一日一冊読んでいるという“本読み”のアルパカ内田さんが、幻冬舎の刊行作品の中から「今売りたい本」を選び、そして“POP職人”としての腕を振るって、手描きPOPも作ります。
そして、アルパカ内田さんへの「オススメ返し」として、幻冬舎営業部の人気者・コグマ部長からも、一冊ご紹介。
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元カリスマ書店員でPOP職人のブックジャーナリストが売りたい本
第18回 芦花公園『パライソのどん底』
こんにちは。酔っ払いのどん底を見たアルパカ内田です。
しかしとんでもない魅力をもった作品が現れた。一度読み始めたら虜になること間違いなし。真っ赤な血肉と暗黒の闇が鮮やかに交錯する印象的なシーンも、脳裏に焼きついてけっして離れることはない。これぞまさしく美しすぎる悪夢である。問答無用にエモーショナル。危険極まりない劇薬のような魔力がある。
甘美な愛から生まれる無垢なる情熱、恐るべき狂気。出会ったその瞬間から、理性が音を立てて崩れていく。尖った想いは、やがて研ぎ澄まされた刃となって人間の体内で暴れだす。そして混濁した精神と高揚した肉体をそのまま奈落の底へと突き落とすのだ。
美しすぎる存在は罪なのか。それとも清らかな想いの中から、醜さが育ってしまうのか。理屈にはならない感情が溶けだし、人々をかき乱し、絶頂に向かって渦巻いていく。比類なきアプローチで官能を極めた恐怖を生み出した芦花公園は、もはやひとつのジャンルである。
構成もまた素晴らしい。語り継がれてきた民俗譚をストーリーの中に巧みに挿入しており、ファンタジックな展開でも不思議なくらい普遍性が感じられる。いにしえから育まれた輪廻の思想、そして理不尽な僕らの日常。異世界と現実の風景がオーバーラップして見える。快楽と苦痛、生と死が隣り合わせにあるように、天国と地獄もひとつながりの世界である。人の心に棲みついた怪物の正体を、見事に解き明かした新たな都市伝説の誕生だ。
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アルパカ通信 幻冬舎部
元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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