたのに、ちょっと残してしまった。店主に「もったいねえなあ」と捨てゼリフのように言われた。

***
週刊女性で新しく連載を始めることになった。大丈夫なんですか? と打ち合わせのたびに言われたが、なにを隠そう自分が一番そう思っている。そしてその答えは出ぬまま、連載が始まってしまった。

 

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(アイコンイラスト:大橋裕之)

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燃え殻

1973年生まれ。2017年『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説家デビュー。同作はNetflixで映画化、エッセイ集『すべて忘れてしまうから』はDisney+でドラマ化、『湯布院奇行』が朗読劇化(原作)、『あなたに聴かせたい歌があるんだ』がコミック化とHuluでドラマ化(原作と脚本)された。著書に小説『これはただの夏』、エッセイ集『それでも日々はつづくから』『ブルー ハワイ』『愛と忘却の日々』ほか多数。

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