一日一冊読んでいるという“本読み”のアルパカ内田さんが、幻冬舎の刊行作品の中から「今売りたい本」を選び、そして“POP職人”としての腕を振るって、手描きPOPも作ります。
そして、アルパカ内田さんへの「オススメ返し」として、幻冬舎営業部の人気者・コグマ部長からも、一冊ご紹介。
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元カリスマ書店員でPOP職人のブックジャーナリストが売りたい本
第35回 下村敦史『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』
皆さん、こんにちは。「鹿も探偵!」に慄いているアルパカ内田です。
『同姓同名』の大ヒットも記憶に新しい下村敦史作品には、読む者を引きつける特別な魔力がある。デビューから十年、出し惜しみを一切せず、読者をとことん楽しませるサービス精神。それが下村作品の最大の魅力。コスパ、タイパを価値観の中心とし、常に新たな刺激を求め続けているSNS 世代から絶大な支持を集める作家となった。
極限状態のミステリーが時代の潮流を作っているが、そのど真ん中に下村敦史がいることは間違いない。しかし「登場人物全員が犯人で、被害者で、探偵だった」とは。設定を聞いて気にならない読者はいないだろう。アクロバティックなテーマを破綻させずに、上質なエンターテインメント作品に昇華させる筆力にはまったく驚きしかない。
密室に閉じ込められたのは社長殺しの疑いのある7人。無実の者ではなく犯人だけが生き残れるという奇妙なミッション。いったい仕掛人は誰なのか? 毒ガス噴出までのタイムリミットは48時間。命を弄ぶような、何たる心臓破りの狂気だろう。疑心暗鬼の念が強まり続ける自白合戦の果てに、人間の素顔が暴かれる。しかし真犯人よりも恐ろしいのは、この物語を創りあげた著者その人ではないだろうか。
退屈な日常に飽きたなら、迷わず手にしてもらいたいのが下村文学だ。快進撃を続けるその秘密は、作家の脳内と、そこから生み出された作品の中にある。「どんでん返しの魔術師」の手による、想像を遥かに超越するサプライズを存分に体感してもらいたい。
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アルパカ通信 幻冬舎部
元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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