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移住サバイバル

2019.07.13 更新 ツイート

田舎で生きていく必須スキル(後編)

噂話を味方につけろ!山本圭一

2018年、最後の「海の幸トレイルランニング」を終え、一息つく妻

職業に貴賤あり?

今度は逆の発想をしてみよう。どうしたら、根も葉もある、良い噂話を広げることができるのか。

真っ先に挙げたいのは、一緒に汗をかくことだ。漁業の町なら漁師として、農業の町なら農家として働く。

移住したばかりの頃、こんなことを聞いた。「あいつはクーラーのきいた部屋で事務仕事をしている。そんなんで給料がもらえるなんて、楽で羨ましい」。目に見える仕事、つまり漁師のように、額に汗をかき厳しい自然環境のなかで作業することが仕事であり、それ以外は仕事ではない、というわけだ。唖然とするしかなかった。

 

もちろん、そこまで言う人は一部なのだが、額に汗して「作業」している人が尊ばれ、デスクワークや営業などが下に見られる傾向が、田舎にはある。中には会社社長という立場すら、指示するだけの楽な仕事と言う人もいた。

漁師や農家以外の仕事をしたことがなく、村から出たこともなければ、どうしてもそのような思考回路になってしまうのだろう。だが、そこに住む以上は、「世間が狭い」と文句を言っていても仕方ない。そういう人たちを理解し、うまく付き合う。目的はサバイバル、生き残ることなのだから、味方は多い方がいい。迎合する必要はないが、良い噂話、評価を得るに越したことはない。

幸い僕はここでの本格的な生活をアルバイト漁師として始めたので、地元の方々から(もちろん全員ではないが)、ある程度の評価をいただくことができた。ただ、ここであらためて言っておきたいのは、僕は地元での評判を良くしたくて漁師をやっているわけではないということだ。好きだから、鍛錬になるから、漁師をやっている。結果、それが良い方に転がったということだ。

「共に汗をかく」ことの圧倒的な価値

最近では、地方にいながら移住前の都会での仕事を続ける、リモートワークも流行っているという。僕もプロテイン事業に関しては、全国の取引先とほとんどパソコンだけで仕事をしているので、ほとんどリモートワークみたいなものだ。だが、前述したように、アルバイト漁師は今でも続けているし、なにより、これまでの7年間、ずっと漁師だけをやってきたという蓄積がある。だからこそ、地元に溶け込むことができたし、一定の評価を得ることもできた。

最初からリモートワークだけで家から出ず、地元の人と共に汗を流すことをしなければ、いつまで経っても打ち解けることは難しい。移住者は、自分のことを言葉で説明すれば相手は理解してくれると考える、だがこれは大いなる思い違いだ。これまでどんな仕事をしてきて、どんな地位にあって、これからはどんな仕事をするかを説明したからといって、目の前の人は「だからなんだ」という気分になるだけだ。

大切なのは、同じ釜の飯を食うこと。言葉ではなく肉体を通して、肌の触れ合う距離で、共に汗をかくこと。すなわち「場の共有」だ。

もちろんリモートワークを否定するわけではない。だが、可能なら、移住先で何か一緒に汗をかける労働を探してみてはどうだろうか。漁村なら一年を通してほぼ100%、アルバイトがある。農村でも期間バイトがあるだろう。時給は決して高くなく、肉体的にも辛い労働だろうが、現代人が忘れかけた、汗をかいて働く気持ちよさを思い起こさせてくれる。

移住を成功させるために、理解者、仲間は多い方がいい。困ったときに助けてくれるのは、ネットで「いいね!」を押してくれる人ではない。共に汗を流した仲間たちなのだ。


 

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関連書籍

山本ケイイチ『仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか』

いま体を鍛えるビジネスマンが急増中。経営者や金融マン、クリエイターなど、常に成果を求められる人ほど、トレーニングに時間とお金を投資している。筋肉を鍛え維持することは、もはや英語やITにも匹敵するビジネススキルなのだ。本書では「直感力・集中力が高まる」「精神がタフになる」など、筋トレがメンタル面に大きな変化をもたらすメカニズムを解説。続けるための工夫、効果を高める食事・睡眠、ジムの活用法など、独自のノウハウも満載した画期的トレーニング論。

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移住サバイバル

東日本大震災を機に宮城県石巻市に移住した山本圭一さん。家なし、知り合いなし、文字通りゼロから始まったサバイバル生活の記録。

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山本圭一

()プロテイン工房代表。中学生時代に独学で筋トレを始め、高校で本格的な筋トレと禅に取り組む。 高校卒業後はトレーニングを極めるべく自衛隊に入隊。初級偵察教育では隊長賞を受賞。 その後フィットネス業界に転身し、パーソナルトレーナーとして独立。独自のトレーニングメソッドがビジネスマンや経営者に支持され、予約のとれないトレーナーになる。2008  5 月に『仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか』を出版。13 万部を超えるベストセラーに(その他著書多数)。 また企業フィットネスのアドバイスやジム経営、フィットネス通販事業なども手掛ける。2011 年からは、鍛錬家を名乗り活動を開始。 トレーニングを「心を磨く」行為として捉え、体づくりと社会貢献についてセミナーなども行う(個人活動として勧善道場を主催)。同年、東日本大震災の直後から、宮城県石巻市雄勝町にて炊き出しや学習支援を行ったことをきっかけに移住。漁業をしながら新しい街づくりに奔走する。地域PRのために主催してきた「三陸・雄勝 海の幸トレイルランニング」(20112018)を業界でも有数の大会に成長させた。2018年に小ロット対応のプロテインOEMメーカー「プロテイン工房」を設立し、フィットネス消費よる社会貢献の拡充を目指す。

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