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トランプ時代の地政学

2019.02.25 公開 ポスト

INF条約破棄、狙いは中国のミサイル増強阻止杉本宏

北京航空博物館(写真:PIXTA/trikehawks)

今週2月27日、28日には、2回目の米朝首脳会談が開かれる。トランプ大統領が、金正恩委員長から非核化の具体的措置をどこまで引き出せるかは、日本にとって極めて重要な問題だ。だが、今月初めにアメリカがロシアに正式通告したINF条約破棄も、実は日本の安全保障に直結する重大事件だった。トランプ政権の真の狙いはどこにあるのか、そして日本への影響は?

*   *   *

トランプ大統領による米ロ核軍縮条約の破棄が、中国を巻き込んで波紋を広げている。問題になっているのは、米国が冷戦時代に旧ソ連と結んだ中距離核戦力(INF)全廃条約だ。トランプ政権は2月初め、この「時代遅れ」の条約から離脱するとロシア側に正式通告した。ロシアの条約違反を表向きの離脱理由に挙げているが、冷戦後、条約の縛りを受けずにミサイルを増強し続けてきた中国を新たな軍備管理交渉に引き込むことが真の狙いだと見られる。その行方は、アジア太平洋の安全保障に直結するだけに、日本も他人事では済まされない。

「おそらく、我々は、中国など他の国も加えて(INF全廃条約とは)異なる合意に向けて交渉できるだろう。しかし、それができなければ、他国をはるかに上回る資金を投入して、開発で先を行くだけだ」

トランプ大統領は2月5日の一般教書演説で、条約離脱の狙いについて語った。新たな多国間合意に向け、軍事力を背景にした駆け引きも辞さない構えを示したと言えよう。

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杉本宏『ターゲテッド・キリング』

「対テロ戦争」という果てしない戦争が世界を覆う中、標的殺害(ターゲテッド・キリング)という非公然攻撃を米国は展開している。一種の「闇討ち」は、効率的ではあるが、米国政府に様々な法的・倫理的なジレンマを突きつける。米首脳たちの内紛と懊悩を通じ、21世紀の正義と戦争の行方を追う。

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トランプ時代の地政学

「世界の警察官を辞める」だけでは収まらず、いまや世界秩序の攪乱要因になりつつあるトランプ大統領のアメリカ。海外取材経験の豊富なジャーナリストであり、国際政治研究も続ける著者がトランプ大統領・アメリカの本音を読み解き、日本とのかかわりを考察する。

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杉本宏

ジャーナリスト。慶應義塾大学大学院修士課程修了。マサチューセッツ工科大(MIT)政治学部博士課程単位取得退学。防衛大学校非常勤講師を経て、朝日新聞社入社。政治部、外報部などを経て、ロサンゼルス、アトランタ、ワシントンに赴任。記者としての取材活動のかたわら、国際政治研究も続ける。著書に『ターゲテッド・キリング――標的殺害とアメリカの苦悩』(現代書館)がある。

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