1. Home
  2. 生き方
  3. 移住サバイバル
  4. 都会から逃げ出したかったとき、震災が起き...

移住サバイバル

2019.01.01 更新

都会から逃げ出したかったとき、震災が起きた山本圭一

ベストセラー『仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか』などの著書がある山本圭一さん。人気パーソナルトレーナーとして活躍していた東京での生活をバッサリと断ち切って、2011年、宮城県石巻市に移り住みました。いったい何があったのか? 何を考えていたのか? 文字通りゼロからの移住サバイバル生活を綴る新連載です。

* * *

電気なし、水道なしの、テント暮らし

宮城県石巻市雄勝町という漁村で暮らしている。

昨年の6月までは漁師で生計を立てていた。年に1回、地域おこしのトレイルランニング大会を主催したり、地元仮設商店街でのイベントに積極的に関わったりするなど、何の地縁血縁もないこの土地で、それなりに地域に溶け込んで暮らしてきた。

そう、僕は移住者だ。

 

 


2011年に発生した東日本大震災の直後に、最大被災地のひとつである石巻市で支援活動をはじめ、いつの間にかこの町で漁師になってしまった。

移住したての頃は、当然知り合いはおらず、借りられる家もなく(知らない人に家を貸すような地域ではないし、そもそも津波でほとんどの家が流された)、またインフラも破壊されたので水道も電気もない。

文字通り、最初の1年は何もない世界だった。

元々は集落だった場所に、たまたま流されずに耐えた家があった(とはいえ、津波で一度水没しているので、まともな状態ではない)。最初の1年は、その家の中にテントを張って暮らした。まだ津波のヘドロの匂いが残っていた。

夜はロウソクを頼りに過ごし、水は沢の水を利用。煮炊きはバーナーや薪を使った。冬にはペットボトルの水が氷る世界だった。

地域の人たちには、よくあそこで暮らしたなと、今でも言われる。

そんな、僕のことなど誰も知らない、暮らすにはとても条件の悪い場所で、7年間生き抜いてきた。今は自分の土地と家を持ち、海の見える自然豊かな場所で、妻と二人ひっそりと暮らしている。

人助けじゃない。僕は逃げたのだ。

移住生活の一番大変だった時期に支えてくれた妻と

さて、そもそもなぜ、便利な都会を捨て、不便な田舎に来たのか。しかも被災地に。

話せば長くなるのだが、シンプルに言えば、都会から逃げたかったし、人生をリセットしたかったから。

20代の僕は、ビジネス中心に暮らしてきて、心身共に疲れ切っていた。だからどこかに逃げたかったというのが本音。そう感じていた矢先の大震災だった。

人助けをしたいと切望して被災地に行ったのではない。白状すると、現地の状況をこの目で見たいという、ほとんど物見遊山に近い行動だった。

2010年には東京での仕事を整理し、長野県に移住しようと考えていたので、動きやすい状況だった。そんなこともあって、震災の翌週には宮城県に来ていた。

そこで目にした状況はテレビで見るのとは次元が違い、五感の全て、心の全部に、強い苦しみを感じた。あの状況をこの目で見て、被災地の復興の真実を現地で暮らしながら見てきたことは、僕にとってはかけがえのない人生勉強になった。

2011年の9月までは、知人と一緒に子供たちの学習支援に明け暮れた。そこでうっすらと芽生えてきたのが、どうせ移住するなら、この町で冒険してみるのもいいかもしれないと言う気持ちだった。

(次回に続く)

関連キーワード

関連書籍

山本ケイイチ『仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか』

いま体を鍛えるビジネスマンが急増中。経営者や金融マン、クリエイターなど、常に成果を求められる人ほど、トレーニングに時間とお金を投資している。筋肉を鍛え維持することは、もはや英語やITにも匹敵するビジネススキルなのだ。本書では「直感力・集中力が高まる」「精神がタフになる」など、筋トレがメンタル面に大きな変化をもたらすメカニズムを解説。続けるための工夫、効果を高める食事・睡眠、ジムの活用法など、独自のノウハウも満載した画期的トレーニング論。

{ この記事をシェアする }

移住サバイバル

東日本大震災を機に宮城県石巻市に移住した山本圭一さん。家なし、知り合いなし、文字通りゼロから始まったサバイバル生活の記録。

バックナンバー

山本圭一

()プロテイン工房代表。中学生時代に独学で筋トレを始め、高校で本格的な筋トレと禅に取り組む。 高校卒業後はトレーニングを極めるべく自衛隊に入隊。初級偵察教育では隊長賞を受賞。 その後フィットネス業界に転身し、パーソナルトレーナーとして独立。独自のトレーニングメソッドがビジネスマンや経営者に支持され、予約のとれないトレーナーになる。2008  5 月に『仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか』を出版。13 万部を超えるベストセラーに(その他著書多数)。 また企業フィットネスのアドバイスやジム経営、フィットネス通販事業なども手掛ける。2011 年からは、鍛錬家を名乗り活動を開始。 トレーニングを「心を磨く」行為として捉え、体づくりと社会貢献についてセミナーなども行う(個人活動として勧善道場を主催)。同年、東日本大震災の直後から、宮城県石巻市雄勝町にて炊き出しや学習支援を行ったことをきっかけに移住。漁業をしながら新しい街づくりに奔走する。地域PRのために主催してきた「三陸・雄勝 海の幸トレイルランニング」(20112018)を業界でも有数の大会に成長させた。2018年に小ロット対応のプロテインOEMメーカー「プロテイン工房」を設立し、フィットネス消費よる社会貢献の拡充を目指す。

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP