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カラス屋、カラスを食べる

2018.12.29 更新

代々木公園はなぜ「カラスの聖地」なの? カラス研究者・松原始先生に聞いてみた【前編】夏生さえり

カラス屋、カラスを食べる』(幻冬舎新書)の著者であり、世界でも珍しいカラス研究者・東京大学総合研究博物館の松原始先生に、Twitterフォロワー約20万人の人気ライター・夏生さえりさんが突撃取材! 先生はふだんどうやってカラスを観察しているの? カラスって何を食べるの? どこで寝てるの?「カラスの聖地」だという代々木公園を散策しながら、たっぷりとお聞きしました。前後編2回に分けてお届けします(後編はあす12月30日公開です)。

* * *

(写真左:松原始先生、写真右:夏生さえりさん)

みなさん、こんにちは! ライターの夏生さえり(@N908Sa)です。

さて突然ですが、みなさんは「カラス」にどんなイメージを持っていますか? 襲われそうで怖い、頭がよくてずる賢い、ゴミを漁って汚い、うるさい、嫌な鳥……。全身まっ黒なせいか、悪いイメージを持ちがちですよね。

でも「カラスほどかわいい鳥はいない」と語る人がいます。

カラス屋、カラスを食べる』(幻冬舎新書)などカラスにまつわる本をたくさん執筆してきた、松原始先生です!
 

松原始(まつばら・はじめ)
1969年、奈良県生まれ。京都大学理学部卒業。同大学院理学研究科博士課程修了。京都大学理学博士。専門は動物行動学。東京大学総合研究博物館勤務。研究テーマはカラスの生態および行動と進化。


松原先生はなんと25年もカラスを研究されている、世界でも珍しいカラス研究者です!

お話を伺ってみると……

カラスの目で見ると、東京は入ってはいけないところだらけ…!
カラスにとって代々木公園は、フリーゾーン?
カラスの卵は、チョコミント色…!
カラスが、先生の家までついてくる…!?

などなど、これまで知らなかったカラスの不思議なお話をたくさん伺うことができました。

「カラス」という種類はない

▲よく見ると、カラスが描かれたTシャツを着ている松原先生(左)。

本日はよろしくお願いします!
早速ですが、カラスにはどうしても怖いイメージがあるのですが…。

 

だいたいの方がそういうイメージをお持ちですよね。

でも、カラスは「ビビり」だし、時にまぬけです。これほど面白くてかわいい鳥はいない、と僕は思うんです。カラスってよく見ていると、「今、餌採りに行くか迷っているでしょ」「今、照れ隠ししたでしょ」と突っ込めそうなくらい、動きが多様で……。観察していて飽きることはないですね。カラスを研究し続けて、25年も経ってしまったくらいですから。

 

25年! すごいですね……
カラスには種類があるのでしょうか?どれも同じように見えるのですが。

 

みなさんは「カラス」と一括りに呼びますが、日本では、記録されたもので7種(うち2種は迷鳥)のカラスが生息しています。世界だと約40種くらいいます。

わたしたちがよく見かけるカラスは、2種類です。街中で見かけるカラスの大半が、「ハシブトガラス」。そしてハシブトよりも少し小さく、農耕地などで見かけるのが「ハシボソガラス」です。わかりにくいので、「ブト」「ボソ」と呼びますね。ブトとボソの違いはいろいろとあるのですが、まず鳴き声で言えば、基本的に「カアカア」と鳴くのがブト。「ガアガア」と鳴くのがボソです。

 

鳴き声や見た目以外にも違いはありますか?

 

性格が違いますね。よく「カラスは頭が良く、くるみを割りたいときには道路に持って行き、車に引かせる」などという話もよく聞きますが、そういう“小技”を使うのはボソだけです。

ブトは、やることが力づく。くちばしで3回叩いて割れなかったら諦める、という具合です。そのかわり社会性に長けていて、仲間内でコミュニケーションを取ったり、仲間を呼び集めて餌を食べたりします。

 

ブトとボソ、そんなに違いがあるんですね。ここ、代々木公園にいるのはどちらですか?

 

ブトですね。
ぜひ生態を知ってほしいので、今日は散歩をしながら、実際に見ていきましょう。

 

▲巣にするの? 木の切れ端をくわえ飛ぶハシブトガラスさん

カラスは「あとで食べよう」と餌を隠す

 

……あっ。見てください。あそこのカラス、今まさに餌を隠しています。

 

――えっ、どこですか!?

 

あっ、餌を隠している!! ちょっと行ってみましょう!!(走りだす)。

 

――!?

 

▲いきなりのダッシュ! からのじっくり観察。

うーん……残念ながら隠された餌は見つかりませんね。

カラスって、「あとで食べておこう」と”貯食”をするんですよ。朝はゴミを食べ、食べきれなかった分はどこかへ隠しておいて、お腹が空いた時に引き出して食べます。

その場所は、1匹につき最大で100カ所くらいあると言われています。通常だと10~30カ所くらいですね。ビルの上や、ベランダの鉢植えなどによく隠していますよ。他のカラスが見ていないかよく注意して隠して、盗まれないように気をつけて、ときにはフェイクまですることもあります。

 

すごい。そんなに覚えていられるんですね。それって……
 

 

あっ! あれもみてください(走り出す)。あっ! あっちもみてください(走り出す)。

 

ハァ…ハァ…あの、先生、カラスが好きなのはわかるのですが、ちょっと落ち着いてください。
 

 

あ、すみません(笑)。

 

(カラスへの熱量がすごい…)。

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関連書籍

松原始『カラス屋、カラスを食べる 動物行動学者の愛と大ぼうけん』

カラス屋の朝は早い。日が昇る前に動き出し、カラスの朝飯(=新宿歌舞伎町の生ゴミ)を観察する。気づけば半径10mに19羽ものカラス。餌を投げれば一斉に頭をこちらに向ける。俺はまるでカラス使いだ。学会でハンガリーに行っても頭の中はカラス一色。地方のカフェに「ワタリガラス(世界一大きく稀少)がいる」と聞けば道も店の名も聞かずに飛び出していく。餓死したカラスの冷凍肉を研究室で食らい、もっと旨く食うにはと調理法を考える。生物学者のクレイジーな日常から、動物の愛らしい生き方が見えてくる!

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カラス屋、カラスを食べる

カラスを愛しカラスに愛された松原始先生が、フィールドワークという名の「大ぼうけん」を綴ります。「カラスの肉は生ゴミ味!?」「カラスは女子供をバカにする!?」クレイジーな日常を覗けば、カラスの、そして動物たちの愛らしい生き様が見えてきます。

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夏生さえり

山口県生まれ。フリーライター。大学卒業後、出版社に入社。その後はWeb編集者として勤務し、2016年4月に独立。Twitterの恋愛妄想ツイートが話題となり、フォロワー数は合計15万人を突破(月間閲覧数1500万回以上)。難しいことをやわらかくすること、人の心の動きを描きだすこと、何気ない日常にストーリーを生み出すことが得意。好きなものは、雨とやわらかい言葉とあたたかな紅茶。著書に『今日は、自分を甘やかす』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『口説き文句は決めている』(クラーケン)、共著に『今年の春は、とびきり素敵な春にするってさっき決めた』(PHP研究所)がある。Twitter @N908Sa

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