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アルパカ通信 幻冬舎部

2024.01.26 公開 ツイート

岡本雄矢『センチメンタルに効くクスリ トホホは短歌で成仏させるの』/中山祐次郎『外科医、島へ 泣くな研修医6』‐人生に奮闘する全ての人に読んでほしいエッセイと小説 アルパカ内田/コグマ部長

一日一冊読んでいるという“本読み”​​​​​​のアルパカ内田さんが、幻冬舎の刊行作品の中から「今売りたい本」を選び、そして“POP職人”としての腕を振るって、手描きPOPも作ります。

そして、アルパカ内田さんへの「オススメ返し」として、幻冬舎営業部の人気者・コグマ部長からも、一冊ご紹介。

*   *   *

元カリスマ書店員でPOP職人のブックジャーナリストが売りたい本
第28回 岡本雄矢『センチメンタルに効くクスリ トホホは短歌で成仏させるの

なぜか日々、小さな不幸に見舞われる著者。「自
転車で豪快にこけてやっぱりか この夏初の半ズ
ボンの日」「ほぼ同じツイートなのに14万いいねの
人 105いいねの僕」「もうこれで最後だの感じ出し
たのに3日後に会う機会があった」などのトホホ
短歌にトホホエッセイを添えた一冊。誰にでも起
きる憂鬱なことも、短歌に詠めばクスリと笑えて、
明日に向かえることを教えてくれる。

皆さん、こんにちは。センチになり過ぎてメートルになったアルパカ内田です。

読書の醍醐味といえば、まずは「共感」だと思うが、これほど激しく膝を打った作品も珍しい。皮肉な運命に翻弄される数々のエピソード。その中に読者は思わず自分自身とごく身近な場景を重ね合わせるであろう。名もなき小市民の心のつぶやきが全編から聞こえ、いつしか大合唱となって押し寄せてくるのだ。

「不幸短歌エッセイ」の名の通り、哀しいほどアンラッキーが連鎖していく。しかし、どんなにツキがなくても正直に生きることは素晴らしい。思わぬ赤面、赤裸々な告白、青息吐息に黒歴史……ブラックな現実とグレイな日常が鮮やかに色づく瞬間を体感できる愛おしい一冊だ。

例えば「3日とも大丈夫ですは恥ずかしく1日だけNGにしておく」という歌に惹かれてしまう。誰かの問いかけに対する葛藤。そこから細やかなドラマが感じられ、何よりも自然体の率直さが好ましい。手のひらサイズの風景描写であっても芸人である著者の大らかな包容力が伝わり、無意識の行動や本音の吐露が実に人間的で味わい深いのだ。

短い文章で現代の空気を鋭く切り取る。SNSで育った若者世代を中心に短歌がブームとなっている昨今、言葉によるコミュニケーションを深める場として短歌界はますます盛り上がっていくだろう。ど真ん中ではなくとも、その賑わいの中に歌人芸人がいることは間違いない。

アルパカ内田さんの手描きPOP。ご自由に使っていただけます。その際、こちらにご連絡いただけると幸いです

幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
中山祐次郎『外科医、島へ 泣くな研修医6

離島の診療所に派遣された外科医・雨野
隆治。島ではあらゆる病気を診なければな
らず、自分の未熟さを思い知る。ある夜、駐
在所から、身元不明の死体が見つかったと
いう電話が―。累計57万部突破の人気シ
リーズ、驚きと涙の新展開。

一方こちらは、「泣くな研修医シリーズ」第6弾にして最新刊。

外科医になって7年目の雨野に離島勤務の話が舞い込んだ。勤務地は、東京・三宅島からさらに船で1時間かかる神仙島。雨野は二つ返事で引き受ける。島には、上司となる先輩医師もいるが、遠隔地であるため診療科目に関係なく何でも診るのだ。不安と意気込みが入り混じったまま、島での診療生活が始まった。しかし初日から、妊婦、精神を病んだ人、目を負傷した患者などが訪れる。覚悟はしていたが、それまでの外科医としてのキャリアよりもかなり広範な仕事に追われることに。情けないと思いつつも、雨野はふと思い直す。「だからこそ自分はここへ来たのだ」と。外科医になってまだ7年目とはいえ、それなりに慣れも出始めた自分をリセットするために。

そんな折、工事現場でトラックに轢かれた作業員が運び込まれてきた。重傷だが、なんとか手を尽くせばまだ生存の可能性がある。しかし、設備には限界が。都会であれば助かる命も、ここでは違う。命の重さに違いはないはずなのに。さらに島で不審死体も見つかるという物騒な事案も発生して……。

雨野はドラマで見るようなスーパードクターではない。失敗もするし、悩みもする。日々、悔しさや無念さを嚙みしめながら、目の前の仕事に向き合っている。そんな普通の人の物語だからこそ、このシリーズは読者の心に深く染み込んでいくのである。

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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

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アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは5000枚以上で著書に『POP王の本!』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

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