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結局だらしな日記

2020.10.18 更新 ツイート

ロックとパンクの神よ、感動をありがとう!(10月8日~16日) 藤田香織

10月8日(木)

朝起きたて、ベランダに出たら朝顔が咲いていた。

朝顔といえば、夏休みの観察日記でお馴染みの、つまりは「夏の花」なイメージというか、思い込みがあったので、見た瞬間軽くギョッとした。
え? 朝顔? なんで? こわっ! みたいな。

朝顔は自分で夏前に種をまいたものであって、別に知らないうちに突然どこかから種が運ばれてきた(よく聞く鳥の糞に混じっていて、みたいな?)ものではないし、花が咲いたことは全然悪いことでもないのに、ギョッとするなんてごめんよ、と思う気持ちもあるものの、見知った物でも思いがけない時や場所で見かけると、やっぱり困惑するものなんだなぁと思う。猫のウンコをベッドで見つけたときとか?(違います)。

 

不吉、というほどのことではないものの、そこはかとなくイヤーな感じを抱きつつ、本日も粛々と歯医者へ。しかし行ってみると、出来上がってきていた虫歯の詰め金具が、先生的に満足のいくフィット感ではない、ということで「作り直しに出します」と言われる。その前の先生待ちみたいな間に軽く歯のクリーニングもしてくれて(頼んだわけじゃないけど)、借の詰め物を外してあれこれ調整し、また詰めて、なんやかんやで軽く1時ほど時間はかかったけど料金は0円で、微妙に複雑な気持ちになった。

いやこの状況で、数百円でも料金が発生していたら「頼んでもいないクリーニング勝手にしておいて?」「金具も合わなかったのに?」と思うかもしれない。でも0円は0円で、本日、この歯医者のためにあれこれ調整したり風呂に入ったり着替えたり、心もとなくなった車のガソリンを入れたり、駐車場が空いてなくて遠い場所に停めて歩いてきたりした労力や、何より頑張って奮い立たせた気力が「無」になったようで、虚しくもあるのだ。

あと、前回も同じことを言われたんだけど、仮の詰め物をするとき先生が「はい、ちょっと不味い味がしますけど、1時間くらいで臭いは感じなくなりますからねー」とか「不味い味なんですけどちょっと我慢してくださいねー」と言うのに、入れられるものなら校閲ガール的に<*重複、OK?>と赤字を入れたくなった。
実際、その詰め物はめっちゃ不味いんだけど、「いやいや先生! 不味い味って! 頭痛が痛いみたいな?」と突っ込みたくなる気持ちをどうにかモグモグ呑み込む。
だって、きっともうずっと前から、大げさではなく毎日のように、都合何百回も、下手すりゃ何千回も先生は「不味い味」と言っているはずで、でも、それが続いているってことは、この病院の他の先生方やら(たぶん歯科医師だけで5人ぐらいいる)歯科衛生士(いっぱいいる)やら他の多くの患者さんなどなどは、今まで誰もそれを指摘しなかった、ってことであるよな。それを私が? 私ごときが軽いノリで突っ込める? いやー言えない! 言えないわー!! てなわけで。
……今日の労力は、この日記に書くことがあったのでヨシとしょうと思う。

<最近の読書>
『自転しながら公転する』(山本文緒/新潮社¥1980)
……<最近の読書>はなるべく発売日後になるように書いていて、仕事柄先にゲラやプルーフ(ちゃんと本になる前に仮で作られた宣伝や資料用の本)で読んでも、Amazonに詳細が出るまでは待つ、というしばりをガースと決めたのだけれど、それ故に実はとっくに読んでいるのにタイミングを待ってる間に書き忘れることがわりとある。でもって、この山本文緒7年の長編は、春に出るはずだったのがコロナ禍真っ盛りで発売が9月に延期されて、気が付いたら発売日が過ぎていた。プルの具合がどうも良くない、これはダメかもとなったとき、一度読んだ本書のプルーフを読み返して気持ちを落ち着けた。弱ったときに読むと活力が云々系の物語だからというわけではなくて、長く読んできた作者への絶対的な信頼&安心感がそうさせたんだと思う。そういう作家が見つかるといいよー! と言いたいでつ。
『この本を盗む者は』(深緑野分/角川書店¥1650)……深緑野分は世界の立ち上げが早い、言い換えると彼女の小説は世界に入りやすい、と私には感じる。いつも読む前はその世界の話、苦手な予感がする……と思うのに、読み始めるとたちまち引き込まれる。まさに「極上の現実逃避」。そうそう、本を読むって、物語を読む醍醐味って、そういうことだよねー、というポイントが沢山あるので、ぐっときてしまう。読書の秋本にぴったりかと!

これは8月末の写真だど、こんな感じで咲いてた朝顔。10月の朝顔、マジこえー!

関連書籍

杉江松恋/藤田香織『東海道でしょう!』

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藤田香織

1968年三重県生まれ。書評家。著書に『だらしな日記 食事と読書と体脂肪の因果関係を考察する』『やっぱりだらしな日記+だらしなマンション購入記』『ホンのお楽しみ』。近著は書評家の杉江松恋氏と1年半かけて東海道を踏破した汗と涙の記録(!?)『東海道でしょう』。

Twitter: @daranekos
Instagram: @dalanekos

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