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山田マチの山だの街だの

2018.12.26 更新

第30回 埼玉県吉見町 - ポンポン山・W観音・いちごカレー -山田マチ

山田マチが山だの街だのにでかけて、どういうふうだったかをお伝えしております。
リサーチ担当は、友人のカッパと名乗る女。私とおなじく、40代ひとり暮し。猫と酒と山を愛するカッパですが、ひざの故障により、このところ登山ができていません。
2018年も残りわずか、どうしても山に登りたい。
ひざ小僧との相談の末みちびきだした山は、埼玉県比企郡吉見町にある「ポンポン山」。
標高差、20メートル。
山田登山史上最低標高記録へのチャレンジです。

当日朝、登山にでかけるふたりのいでたちは、ワンピースにスニーカー。
山をなめてはいけないと肝に命じておりますが、今日だけは、なめてかからせていただきます。

いざ、吉見町。
ポンポン山の前に「吉見百穴」というところにいきました。
大きな岩山に、200以上の横穴があいている珍しい光景。コロボックルの住居だった、という説が広まっていたそうなんですが、研究により、約1400年前のお墓だということがわかったそうです。研究もときにはツミ。
軍需工場として掘られた巨大な洞窟もあり、仮面ライダーやウルトラマンなどのロケに使用されたとか。大きな洞窟で悪の組織の幹部が指令を出して、小さな穴から手下たちがいっせいに出動する様が目に浮かびます。

大小の穴や、穴のなかのヒカリゴケなどを見物してから、歩いてすぐの「岩室観音」へ。
大きな岩にもたれるような2階建の観音堂。建物の両脇には、四国八十八ケ所めぐりと同じ功徳が得られるという、八十八体の石仏がありました。通りすがりで、なんたるラッキー。ラッキーをありがとうございます、と拝みました。

車ですこし移動して、観音おかわり。
つぎは、三重塔もある立派な「吉見観音」です。
観光パンフレットに「左甚五郎作と伝わる “ 野荒らしの虎 ” は必見!」とあったので、お堂や三重塔のまわりをぐるぐると探しました。軒下に彫り物はたくさんあるのですが、虎が見あたりません。
左甚五郎の虎、逃げちゃったのかな。左甚五郎のだったらしょうがないか。野でも荒らしにいったかな。
あとで調べたら、お堂の中にあるとのこと。そりゃそうか、左甚五郎ですものね。

ポンポン山の前に腹ごしらえをしようと、道の駅「いちごの里よしみ」に寄りました。
吉見町の特産品である「吉見いちご」は、埼玉県生産量第1位。
町には「いちご街道」があり「いちご狩り」が楽しめます。埼玉県で15番目に登録されたこの道の駅は、いちごのソフトクリームやいちご大福やいちごの直売などなど、いちごづくし。

レストランで注文したのは、「いちごカレーうどん」。
カレーうどんの上に、赤いいちごのソースがかかっていて、いちご模様の練りものがぺろんとのっています。半笑いで食べはじめましたが、あれあれ、意外といける。辛いと甘いのハーモニー。ときどきいちごの粒が歯にぷちり。
デザートにいちごのソフトクリームを食べ、山のおやつ用に草餅のいちご大福を購入し、道の駅をあとに。

さて、ようやく本日の目的地、「ポンポン山」へ向かいます。
「ポンポン山駐車場」に車をとめ、「ポンポン山はこちら」という矢印に沿って歩き、「ポンポン山」と書かれた看板のある神社にたどりつきました。
ポンポン山は、高負彦根神社の境内裏にある岩山、とのこと。山頂付近で足を踏みならすと「ポンポン」という音がすることから、こう呼ばれるようになったそうです。

神社の裏にまわってみると、ちょっとだけ小高い場所があります。
ここが、ポンポン山、なのかな。岩場を数歩、登ります。これ以上行くところはないから、たぶんここが……山頂? ポンポンと鳴るところは……どこ??
たどり着くまではあんなに丁寧に案内してくれていたのに、来てみたら、ツーン。タヌキにでもそそのかされているのでしょうか。

境内の案内板に「音の発する所はここ」と写真付きで紹介されているのですが、これといった特徴のない地面と木々の風景。
写真と照らし合わせ、地面もつるつるだから、このあたりかもしれないな、というところでジャンプしてみました。うーん、いまいち。ポンポン、感じない。もうちょっとこっちかな。このへんかな。跳びます。跳びます。
ひざ故障中のカッパは、ただ見ています。跳ぶおばさんと見守るおばさん。
ある場所で「ボーンって鳴ったような気がする」と報告してくれましたが、必死に跳ぶ私の耳にその音は届かず。
山頂もポンポンも半信半疑ではありますが、無事に登頂を果たすことが、たぶん、できたのだと思われます。

登山でまったく歩いていないので、町内にある八丁湖公園の湖沿いをぐるりと歩くことに。
きれいに整備された湖には、あざやかな色彩のカモがたくさん。軽快にウォーキングする年配の方々もちらほら。そしてなぜか、猫がいっぱい。
猫が寄ってくるたびに、カッパは前頭葉あたりから奇怪な高音を発し、なにやらしゃべりつづけていたので、私はほうっておいてサッサカ進み、ベンチに座って草餅いちご大福を食べました。おいしかったです。

散策のあとは、湖を見おろす「御所の湯」へ。宿泊や研修のできる「フレンドシップハイツよしみ」内にある日帰りのお風呂は、ペレット(薪)で沸かしたやわらかなお湯。全く疲れてはないけれど、ふうっと一息、あったまりました。

百穴、ヒカリゴケ、観音、お遍路、左甚五郎、いちご、ポンポン山、湖、お風呂。
吉見町のあまりの充実ぶりに、カッパは移住パンフレットを手に取り熟読していましたが、40を過ぎた独身女性は対象ではないようで、そっと閉じて冬の空を眺めていました。
埼玉の奥深さを改めてかみしめた、吉見町散策でした。

*きょうの昭和*
「吉見百穴」の売店で買った「一里飴」。ひとつ舐めたら一里もつ。母を訪ねるマルコに三千個。
*きょうのごはん*
道の駅の直売所で買った「もみの木コロネ」。ちょっとすぎちゃったけれど、メリークリスマス。よいお年をお迎えください。

 

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山田マチ『ひとり暮しの手帖』

実家をはなれて、およそ20年。 これまでも、きっとこれからも、ひとり暮し。 ここには、ひとり暮しのいろいろなことを書きつけます。 このなかのどれかひとつくらいは、あなたの心に届くかもしれない。 いや、ぜんぜん届かないかもしれない。 そんなふうな、 これは、ひとり暮しの山田の手帖です。

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