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「誰も教えてくれなかった子どものいない女性の生き方」

図書館で本を探していたら、このタイトルが目に飛び込んできた。

女性にとって子どもがいないというのは、誰かに教えてもらわなくてはならないほどの苦悩と悲痛を伴うべきもの――そう突きつけられたようではっとする。

(写真:iStock.com/Studio Doros)

 

私は、昨年、卵子を凍結した。

卵巣から卵子を体外に取り出す採卵は、肉体的な痛みを伴うといわれる。だけど、私は、静脈麻酔で眠らないで、局所麻酔だけで採卵したって、ちっとも痛くはなかった。まぁ、あんまり取れなかったから。それよりも、私の心は傷ついて、痛みを発して、腫れて倦んだ。

採卵の前に、アンチ・ミューラリアン・ホルモン(AMH)という値を測り、それが「0.43ng/ml」という値だと知らされたとき、混雑した不妊治療クリニックの診察室で、向かいに座る医師は、その長ったらしい名前のホルモンの意味や数字の示す意義を説明することもなく、「卵巣年齢50歳だね」と言った。

お薬出しときますねーとか、湿布貼りかえますねーとか、そのくらいの軽い調子で繰り出された言葉のパンチの強さに、私はしばし呆然とした。でも、そのときの私は、なんてデリカシーのないクリニックだと怒るくらいの気概が残っていたのだ。だって、それでクリニックを変更したのだから。

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ハイスペック女子のため息 season2

ハイスペ女子は自分で自分が面倒に思うこともある。社会に邪険に扱われ、「なぬ?」と思うこともけっこうある。今日もぶつかる壁や疑問を吐露する社会派エッセイ。

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山口真由

1983年、札幌市生まれ。東京大学法学部卒。財務省、法律事務所勤務を経て、ハーバード大学ロースクールに留学。2017年にニューヨーク州弁護士登録。帰国後、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程に入学し、2020年に修了。博士(法学)。現在は信州大学特任教授。「超」勉強力』(プレジデント社、共著)いいエリート、わるいエリート(新潮社)、『高学歴エリート女はダメですか』(幻冬舎)など著書多数。最新刊は『「ふつうの家族」にさようなら』(KADOKAWA)。 
山口真由オフィシャルTwitter

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