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結局だらしな日記

2021.04.28 更新 ツイート

緊急事態宣言下のモヤモヤを何で晴らすのか問題が問題だ!(4月17日~25日) 藤田香織

4月17日(土)

猫餌を買いに出かけた午後2時のホムセンで、思わずビクッ! となった。

「おめえはいつも汚ねぇんだよっ!」
「あーーーっ! そんなにこぼすならもう食うなっ!」

50歳を過ぎた私でさえ、ひぃぃ! と首をすくめそうになる怒鳴り声だ。つられて声がしたほうを見ると、20代後半くらいと思われる母親が、ふたりの子どもたちの横に仁王立ちしていた。

 

そこはホームセンター内のちょっとした飲食スペースで、テーブルについてアイスクリームを食べていた姉妹のうち、妹のほうが母親(推定だけど確定でしょう)に怒られ、アイスを取り上げられ、うわーん! と泣き出し、その反応に母親がまた「うるせぇんだよ! こんなとこで泣くな!」と怒りまくり、テーブルの脚をガンっ! と蹴り、妹の泣き声は更に大きくなるという地獄絵図が、わずか15秒ぐらいの間に展開した。

うへぇ、と思ったわけです。で、その展開の早い15秒くらいの間に、私が何を考えたかといえば、こんな感じだった。

(ヤダヤダもうちょっとなに? あなたの声のほうがよっぽど煩いんですけど? こんなとこで子ども泣かさないでよ。泣くなじゃないよ、自分が泣かせてるんだよ。大体、その子たち何歳? お姉ちゃんだって椅子の上に正座してどうにかテーブルに手が届いてるくらいじゃん。その泣いてる子なんて、ようやく椅子にひとりで座れるくらいじゃん。まだろくに喋りもしない子に「こぼすな」とか言って、できるの? 無理なんじゃないの? 知らないけど。え? 蹴るって! いやそりゃ直接子どもに手は上げてはないけど、テーブル蹴るって! なに? ちょっとコワいんですけど!)
というようなことだった。

結局、そのママンはギャン泣きする子どもをあやすこともなく、私が座っていた席の隣にひとりでやって来て、スマホを取り出し何やら熱心に操作し始め、怒られた妹は徐々に泣き止み、推定4才ぐらいのお姉ちゃんは黙々とアイスを食べ続けていた。

で。
私が何をしたかといえば、何もしなかったのだ。
母親を諫めることもなく、宥めることもなく、励ますこともなく、優しい言葉をかけるでもなく、ただちょっとイラついて、ビクつきながら黙って様子を見ているだけで、子どもが泣き止んだところで席を立って、猫餌を持って帰って猫ズに与えて、モヤモヤした気持ちをジャニーズJr.のMステDVDを観ることで落ち着かせて、今、この日記を書いている。何もしなかったなぁと思いながら。

そういえば、先週も100均で、ビクっとしたことを思い出す。そのママンは小学校低学年ぐらいの兄弟に「てめぇら店んなかで走るんじゃねぇ!」と怒鳴っていた。そのときは(いやいやママンは正しい。言葉遣いが悪いだけで。言ってることは正解。公の場であんまり聞かない言葉遣いなだけで)と思うに留めたけど、今日のことは、ちょっとまだグルグル考えてしまう。

あれは虐待の範疇なんだろうか。DVってどこからどこまでなのか。人目のあるホームセンターであんな調子ってことは、家ではどんな感じなのか。いやでも、私に何が言える? 何ができる? 子どもをぶったりしてるわけでもないのに。子ども育てた経験もないのに。娘たちよ、強く生きろよ! いやでもこれって超絶他人事じゃないか。いやだって他人だし。ただの行きずりで名前も知らないし。いやでもこういう無関心が虐待死を招くのでは。いやでも実際、何ができるのよ?
エンドレスだ。

こういう、考えてもすぐには答えなんて出ない、ケースバイケースで正解が分からない問題を、考えるのは精神衛生上良くないと思うけど、考えるくらいは考えても良いのではないか、とも思う。難しいな。

<最近の読書>下読み進行度30/50
おじさんはどう生きるか』(松任谷正隆/中央公論新社¥1650)
……ユーミンは今の時代に結婚したら、松任谷姓を名乗っただろうか。荒井由実を通した気もするけど、すんなり名乗った気もする。だって「松任谷」だもんな! てなことをぼんやり考えながら読んだ。自分が若かったときと、使われる側の年齢になってからの「敬語のマナー」など、著者にとっての様々な日常マナー考察エッセイ。巻末にはジェーン・スー氏との対談も。いやしかし、松任谷正隆が70歳なんて! そりゃそうかなんだけども!

先日、某所で食べた鳥の半身揚げ定食。ものすごーく美味しかったけど、アクリル板なし、隣は昼飲み女子会、逆隣は5人連れ同僚ランチで、うううっ、となった。東京怖い!

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藤田香織

1968年三重県生まれ。書評家。著書に『だらしな日記 食事と読書と体脂肪の因果関係を考察する』『やっぱりだらしな日記+だらしなマンション購入記』『ホンのお楽しみ』。近著は書評家の杉江松恋氏と1年半かけて東海道を踏破した汗と涙の記録(!?)『東海道でしょう』。

Twitter: @daranekos
Instagram: @dalanekos

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