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大人バレエの世界

2025.08.31 公開 ポスト

舞台上でキラッキラしてる人は何が違うのか丸山裕子(イラストレーター)

少し前、通っているスタジオの発表会がありました。
メインの演目はコッペリアの全幕です。さらに、子どもたちは個々にバリエーションを踊り、大人クラスは先生オリジナルのエスメラルダの小品を踊りました。

あまりレッスンに行けていない私は今年も観客です。(出るとなったら徹底的に練習したいタイプです)
午後からゆっくり会場に向かい、客席に深々と腰かけて、大人クラスの同志たちの踊りをただただ楽しむつもり……だったのに、気づくと「次に出演するときは」目線で「どうすればよりよく見えるか」と考えながら見ていました。

 

この「よりよく見える」というのは「上手(そう)に見える」ということではありません。
客席から見ていると、舞台上でひときわキラキラしている人がいるのです。バレエの実力とは関係なしに。そして、そのキラキラは観客をもより楽しい気持ちにさせてくれます。おまけに、上手に見えます。

ならば、私だってあなただって、あのキラキラを手に入れたいじゃないですか?
キラキラのある人~、と、ない人~ならば、ある人~になりたいじゃないですか?
(関西人ならわかるアレです)

2時間にわたる観察と分析の結果(大袈裟)キラキラの素は2つありました。
大丈夫。
繰り返しますが、上手下手は関係ありません。
練習も必要ありません。
心持ちひとつです。


一つめは笑顔です。

まあ、なんて簡単! 笑うだけでいいの?
と思うでしょう?

はい、そうです。微笑むだけでいいんです。
でも、特に大人バレリーナの場合、わりと疎かになりがちです。

踊りを見にきているのですが、人ってやはり顔に目がいくわけです。これはもうどうしようもなくて、たぶん生き物としてそういうふうにできています。

明るい演目を笑顔で踊っている人はそれだけで魅力的で、とても上手に見えます。観客としても心地よく、自然に演目の世界に入っていくことができます。踊り手の晴々とした表情に釣られて、何か素敵なものを見ている気になります。笑顔ひとつですべてが素敵に見える前提ができるのです。

一方で、明るい演目をしかめっ面で踊っているのを見ると「もっと、もっと笑顔をー」「とりあえず笑ってー」と、いちいちそこに引っかかって演目の世界に浸ることができません。

年に一度の慣れない状況に、硬い表情になってしまう気持ちは痛いほどわかります。私もなります。なってました。
発表会だからと難しいことに挑戦していたり、練習で克服できていない箇所があったりするとなおさらです。

それでも、客席から見ていて無責任に思うのは
「お願いだから笑ってプリーズ!!」
もはや懇願です。

美しい舞台セットに華やかな衣装、明るい音楽に合わせて踊りが始まった瞬間の空間がパアッと華やぐ感じ。あれを感じたいのです。笑顔さえあれば、舞台上のみんながほんの少し口角を上げてくれさえすれば、それは完璧に再現されるのです。

ロマンティックチュチュなら膝は隠れますし、ポワントで立てた落ちたなんて、大方の人は気づきません。あなたの爪先を注視しているのは、同じく大人バレエを習っているごく親しいあの友人くらいです。(私かな?)

なので、笑ってね、お願い。


二つめは大きく動くことです。

日々ローカと並走している我らです。身体能力の衰えは如何ともしがたく、意識せずにいると動きはどんどん小さくなっていきます。

が、本来のバレエは、トップアスリート級の身体能力を持ったダンサーが踊り終わると肩を息をし、舞台袖に倒れ込むこともある、それほど全身を使うものです。

私たち大人バレリーナの動きは、諸事情あれど、基本的に小さすぎるほど小さいということを頭に置いて、当社比でいいので思いっきり大きく動くことが大事と思いました。

諸事情だの、当社比だの、言い訳が多いやないかい! と思われたかもしれません。

だって、そこはほら、思いきるや否や、ピキッとかガクッとかポキっとなりがちな大人バレリーナですから。とくに最後のは絶対に勘弁していただきたいので、そこはご自身でぎり加減していただきながら、可能な範囲で思いっきり大きく踊っていただけたら幸いです、と、こちらも無責任な観客の私は思いました。

微笑み絶やさず、大きく動く(当社比で)。
舞台上のキラキラの素はこの2つでした。

細かいことを言えばキリがありませんが、その他の諸々は高い高ーい棚の上に永遠に放置です。


来年の発表会はいつもの会場が休館となるため、別の会場での開催が決まっています。そこは幼い頃から幾多の公演を見てきたあの劇場で……

み、見たい。見たすぎる。舞台裏を……

究極の舞台裏好きです。
ここ数年、発表会には出演していないのですが、舞台裏見たさに次回は出演しようかしらなどと考え始めています。

しかし、コロナ以降まともにレッスンに行けないままはや4年。
取り戻せるのか?
そもそも、動けるのか?
笑顔で踊れるのか??

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大人バレエの世界

いくつになっても憧れる華やかなバレエの世界。アラフォーからバレエを始めた著者による、楽しく、たくましく、哀しくもおかしい“大人バレリーナ”の日常。

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丸山裕子 イラストレーター

京都市出身。踊るイラストレーター。健康のために始めたバレエにはまり、寝る間を惜しんでレッスンに通う。『バレエ語辞典』の全イラストを担当。書籍や雑誌、広告にイラストを描いている。女性、育児、健康、犬と花に関するものが多い。イラストエッセイは『しあわせな犬生活を』(ドッグワールド)、『極楽いぬ生活』(ペピイ)。布花作家でもあり、『まんまるさん®︎』という古布を使ったオリジナルのアクセサリーを作っている。

Instagram  @yuco.illustrations

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