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現代アートは本当にわからないのか?

2019.09.21 公開 ポスト

「表現の不自由展・その後」と、飼いならされるわたしたち――あいちトリエンナーレ2019村上由鶴

 

あいちトリエンナーレ2019のロゴをよく見ると、「Taming Y/Our Passion」という英語表記があります。「Taming」は「飼いならすこと」、「Y/Our Passion」は「あなた/わたしたちの(感)情」を示しています。この英語のテーマ、「情の時代」という日本語のテーマにやや詳細なニュアンスを加えつつ、あいトリが直面している感情的な批判や脅迫を予言していたかのよう。

怒りをコンピュータウイルスのようにばらまき、ひとりひとりの感情をハッキングして、その延長線上の社会を乗っ取ることが現実となりつつある現代は、まさに感情に飼いならされた時代。
前回に続いて「あいトリ2019」後半となる今回は、この「Taming/飼いならす」というテーマに関わる作品を紹介していきます。

まず、アンナ・ヴィットの《60分間の笑顔》は、スーツに身を包んだ男女がカメラに向かって60分間微笑み続ける映像作品。
だんだん疲れて飽きている人や、腰や肩がこっているような仕草を見せる人などを映し出していて、これ自体はキュートなおもしろさがある作品となっています。

 

あいちトリエンナーレ2019の展示風景
アンナ・ヴィット《60分間の笑顔》2014

 

とはいえ、「その場で微笑んできちんと立っていろ」というのは、なにも特殊な場面設定ではありません。幼稚園から学校、会社、老人ホーム、そして家庭と、あらゆる社会や集団において、ほとんどの人がなんらかのかたちで経験すること。ですが、このように映像を通して「要求する側―従う側」という構造を改めて見せられると、わたしたちの社会がこうした小さな飼いならしの連続によって成り立っていることを思い出させてくれるのです。

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