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美しい暮らし

2019.11.05 更新 ツイート

とろろのシーフード・グラタン矢吹透

ねばねばしたものを食べると元気が出る、となんとなく信じられているところがあります。

調べてみると、オクラや長芋や納豆など、ねばねばした食品には、ムチンやペクチン、フコイダン、コンドロイチンなどといった成分が含まれており、腸内環境を整えたり、胃の粘膜を保護したり、代謝を助けたり、という働きがあるようです。


「ばくだん」という鮨屋のメニューについて、私が知ったのは、そう遠い昔のことではありません。

以前、勤務していた会社の食堂フロアの一角に、鮨カウンターがあり、後輩が残業の折、そこで「ばくだん丼」をよく頼む、と話していたのを聞いたのが、おそらく最初だったと思います。

行きつけの鮨屋の職人さんに聞いてみると、ばくだんというのは、元々、賄いの食べ物だったのだそうです。

魚を切る時に出る端を、取り分けておき、それを一緒にして、とろろと合わせ、賄いとして、職人さんが食べていたものを、お客様のリクエストに応じて、お出しするようになったのだということです。

どうして、ばくだん、と言うのですか、と訊ねたところ、元気が出るからだって言いますよ、爆弾呑んだみたいに元気になるからって、と教えてくれました。

ねばねばしたとろろの中に、いろいろな魚介が合わさっておりますから、確かに栄養豊富ということができるかもしれません。


秋が急に来たからでしょうか、季節の変わり目だからでしょうか、最近、私はちょっと元気がありません。

生きて行くというのは、くたびれるものだなあ、としみじみと思ったりするのです。

そうして、周囲に目を遣ると、くたびれているのは、自分ばかりではないのだ、と気づかされることのままある、今日この頃です。

ご飯をしっかりと食べて、睡眠をよく摂り、自分を労りながら、過ごすことにいたしましょう。


ねばねば食品への信仰を特に持っているわけではありませんが、我が家では、冷蔵庫に長芋を常備しております。

真空パックになっているタイプのものですと、案外、日保ちもいたしますし、すりおろして保存容器に入れ、冷蔵しておいても、2〜3日は保ちます。

皮を剥いてすりおろす手間を考え、躊躇する方もいらっしゃるでしょうが、思い切ってやってみると、そこまで大変な作業でもありません。

食欲のない時、料理をする元気の出ない時、すりおろした長芋に卵と白だし少々を加え、熱々の白いご飯にかけて食べるのは、ほっとするものです。

蕎麦つゆにとろろを入れて、お蕎麦やうどんを頂くのも、美味しく、そして確かに、少し元気が出るような気がいたします。


最近、我が家で好評なのは、とろろを使った簡単なシーフード・グラタンです。

とろろに、マヨネーズを味を見ながら加え、お好みの加減にいたします。

そこに小口に刻んだ長葱を加え、混ぜます。

グラタン皿に解凍したシーフード・ミックスを敷き、上から葱の入ったマヨネーズとろろをかけます。

オーヴン・トースターで表面にこんがりと色がつくまで、焼きます。

仕上げに刻んだ万能葱を散らして、出来上がりです。

小麦粉を使っていないグラタンなので、さっぱりと軽い味わいが喜ばれるようです。

肌寒い日は、熱々のとろろグラタンで、体と心を少し温めて、元気を取り戻しましょう。
 

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関連書籍

矢吹透『美しい暮らし』

味覚の記憶は、いつも大切な人たちと結びつく——。 冬の午後に訪ねてきた後輩のために作る冬のほうれんそうの一品。苦味に春を感じる、ふきのとうのピッツア。少年の心細い気持ちを救った香港のキュウリのサンドイッチ。海の家のようなレストランで出会った白いサングリア。仕事と恋の思い出が詰まったベーカリーの閉店……。 人生の喜びも哀しみもたっぷり味わせてくれる、繊細で胸にしみいる文章とレシピ。

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